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お宝は My Memory  作者: シキナミ
第一章 さあ、都へ行こう
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(5) さあ、行きますよ! ユリアさん、エスターさん、エイダさん!

 私のステイタスウィンドウの右上には『第一形態』という奇妙な表示があった。ポインタを操作しても変身と唱えてもなんの効果もない。

 経験をつめば第二形態になるのだろうか。そしてそのあと何回の変身を残しているのだろう……


 ずいぶん今の姿に慣れてきたので怪物的な変身なら元のままが嬉しい。変身解除の魔法があれば良いが、

 ラミパスラミパスルルルルルー

とかね。


「ねえぇヴィク、お猿さんがこっちを見てるけど」

 御者席の隣に座るエイダの声で我に返る。

 見ると50mほど先の枝からサルがぶら下がっていた。


 指示を出す時間なのだ。

 昼の休憩が近いので、前方先行は止めて、いつもどおり側方を含めた広い範囲を警戒するように言う。サルは消えた。

 イヌとトリにも同様に指示をする。


 森における三匹の索敵能力はたかい。


 トリの空からの視認。 800m離れた 餌を見つけるほど 優れた視力 、 鷹であるトリが元々もつ能力だ 。

 夜間の偵察能力も決して低くはない 。


 トリ目というのは夜盲症をさすが、鷹であるトリがトリ目というわけではない。トリ目の名は人にとって身近なトリであるニワトリが弱視で……

 次機会があれば、もっと真面目に名をつけることにしよう。


 地を駆けるイヌはにおいでさぐる。人の数百万倍と言われる嗅覚は視界の限られる地表でも全てを見通すことができるのだ。


 犬の頭上はるか、上空からは枝葉で遮られる空間を受け持つのはサル。視聴嗅覚バランスよくとれた森の生き物である。またこの個体はムササビのように滑空できる飛膜を持っていた。


 三匹は私の言葉をよく聞き分けるけど、残念ながら会話できるわけではなく、いくつか決めた鳴き声やジェスチャーで応答する。


 複雑な内容は直接映像で送ってくる。魔法の世界の恩恵様様であった。

 トリは鮮明な 画像 、犬の嗅覚は 色付きの霧として視覚化され、 猿の情報は音声付きの 画像として送られてくる。

 トリやイヌの聴覚は異質すぎて疲れるので、平時の偵察ではミュートにしていた。


 いまでは、三姉妹は三匹の索敵能力を認め三交代制をとるようになった。


 4人が揃うのは夕食後のおしゃべりタイムくらいになり、少し減り寂しい気もする。


 しかし、私の主な仕事である御者が昼限定なので、毎晩ぐっすり安心して眠れるのはとてもありがたかった。

 


 出発してから6日め、クエストの期限まで17日、の時点でクチャとの中間点に広がる黒い森に来ている。


 8日でクチャに着く予定なので、距離だけで判断すれば遅れていた。

 しかし帝国の道は本来軍用で、トンネルや橋を作り直線的ではあるが、騎馬や騎竜それに歩兵の移動が前提なので、そこそこの勾配がある。


 ここまでは馬車にはきつい道のりだった。


 これは、赤い街道やマイン川水系の水上交通網が優先されている理由の一つでもある。


 食事係は私がしていた。最初は交代していたものの、この世界では低レベルでも食事スキルがあると無いでは味が段違いになるので、姉妹が望んだし私も望んだ。


 今日昼は途中で仕留めた子鹿の肩肉とハツ、全粒粉をねって焼いたもの(チャパティ)ワインの水割り、食後はリンゴ菓子とスルグー、エイダには砂糖多めにね。


 仮眠をとっていたユリアとエスターを起こして賑やかに食事が始まった。

 女性の会話は話題が八艘飛びをするので難しい。それでもクチャや都のことが少しでも知りたいので、いつも質問をくり返している。


 三人がスルグーを飲み終え、エイダが砂糖を追加した時、トリから連絡が入った。


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