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お宝は My Memory  作者: シキナミ
第一章 さあ、都へ行こう
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(4) 旅の仲間

(4) 旅の仲間 

    The Fellowship of the Lens



 翌日は農場の管理人への申し送りに費やした。ギルドの保証付きの信用できるご夫婦だ。

 そのため出発は二日後の早朝に決めた。


 三姉妹はBクラスの冒険者でアイテムボックスの積載量は50kgなのでキャンプ道具などは私があずかる。見かけの重量がなくなるので馬車は軽くなり旅が捗る。

 三人は長期の遠征をしたあとでドロップ品のクリスタルやお宝でボックスが一杯のようだ。


「助かるわぁ」

 エイダは自分より年下の仲間ができたので喜んで私の面倒を、魔法の指導も含め、見てくれる。

 後者は、農業魔法の応用について相談した結果だ。


 私としても、中身がおっさんなのは否定しないが、高校卒業以降の記憶が曖昧な上、外見は17歳なので違和感は感じない。永遠の17才も捨てがたい気がした。


「君はどのくらい持てるんだい」

「地味なせいか村の男どもは見向きも」

「いやいや、ここでぼけなくとも」


 リーダーのユリアとしては参加者の能力を知っておきたいのは当然である。


「荷車3台くらいなら」


 三人は少し驚いている。しかし、これは農婦としては上出来の部類ではあるものの、嘘だ。

 実際には大型トラック3台の容量で30t積める、しかも収納した食物を劣化させない。


 彼女たちに隠すのは気が引けるものの、漏れた場合、商人や軍関係者に狙われるのはほぼ確実であり、それでは記憶を探す旅を続けることはできない。

 だから2日前の納品の際も容量には十分注意していた。


「農業スキルってすごいのね」

「そうでしょうか」

「でも冒険者にはほとんどいないわね」


 エスターの疑問にはユリアが答えてくれた。

「冒険心あふれる農民は存在として少し矛盾してるだろう?」

「どうしてよ」

「そういう人物は農業スキルを磨く前に冒険者になるのさ」

 なるほどと私も納得した。


 ホリイ王国は将棋の駒を上下逆に、敵の駒の形をしたアイルランド島ほどの大きさの国で、北はアウル海に南はザウベルバーグ山塊に接している。都ホルスのある北部は商工業で南部は農業や鉱業で栄えていた。

 ほぼ中央を走る赤い街道と東寄りのマイン川が南北をつないでいる。

 

 赤い街道の名は歩道部分に旧道のタイルではなく、レンガが用いられているためだ。摩耗は早いが滑りにい。


 村人が都へ行くには脇街道を東へ進み赤い街道に出て北上する事が多い。何より安全だし、宿場も整備されている。


 しかし、商人や冒険者には旧街道を北に進みクチャという町から赤い街道にでるルートを選ぶものも多い。


 南部の領主の高い通行税を避けるためだ。また大幅にショートカットできるし、脇街道同様、帝国が作った旧街道は今でも充分馬車の通行にたえる。

 旧街道を勧めたのは三姉妹だ。

 彼女たちは急いでいた。


 もちろん今は寂れているので野宿になるし、多少の危険もある。旧街道は中級モンスターの生息域にあった。


 しかし、動くものを何でも襲う下級モンスターと違い中級モンスターには多少の知恵がある。


 たとえば街道筋に多いミノタウロスや一角は果実や人の食べ物を好むが、アイテムボックスの中身まで察知できるわけではない。

 そして彼らの生息域に侵入する者たちが武装しているのは身にしみているはずなのだ。


 私は素直に従うことにした。私のもつ知識は村人としてのもので、ヘルプはあくまでもヘルプである。誤りはないかもしれないが。


 早朝、私達4人と三匹は元気に出発した。



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