09.準備
495エギア。
これが今日の買い物に使える最大の額だ。もちろん、全部使い果たさないといけない訳では無いし、余ったぶんを貯金に回すことも可能だ。だが、鞄を2使わなくてはならないのだ。多分高くつくな…
一つは今の荷物、金と服、が入る程度のトランクのようなもの。そしてもう一つはベルトに取り付けられる小型のポーチ。トランクは金と服さえ入ればいい。仮屋か手頃な家が見つかるまでの間、荷物を入れるだけだしな。そしてポーチの方は多少の硬貨と小物が入れば十分だ。
武器屋で時間がかかってしまい、そろそろ日暮れ。酒場やギルド、飲食店以外の店はそろそろ閉まってしまうので鞄を売ってるお店の事はほかの人に聞いた。どうやら大通りの坂の上の方らしい。早歩きで坂を登っていく。息を切らしながらも2分ほどで着いた。改めて思うけど、この道意外と長いな…
「すみません!はぁ…鞄売ってる店はここですか!…」
「おう、そうだよ。そろそろ閉店なんだが、何をお求めで?」
中からは50代ほどに見える、いかにも職人っ!!、って感じのおじさんが出てきた。俺は抽象的に探してる鞄のデザインや大きさ、値段を説明した。
「これはいかがかな。」
そう言っておじさんはまずポーチを差し出す。サイズは十分だ。どうやらベルトに付けるのは無料でやってくれるみたいだ。とりあえず、高級な革じゃないし、中古品らしく、100エギアだそうだ。ひとまずこれと、あとはトランクだ。
「おじさん、これいくらですか?」
丁度いいサイズのものがあったので聞いてみる。
「300エギアじゃな、そのサイズなら」
なるほど、素晴らしい!買ったぞ!冒険者生活準備万端!勝ち組じゃい!
ウキウキしている本人が厳しい現実を見るまで… 15時間。
宿に帰ると食堂にルカがいた。
「すごい買い物だねぇ。」
「ああこれか、鞄が無かったからね」
「え?収納魔法は?」
「収納魔法?」
「この間見た時、何も持ってなかったからてっきり収納魔法があるのかと思ってたんだけど…」
「俺、この街に何も知らないで来たからなぁ…鞄もないし、使えないくらいボロい短剣と綺麗な石2つだけしか持ってなかったんだよなぁ…」
「そうだったんだ。」
あはは…やっぱ変だよな…うん、しってた。
収納魔法か、そうか、魔法もあるんだったな…魔法もいつか覚えてみよう。で、明日はギルドの講習会が10時からだからここの食堂で9時半にルカと待ち合わせをしている。とりあえず今日は浴場で風呂にちゃんと入って、夕食頂いて、明日の準備をして、早めに寝よう。
残額:1595エギア
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