11.講習会
さて、講習会が始まるまであと10分くらい。場所はギルドであってるはずなんだけど…みんなベテランみたいな人が多いなぁ…
大きな石作りの建物で壁から床までひんやりとした石で出来ていた。おおきな木の扉をくぐって入ると正面によくアニメとかで見るような受け付けのカウンターがあって、左側の壁は掲示板になっていて依頼の貼り紙がズラーっと貼ってあった。依頼リストを眺めていたグループ、おそらくパーティー、のリーダーらしき男が貼り紙を引き破りカウンターに持って行った。なるほど、ああやって依頼を受けるのか。ちなみに右側は酒場になっており朝から賑わっていた。酒場のちょっと手前の壁には2階へと通じる階段があった。よく見るとそこに貼り紙があって、[講習会参加の初心者は2階の会議室まで]と書いてあった。
「あ、ルカ。講習会は2階の会議室だってさ。行こう?」
ルカはこくりと頷き俺のあとを付いてきた。2階はいい感じのドアが付いた部屋がいくつも並んでいた。廊下を進むと[会議室]があった。ノックをしてドアを開く。
「講習会はここであってますか〜…?」
ごつい、いかにも教官的な人物が前に一人、あとは初心者と思われる人達が数人椅子に座っていた。
「おう、そうだ。入って座れ。」
怒ってるわけじゃないんだけど声が低いし、体も筋肉質で大きいから少しビビる。俺らが座った途端、彼は前に出て俺らを見た。
「よう、新米冒険者共よ。俺の名はハロルド、今日、講習会の責任者であり明日から金曜まで貴様らの教官をする。よろしく頼む。」
「ル、ルカ…マルスとかヴィエナって何…」
「後で説明するよ。」
「そこぉっ!!話は聞いておるのか!!」
「あっ、はい。」
「声が小さい!キリッと返事をしろ!」
熱血な人なんだな。
「はいっ!教官!」
「よし。さて、本日は貴様らに冒険者について知ってもらう。」
要点はまず、冒険者になるにはステータスカードが必要なこと。このステータスカードは偽証ができないように何らかの仕掛けで他人が持つとただの白いカードになってしまうらしい。ステータスカードには本人のランク、EからS、討伐履歴、似顔絵と有効期間が書いてあるそうで、運転免許証のようなものだそうだ。
次にランク。ランクはE,D,C,B,A,Sがあり、Sに近ければ近いほど強く、一般的に経験がある冒険者だそうだ。ここにA+などの+が付いている者がたまにいるが、それは何かの功績をギルドから表彰されたときに付くもので滅多に居ないそうだ。ランクアップするにはそれなりの経験を積まなくてはいけないそうだ。
次にステータス。ゲームとかであるように、MP、持久力そして体力がある。メニューに出てるわけでもないので感覚を掴まないといけない。マナ切れすると貧血に似た症状が出るそうで、気をつけなければならない。
攻撃手段。前衛後衛ってやつだな。前衛は基本的に剣などの武器。槍とか俺のハルバードは実際は中衛らしい。後衛は後方支援で、遠隔攻撃や魔法攻撃、ヒーリングなどの役目があるそうだ。そして魔法が習いたいなら教会に行けだそうだ。あの教会、神殿っていう名前だったのか。
そしてこのギルド主催の講習会は5日間に及ぶそうで、… 5日間に及ぶそうで…? 今日1日じゃなかったんかよぉぉっ!と思わず叫びそうになる。訓練が…あるそうです…はぁ…
これらの説明を受けて本日は解散。明日はフル装備で8時集後だとさ。ステータスカードもこの講習をクリアしないと貰えないらしいし、仕方ない…
「フェア、フェアってどんな装備買ったの?」
ルカが興味津々に聞いてくる。
「んーと、このハルバードだけど…」
「鎧は?まさか買ってないなんてないよね…?」
俺は先程のようにニコッとルカを見ながら硬直する。うん、やばい。鎧なんて買ってないわ。明日は8時集合だし明日買いに行く余裕はない。今手持ちの金額は750エギア。
「ルカ、鎧売ってる所知ってる?」
「まさか本当に買ってなかったの!? 大通りを下って服屋の隣にあるよ。」
「ありがとうっ!!」
全力疾走、俺は鎧が売ってる店の方に走っていく。そして石畳に突っかかってコケる。それをルカは苦笑いしながら見ていた。
「本当に大丈夫かなぁ…」
そんな心配をされているとも知らずに鎧専門店。
薄い鉄のチェストプレートに革製の籠手、そして革製の脛当てを購入して720エギア。革製のものが中古品でよかった… 俺はハラハラしているうちにマルスとかが何なのか聞くことなんてさっぱり忘れていた。とにかく焦りながら宿に帰り、夕食を取り、風呂に入り、いつも通りに寝た。
残額:875エギア
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