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星神様と眷属達  作者: キサラギ ソラ
第0章 プロローグ
1/30

0ー1 失われた神話

始めはちょっとした昔話から。

・・・読んでくれると嬉しいです。

 古き神代の時代、この世界は三つある神様の箱庭が層のように重なってできていました。

 一番目の箱庭は、不思議な力を扱う者達の住まう世界。

 二番目の箱庭は、力なき者達の住まう世界。

 そんな二つの箱庭には多くの『神様』と呼ばれる者達も住んでおりました。

 二つの箱庭は争いが絶えない星が多く、そのことを創造神様は深く嘆き、争いのない平和な三番目の箱庭をお作りになりました。


 ある日、いつものように平和な三番目の箱庭に、悪しき魔王がやってきました。

 神様のいない、豊かな土地。それを見た魔王は自分の物にするために軍勢を召喚し、侵略を始めました。

 平和な箱庭に住む者達には戦う力も知恵も無く、あっという間に魔王軍に蹂躙されていきました。

 自分の作った箱庭が魔王軍に蹂躙されていることを知った創造神様は、他の神様達を集め討伐を始めました。


 両軍の戦いは長く続きました。

 神様達は一万を超える軍勢でしたが、それに対して魔王軍は百万を超える軍勢でした。

 神様達が消耗していく中、魔王軍は一体が弱くてもそれを補って余りあるだけの軍勢を魔王が召喚します。

 戦いは二番目の箱庭で、激化の一途を辿っていきました。


 激しい戦いの中。魔王は不意を突いて神様の一柱ひとりを喰らい吸収してしまいました。それによって魔王は神格を得て、魔神になってしまうのです。


 魔王が魔神へとなったことで情勢は一気に魔神軍側の優勢となってしまいます。

 魔神は次々に神様達を吸収して強くなってしまったのです。

 神様達はじりじりと追い詰められていきました。

 しかし、そんな神様達を助けに入った者達がいました。

 後に勇者と呼ばれることとなる人間と、彼の仲間となった五人の精霊達です。


 勇者は戦場を駆け巡り、魔神軍を撃退していきます。神様達も人間だけに任せていてはいけないと、反撃を始めました。


 また長い時が過ぎ、勇者達と神様の軍はたった一柱だけとなった魔神を追い詰めました。しかし、戦いはすぐに終わりませんでした。

 幾百もの神様を喰らった魔神は創造神様に匹敵するだけの力を持ち、力の小さな神様では喰われかねない状態でした。

 三日三晩、休むことなく死闘が続きました。

 そして魔神を二番目の箱庭から誰もいない三番目の箱庭に追いやりました。

 辺りは一面火の海となり、地は裂け、天が悲鳴上げる地獄となり、それでも戦いは続きました。


 全てを喰らい力と成す魔神は、神様を喰らい続けてきたことで強大な力を得ましたが、休みなく続いた戦いの中でとうとう自らの力に飲み込まれてしまいました。

 闇そのものと言えるような星より大きな身体となり、神様達への憎悪と殺意のみが残った恐ろしい怪物。

 邪神と呼ぶに相応しい怪物が生まれてしまったのです。


 邪神は滅びの咆哮を上げ、箱庭を崩壊させていきます。

 勇者は全ての箱庭の危機を前に、ある決断をします。

 それは己の全てを賭けて邪神を討ち、封印すること。


 最後、勇者は賭けに勝ち、邪神を五つに分け封印することに成功しました。

 勇者は封印の礎となって消えゆく前に、残してしまう五人の精霊達に言葉を残しました。


 ーーいつか、二つの箱庭せかいを平和にしてくれ。


 それを最後に勇者は消え、戦場となった平和だった三番目の箱庭も完全に崩壊しました。


 戦いが終わり神様達は自分の住む場所へと帰って行きました。

 自分の箱庭が崩壊してしまったことを悲しんだ創造神様は、あるシステムを作りました。

 それは、『星神』というシステム。

 この悲劇は無駄に神格を持つものが多くいたことで、魔神や邪神を生み出したと考え、『星一つにつき一柱の神とする』という仕組みにすることにしたのです。

 そして余ってしまった神様から神格を頂戴し、自分の力としているとか。古き神様は創造神様の行為を咎めました。


 ーー形は違えど、邪神となんら変わらないではないか。


 一部では創造神様に神格を譲るのを断り、強制的に殺され奪われた神様もいたようで、神様同士で争ったとされています。


 五人の精霊達も自分達の星へと帰りました。そして、戦いの中で死んだ神様の神格を取り入れていたことで女神となり、勇者の最後の願いを叶えるために奮闘したのです。

 創造神様は勇者への恩から特別に五柱の星神として認め、星のために全てを捧げることで彼女達を狙わないことを約束したと、碑文には記されています。


 今は二つだけとなった箱庭の間にある空間には、今でも崩壊した三番目の箱庭の跡があり、邪神が今も復活の時を待っていると言われています。

 しかしそれを確認する術は無く、これらはまさに失われた神話と呼べるのです。




 ドゥーチェ・スレイプニー

 (失われた神話を求めて 神代の言葉より)

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