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勇邪の物語  作者: グラたん
第一章ロンプロウム編
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第四十一話・第二次ラグナロク 後始末編

鹿耶「これより、第三回処刑会議を始める」

女子たち「ォォォォォオオオオオオ!!」

グラたん「(簀巻きにされている)引くわー」

嵩都「(皆よりも厳重に縛られている)いや、お前も女子だろうが」

鹿耶「いざ、第四十一話開幕!」

女子たち「ジャコンッ!(ST機関銃のセーフティーを解除する音)」

 次に目が覚めるとそこは憎悪と殺意溢れる謁見場だった。

 周りには捕まって転がされている聖王たちだ。ほとんどが起きていて呻いている。

 立っているのは筑篠をはじめとした女性陣。

 一部の物たち以外は黒と紫のローブと仮面を着ている。

 


『殺せ! 殺せ! 殺せぇ――!!』



 そう物騒に叫ぶのは恐らく見られた女子だろう。



「全員、目を覚ましたようだな。それでは戦犯会議――いや、処刑を始める!」

『殺せ! 殺せ! 殺せぇ――!!』



 俺たちの正面にいるのは筑篠、悠木さん、プレア、それに料理長やマベレイズさん、第二王女アネルーテ、第一王女クロフィナさんだ。

 四方八方は女子や女兵士に囲まれている。全員が剣や槍に銃を持っている。

 俺たちは両手両足を縛られて寝転がされている。ついでにいうと女兵士たちの銃口が俺たちに狙いを定め、何時でも撃ち殺せるように引き金に指をかけている。

 それに筑篠の奴、回りくどくなく処刑って言いやがったぞ。



「静かに。まずは主犯である国王アルドメラ、斎藤博文についてだ。国王については私では裁けないので身内である第一王女様、第二王女様にお任せ致します」



 筑篠にそう言われて二人が前に出る。

 二人とも悲しそうな表情と呆れと軽蔑を混ぜ合わせたような視線で聖王を見ている。

 そしてアネルーテの軽蔑視線が俺にも一瞬向き、再び聖王に向いた。



「お父様、お母様が亡くなられたというのに何をなされておられるのですか」

「そもそも、国王ならばこんなことをしなくても晴らすことは出来るでしょうに……」



 それもそうなのだが、分かってないな。

 聖王がフッと嘲笑するように鼻で笑い、俺たち一同の気持ちを代弁する。



「お前たちには分かるまい……この一時の快楽とはまた違った祭りの様な楽しさを!」



 聖王の言葉に二人は絶句した。

 絶句し、青汁を飲んだような表情になり、侮蔑の視線を投げかけた。

 そして野郎共はその言葉に共感し、頷いた。



「なっ――――……仮にも一国の国王です。その国にいるものはお父様の管理下にあるものです。その点、覗きについては問題ありません。しかし国王いえどもそのような理由で女の純情を弄んだ罪は重いです。よって一週間ほど独房に入って考えを改めて下さい。国王は代理で第一王女である私がします。連れて行って……」

「罰については何も言わん。覚悟の上だ」

「なんて残念な覚悟でしょう……」



 聖王の発言に二人が目を伏せるほど落胆していた。

 聖王は自身の足で立ち上がり、二人の女兵士に連れて行かれた。

 アネルーテたちが下がり、再度筑笹が前に出る。



「次に斎藤の処分と彼等に武器を供給した佐藤にも厳罰を与えねばならない。斎藤については弁護しようがないが佐藤にはマベレイズさんがいる。佐藤の罰は彼女に委ねる」



 そう言って俺たちの中から佐藤がマベレイズさんの前に引きずり出される。

 しかも何もできないようにさる轡を噛まされ、首に首輪まで嵌められている。

 マベレイズさんがさる轡を外し、佐藤の頬に手を当ててその目をしっかりと見る。

 佐藤は目を逸らそうとすると頬を抓られている。



「ねぇ、シュー。どうしてこんなことをしたの? やっぱり私じゃシューの支えになれなかった? 聞かせて……」

「うっ……すまん。責任転嫁したくないが最初はこんなことをしているなんて知らなかった。斎藤が試験データを取ってくれるというから俺は十六機の試作品を貸したのだ。知ったのは昨日だ。朝宮から連絡があって……いや、言い訳はしない。雰囲気に流されてやってしまったことは事実だ。だが、決してレイが悪いわけじゃない……好きに裁いてくれ」

「……そんなことできないよ……。私だって鹿耶さんに頼まれてシューの作品を勝手に持ち出したもの……ごめんね、シュー」

「俺の方こそすまなかった、レイ」



 なんかいい雰囲気だな。この間見た時はまだ距離があるように見えたが今回の件で一気に縮まったように見える。



「分かった。そういうことなら佐藤の罰は免除しよう。下がってくれ」



 筑篠も温情を出したようだ。確かに今回のことについて佐藤は悪くないからな。

 そもそもSTを犯罪に使用したのは斎藤だ。



「痛、痛い! 足はやめてくれ! 痛い!」



 マベレイズさんが佐藤の足を掴んで邪魔にならない所へ引きずって行く。

 それからパン、パンと顔面をビンタするような音が炸裂した。



「さて、斎藤の処分だが――何か温情を与えたいと思う者はいるか?」

『いません』



 清々しいまでに揃った回答だった。



「よし、ならば斎藤は一週間、最も一通りの多い南門の城壁に裸にひん剥いて逆さ吊りとする。飯は無いが水はやろう。見られる恥ずかしさ、身を持って知れ!」

「もがぁ――――――!!」



 女子の方も特に異存はないようだ。斎藤は猿轡をされてもがいている。

 そうして衣服を剥かれ、足を引きずられて退出させられた。



「次に覗きに成功したA級戦犯だ。これも引き取り手がいるならば任せる。いなければ皆が納得する処分を与える」



 最初に動いたのは山下だ。

 その腰には拷問用の注連縄が携帯されている。



「鹿耶ちゃん、猛と武久貰っていい?」

「加奈子か。良いぞ」



 山下の前に源道と三井が引き出される。

 その首に無言で縄をかける。



「さ、二人とも拷問部屋に行きましょうか」

『はい……』



 二人とも観念しているようで大人しく首縄を引かれて退出した。

 というか拷問部屋って何処だよ。そんな場所見たこともないぞ。

 あ、いや、牢獄の極楽施設のことだろうか? どうでも良いな。俺には関係ないし。



「他はいるか?」

「グエッ」

「貰っていく……」



 鈴木の首縄を掴んだのは悠木と同じくらいの身長の狐耳の獣人の少女だ。



「グエエ……」

「話は部屋で聞いてあげる」



 ふと、この間の結婚する、という話が頭をよぎった。彼女がそうなのだろうか?

 ――ん? 遠藤がいないような……。あ、まさかあの野郎が……。



「お、おい、遠藤がいないぞ!」



 亮平もそれに気づいたようだ。



「ああ、彼は私たちと取引をしており身柄は既に独房だ」



 筑篠の発言に全員が微妙な顔をした。それじゃあ国王と変わらないような……。



「次はいるか?」

「うん、嵩都を貰ってもいいかな?」



 おお、プレアよ。やはり事前に手を打っておいて正解だったな。



「そうね。この前お菓子貰っちゃったし」



 悠木もそれに便乗する。



「ん? お菓子? おい、嵩都。どういうことだ?」



 亮平が疑問に感じたようだ。



「ああ。どうせこうなるだろうと思って予め手を打っておいた」

「くそ、いつの間に!」

「じゃ、処刑頑張れよ。ハッハッハ」

「裏切り者ぉ―――!」



 いつぞや聞いた台詞だな。保険は掛けて置くものだぞ。

 俺はプレアに連れられて亮平たちの正面に来る。



「次、いないのか? クロフィナさんは良いですか?」



 クロフィナさんの視線の先にいるのは亮平だ。



「うーん……リンがどこまでやったかによるわね」

「リン? 亮平のことですよね?」

「え? ええ。亮平の愛称よ」

『死ね、裏切り者! クソリア充が!』



 クロフィナさんの一言で男子が全員裏切った。



「待て! それを言うなら鈴木に嵩都に佐藤はどうなんだ!」



 野郎共の怒りがピタリと収まる。審議に入ったようだ。



「鈴木はまあこの間報告していたし」

「佐藤はその前に朝宮からスレが飛んできたし」

「じゃあその朝宮は?」



 ハッと全員の首が俺に向いた。



「なあ、朝宮。お前とプレアさんはどういう関係だ?」



 頬が腫れた佐藤が聞いてくる。

 さて、どう答えようか。どう答えてもどうにもならない気はする。



「将来を約束した関係だよ?」



 それよりも先にプレアが答えた。

 ……違わないけどもっとオブラートに包んで欲しかった。



「リア充がぁ―――!! いつの間に我等がアイドルの一人、プレアデスさんを!」



 プレアはアイドル扱いされていたのか……。

 フフフ、残念だったな。プレアの身も心も全て俺の物だ。



「だ、だが、確かに一緒にいることは多いな」

「そ、それで、何時そんな関係に?」



 安藤の問いにプレアが爆弾を投下する。



「一目惚れ?」

「そうだな」


 別に否定する要素はないので肯定する。

 すると奴等は舌を噛み切らんばかりに睨んできた。

 だが、それ以上は時間の無駄と判断した筑笹が止めに入る。



「そこら辺にしておけ。裁いている途中だぞ」

「そうだったね」



 そして視線が亮平の方へと向く。



「さあ、亮平。包み隠さず話せ」

「分かった。まず―――」



 亮平は自分視点で見た事、起きた事を話した。

 何処か同情を買うように一言一句に心を込めて奴は言い放っていた。



「――それで佐藤に騙されて大爆発させられ、嵩都のガンマレーザーに焼かれ、斎藤たちの魔導砲に潰され、そのあとに銃や剣、あげくに嵩都の強力なスキルを食らったんだ……」

「……よく死ななかったな」

「死にそうなのに死ねない苦しみを生まれて初めて味わったよ……」



 亮平が何処か達観し、悟りを開いたような表情で告げた。

 他の女子たちも若干同情し始めた。



「……そんな酷い目に遭っていたのね」

「恨みはしないさ。俺が進んだ道だからな」

「分かったわ。今回は助けてあげる」



 クロフィナさんが亮平の首縄を掴んで俺のいる方に寄せる。



「良かったな。同情票もらえて」



 皮肉まぎれにいうと亮平がドヤ顔をした。



「ふっ、これが田中家奥義『同情心を煽る』だ」

「なんか情けないな……」



 奥義――うん、ある意味門外不出の奥義だろう。



「もういないようだな。次に行くぞ」



 そんなやり取りをしている間に次へと進んだ。



「では、それ以外の処分だが……斎藤と同じ刑に処す。期間は五日とする」



 まあ、異存はなさそうだな。……こんなに女子が大人しいのも少し気になるが。



「さて、最後に覗けなかった者たちだ。普通なら奴隷落ちしても問題は無いが、この者たちは一週間無償で城内にて働いて貰うことが決定している。クロフィナ様の計らいだ、ありがたく思え。以上で戦犯会議を終わる。引き取りがある者は早々に退出。ここは現在より二時間ほどフィールドを張っておく……では、解散!」

『HYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!』



 次の瞬間、女子たちが何処からか鎌、鉈、斧などの物騒な解体器具を取り出して鳴らした。

 そして女性とは思えないほどの甲高い声が辺りに響き渡った。

 俺たちはその声に思わず体を震わせる。



「さ、行こうか、嵩都」

「あ、ああ」

「あまりこういうことはしないで下さいね、リン」

「はい……すいませんでした」



 そんなやりとりをしつつ俺たちは退出していく。

 背後から切ない野郎共の声が響く。



「待て、待ってくれ! 俺たちもそっちが――!」

「ひぃ、やめ―――」


『殺ッ!!』


『うぎゃぁああああ!!』



 南無三。謁見場の扉は重々しい音をたてて内部の饗宴の声を閉じた。







「もう、浮気はダメだよ、嵩都?」

「はい」



 部屋に戻った俺はプレアにしっかり怒られた。

 反省はしたが誘われたらまたやるつもりだ。



「あっ、その顔は反省してないね!」



何故バレた!?

その後、反省の証として首輪をもう一つ付けられた。次はポーカーフェイスも磨いておくとしよう。




 次の日。翌朝の食堂に男子の姿は一人たりとも見かけなかったと言っておく。

 その夜はどうやって独房から抜け出したかは知らないが聖王より論功行賞が開かれた。

 とは言っても俺とプレアの関係が分かってしまったため報酬は辞退しておいた。

 他の野郎共もこの時間帯は不思議と全員集まった。

 各々が満足する報酬を貰った後はすぐに解散となった。


プレア「ぎゅー(嵩都に抱き着く)」

嵩都「……(されるがままにされている)」

プレア「ちゅぅ(嵩都にキスする)」

嵩都「……」

プレア「ぺたぺた(嵩都の肌に触れる)」

嵩都「……」

プレア「んっ(嵩都の頭を膝に乗せる)」

嵩都「……(あ、膝枕気持ち良い)」

プレア「なでなで(その髪の毛を撫でる)」

嵩都「……すぅ…………(気持ち良過ぎて寝る)」

プレア「ぷにぷに(寝顔を堪能しながら頬をつつく)」

嵩都「くぅ……」

グラたん「次回……これ、口に出していいタイトルじゃないですよ」

嵩都「(パロディーか?)」


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