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勇邪の物語  作者: グラたん
第二章YWO編
150/466

第百三十六話・ハーレムの獣は豚野郎じゃないと思った?

カユウ「アザゼルはハーレム野郎か?」

ナイト「断じて違うニャ!」

カユウ「アザゼルは豚野郎か?」

アザゼル「断じて違う!」

カユウ「でも傍から見たらハーレムなのよ、あんた」

アザゼル「ヒャッホイ役得ゥ――――――っ!」

ナイト「私は男だニャ! 第百三十六話ニャ!」


「スキルが無いなら手作業すればいいのよ!」

 


 その私の一言によって始まった家作り。

 家を作るのは恐らくリスポーン地点であるここに決めた。

 伐採が無ければ強引に斬り倒す。

 土壌が固いなら掘り返す。

 建築出来ないのなら可能にするまでよ!

 木材関係担当は私とクラウス、土壌関係はナイトとアザゼル、食料はアギトとセイクが担当している。

 木材はそこらへんにある木々でも良いのだが、見栄えが悪くなるという理由で却下された。よって、木材型の魔物を探しに私たちは森の中に入った。

 魔物は思ったよりも多い。木材型や魔獣型、中には食料型の奴もいる。

 それらを片っ端から素材に変えていくのはクラウスの大剣だ。

 私はクラウスのうち漏らしを素材に変えていく。



「血沸き肉躍る戦い――これが野生」 



 クラウスが何か怖いことを言っていたが聞かなかったことにしよう。

 二時間ほど戦い、得た報酬は木材が30個程と獣の皮や骨、頭骨や生首。それから木の実や生肉だ。

 戻ってくると腰巻だけのアザゼルと装備をタンクトップと腰巻だけに変えたナイトが切り株に座っていた。

 土壌の方は既に作り終えているようだ。



「ナイト――あんた、今は女性アバターなんだからその恰好は止めなさい」

「ニャ? いや、でも白虎の奴に装備ロックされていてこれ以外の装備がニャい」



 ――なん……だと……。

 だがそうこうも言っていられない。私たちはともかく、アザゼルにとっては確実に目の毒だ。例え、中身が男だとしてもそれは絶対にダメだ。



「しょうがないわね。これ、貸してあげる」



 装備欄を開き、その中から一つの装備品を取り出してナイトに放り投げる。



「うニャ? これは?」

「私が前にちょっとしたクエストで着てた装備よ。ちょっと露出が多いけどタンクトップよりはマシよ」

「ありがたく貸して貰うニャ」



 ナイトが手元を弄ると下着だけの姿に変わり、そして私が渡した装備を着た。 

 ナイトが戻ってきて、その装備品を見て私は頷いた。



「ほら、アザゼルもこれなら大丈夫でしょ?」

「ど、どれ――ゴブッ」



 それは、黒を基準として白のレースがつけられている、いわゆる『メイド服』。

 頭にはナイトの白い髪に合うように白猫耳を装着させている。

 アザゼルが噴いたのはそれだけ良く似合ってしまっているということだろう。



「ニャーんか落ちつかニャいニャ……」

「スカートに慣れてないとそうなるよね」

「まあ、ナイトは男の子ですし」

「ああ、男の娘、ね」



 アザゼルのイントネーションが微妙に違っている気がしたが、気のせいだと思いたい。

 それはともかく、私とクラウスはナイトが地面に書いた設計図通りに木材を切っていく。

 それをアザゼルが運び、土壌に地盤を作っていく。

 一通り斬り終わった後は必要箇所をスライムの体液でコーティングして艶を出す。

 ここで鍛冶職が居れば鉄とかで補強も出来るんだけど……。

 鉄がないということは釘もない。

 つまりは木材の組み合わせだけで作成しなくてはいけない。

 下手をすれば全員が生き埋め死する可能性さえあるから慎重にもなる。

 基盤を作り終えた後は壁の作成だ。範囲が広い分、木材も多く使う。

 手先が不器用な私とアザゼルは木材を設置位置に運ぶ。

 ナイトとクラウスがそれらを調整して嵌め、一つずつ作っていく。

 それから少しすると夕刻になった。

 アギトとセイクも戻って来て夕食の時間になった。

 今日の完成度は壁の一段階目を作るところまでだ。つまり、野宿が決定した。

 


 次の日。組み合わせは変わることなく、家作りが始まった。

 昼からはアギトたちも参加するからもう少し楽になりそうだ。

 壁を作り終えた後は中の作成だ。中には数本の大きな木材があり、そこから部屋を分けるように木材を接着させていく。

 二階建ての案も出たが、そこまでやっているとレベ上げの時間がなくなるということで一階のみの設計になっている。

 中を組み立てた後は屋根だ。これは装備と種族体重がある私とアザゼルは出来ない。

 それに種族値がそもそも低いクラウスとセイクも論外。

 残るのは体重が軽いアギトとナイトの二人が担当することになった。

 屋根を作るにあたっても木材が足りなくなるという問題が浮上し、更には家具もあった方が良いということで私とアザゼルが木材班になった。

 セイクとクラウスは美味しい夕食を作るようだ。



 サバイバル開始三日目。

 屋根と机などの簡単な家具を作り終え、私たちのコテージが完成した。

 レベルは上がらないが代わりにスキルを多用したので平均5ほど上がっている。

「さて、レベ上げしましょう」

 朝食の席でクラウスが言い、イベント内専用のネットスレを見せてくる。

 そのURLをコピーして自分たちのディスプレイを開く。




 

 以下名無しに変わりましてLvうpがお送りします:?/?(?)

 Lv5上げたンゴ



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 特定。PKせよ



 以下名無しに変わりましてLvうpがお送りします:?/?(?)

 PKされたンゴw



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 なあ、Lv上げしない奴なんているの?



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 上げまくって逃亡乙ww



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 フィールドボス遭遇。300ptゲットw



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 宝箱開けたらミミックww



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 乙



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 乙



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 マジ乙www



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 召喚獣かぁいい

 URL***/***/***


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 モコモコ獣ww



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 欲しいww



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 召喚『森の仮面』

 URL**/****/*



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 プレイヤーネーム特定www



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 こいつライダーじゃねぇww 怪人www



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 隣に居る娘めっちゃかわええwww



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 美少女と殺人鬼とか誰得wwww



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 召喚『森の虐殺者』

 URL***/*****/****


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 大剣振り回し杉www



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 隣のケモ耳娘激可愛いw



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 刀使いは囮か?



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 いや、超強いw ベイリーボアLv51を瞬殺ww



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 ( ゜д゜ ) ガタッ



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 ( ゜д゜ ) ガタッ



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 ( ゜д゜ ) ガタッ



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 なんだと……



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 倒すときは良い笑顔(狂気)



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 マジ狂戦士



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 違う! MKSマジきょうせんし



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 ちなみにだけど上記二枚同じパーティー面だぜww



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 そして湖畔で家庭作ってるww



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 その中に白髪の猫語尾エルフ娘と野獣がいたwww



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 野獣?



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 言い直す。野郎が一人いた



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 ( ゜д゜ ) ガタッ



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 ( ゜д゜ ) ガタッ



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 え、ちょ、まっ、ぶっ殺



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 殺ス



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 羨ましい――あ、いや、羨ましくなんてないんだからね!



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 野郎ツンデレとか誰得



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 それは些細なことだ。それよりも豚野郎の方が優先だ



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 ――どうする?



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 暗殺(ただし豚野郎だけ)



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 毒殺(ただし豚野郎だけ)



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 正面集中でPK(ただし豚野郎だけ)



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 お義兄さんハーレムから一人ください



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 お義兄さん『やるよ(仮面の怪人だけどな)』



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 マジ草wwwww



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 ちょっとまて、仮面のPCプレイヤーは女性なのか?




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 ――さあ?



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 ――野郎?



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 ライダースーツの各部を数値化した結果、女性と判断する



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 数値はよ



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 65 51  62



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 ……なんかすまん



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 一応女性と仮定して置こう



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 あ、猫エルフが猫メイドエルフに進化した!

 URL****/**/*****


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 お義兄さん、この娘を俺に下さい(真剣)



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 いや俺にください(ガチで)



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 露出があるからエロ可愛いwww



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 つーか、おまいら肖像権大丈夫か?



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 うp主です。『……なにそれ、食えるの?』



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 おい、それ不味くね?



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 BANしろ。いますぐ削除申請だせ



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 でも可愛いから許す!



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 なあ、思ったんだが肖像権費払うついでに仲良くなれば良いんじゃね?



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 名案w



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 逝ってくるwww



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 ついでに豚野郎をPKしてこい



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 名――いや、お義兄様だぞ? いや、やっぱ逝って来い



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 豚野郎に媚びるくらいなら玉砕した方がマシ



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 あいつライオンだと思ンゴw



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 注:ライオンの雄は餌を狩りません。ただし群れを守るので強い



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 ヘタレwwww



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 ヒモwwww



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 逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだwwww



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 予想:女性PCの方が強い



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 何故?



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 ――馬鹿だな。あんだけ女子率高くて肩身が狭いの誰だよ?



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 察し





 私はそこで一度手を止める。



「ねえ、これ私たちだよね?」 



 皆を見ると――各々が違う反応をしていた。



「そうね」



 クラウスは大剣を握りしめ、今すぐにも斬らんとばかりの覇気を見せている。



「ちょっと〆るかニャ」



 ナイトも無表情で拳を鳴らした。



「俺……豚野郎……」

「私は殺人鬼……」



 アザゼルは地味にショックを受けているし、アギトは某ライダーではなくて悪役にシフトした故に落ち込んでいる。

 リアル妹を泣かされてはキレるのも無理はないだろう。

 そして私も刀に手を掛ける。

 唯一、セイクだけは何のダメージも入っていない。



「ねえ皆、今日は(人間)狩りに行きましょう?」



 皆、大きく頷き、各々の獲物を抜いて立ち上がった。



カユウ「次回、アザゼル変態」

アザゼル「嘘でも止めてくんねぇかな!? 俺の株だだ下がりじゃねぇか!」

カユウ「元から定価切ってるから安心して良いわよ」

アザゼル「尚酷いわ!」


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