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第7話 無茶な要求

お疲れ様です。ようやく書き終えました。ただ、今日中に投稿すると書きましたので今らから投稿します。ただし、読み直しができておりませんので、投稿後読み直し修正していく感じになると思います。ご了承ください。

では、お楽しみください!

 レミリカさんに連れられてやってきた屋敷、もといお城で門を抜けた後とある執務室に通された。


 ただ、通された場所に行くとそこには誰もいなかった。どうやら無人なのかここから他の場所に移動するのかだろう。


 レミリカさんはここにやってきた後、「少し待っていてほしい」と言ってどこかに行ってしまった。無人の部屋ですることもないので、失礼と思いながらも部屋の中を見回ってみる。


 机の上には書きかけの書類などが置いてあった。内容は近年川の氾濫による被害を防ぐための治水工事について、魔物の反応についてギルドとの連絡、物資、作戦の立案についてなどと書いていた。でも一番気になるのはやはり椅子の正面に置かれている書類だ。内容は「謎の彗星について」と書いている。どうしようか。


 それを見るにここの主はある程度内政に通じている人物だと思われる。そして、今回レミリカさんに依頼をした人物でもあると。


 「ミュア、なんだか怪しく感じるのは気のせいか?」

 「んー……」


 ミュアは何事か考えるが何も言わない。何か引っかかっているらしいが、言葉にしにくいというところか。……俺としては完全にレミリカさんの依頼主は警戒対象だ。


 警戒理由はもちろんいくつかある。けど、それを明らかにするのは相手によるだろう。


 しばらく、部屋を見回るが他に気になるものはない。仕方がないのでミュアと共に近くにあった椅子に座った。といっても一つしかなかったのでミュアに座らせる。


 それからいくばか経つ頃にはミュアが船を漕ぎ始め、離れようかとも思ったが服の裾を掴まれているので所在なさげに宙を彷徨わせるだけだ。


 「お待たせしました」


 すると、ようやくレミリカさんが戻ってきて一人の人物を連れて来た。


 「と思いたかったけど、これはどういうことですかレミリカさん?」


 こちらが問うと、レミリカさんはなにやら慌てたように説明し始めた。


 「待ってほしい!別に約束を私が違えるつもりはない、ただあなたの力を考えたら万が一に備えて扉の外に護衛を置くという話になって」

 「それで、十人も連れてきたのですか」

 「正直これだけでも足りないと私は思うのだけど」


 レミリカさんの俺に対する評価がわかる言葉だった。


 「ふむ、まあレミリカをあまり責めないでやってくれ」

 「キリル様」


 そういうと、次はレミリカさんのすぐ隣にいたキリルと呼ばれた人物が話しかけてくる。そこに立っている人物は、若い男が立っていた。容姿で言えばイケメンと言われる部類で緑の髪に緑の瞳をしている。ただ、一つだけ気になるとしたらレミリカさんと同じく尖っている耳だろうことからエルフだと思われる。。身なりもよく、所々高価な服飾をしていることから貴族と推測できるし、同じ種族の貴族を連れて来たのだから依頼人と考えるべき。


 「こちらにも原因の心当たりがありますので、責めるつもりはございません」

 「あー、別に畏まったことは言わないでいい。今回はこちらが招待したのだから」


 そういって、キリルは手を軽く上げつつ言ってくる。手を上げると後ろで控えていた9人は扉の外に出て行き部屋の中に残ったのは、レミリカさん、ミュア、貴族の男、俺の四人だ。


 「申し訳ないね、こっちも結構立て込んでてこのように会話をする時間を取るのも一苦労なのだよ」

 「はぁ、それは大変ですね」

 「ははは、ただ君も聞いたところによると無関係ではないんだよ?」


 どういう意味だろうか。といいつつ頭の中には山火事や冒険者とのいざこざが脳裏によぎり汗を一筋流す。やっぱりやりすぎだっただろうか。


 すると、こちらの表情に何を読み取ったのか苦笑しながら男は補足した。


 「こちらにも色々と情報が入ってくるけど山火事やギルドとの諍いではないよ。問題は君のいた場所なんだ」

 「彗星」

 「そうだよ。しかも落下地点が馬で一日とかからない場所だからね。上層部が慌しいんだよ」

 「なるほど……それで、自分たち二人にはどのような忠告と要望があるのですか?」


 ここで少しだけ男が驚く表情する。


 「ふむ、ちょっといいかい?どうして要望と聞くのはわかるけど忠告と聞いてきたのかなショウ、だったよね?」

 「はい、私がショウでこちらに座っているのがミュアです」

 「有難うそういえばまだ名乗っていなかったことを失念していたよ。私はキリル・バース。爵位は侯爵だけど、内務大臣というのもやらせてもらっているよ」


 やっぱり結構上の人物だったみたいだ。上層部が慌しいということを知っていることからこの人が、その場にいたとは推測できる。ただ、この若さで大臣やら侯爵という肩書きが来るとは思っていなかったけど。

 

 「それで、ショウと呼ばせてもらうけど質問に答えてもらっていいかな」

 「わかりました」


 それからショウは説明を始める。

 

 「まず要望という内容については、レミリカさんが依頼人に引き合せることを聞いていたのでただ会って終わりと考えられません。何らかの事情聴取かまたは拘束される可能性があるのでこちらに要望、要請があると考えました」

 「そこまでは考えられるね。でもその話と忠告の話には繋がらないね」

 「もちろんです。そして、これからが忠告内容。主にどこかの貴族か上層部の方が俺らを拉致、または拘束しようとしてると言ったところでしょうか」


 この話に、今まで笑みを浮かべていたキリル侯爵は笑みを消し鋭い眼差しを向けてきた。やはり貴族で大臣をしているだけあって、プレッシャーがすごく感じる。


 「貴族が君らを拉致、拘束をねぇ。ちなみにショウ、君は記憶喪失らしいけど不敬罪という言葉は知ってるかな?」

 「はい」

 「その上での言葉なんだね?さすがにここには私たちしかいないと言っても、根拠がない言いがかりは見逃せないよ」

 「もちろん根拠はあります」

 「なら聞かせてもらおうか」


 キリル侯爵はこちらに視線を向けて真意を問いただすような真剣な眼差しを向けてくる。隣にいるレミリカなど慌てたような感じでオロオロとしていた。ミュアはさすがに起きてはいたが視線をジッーとキリルに向けている。


 周囲の状況を見つつ、俺は説明を始めた。


 「まず、理由は三つ。一つ、これはレミリカさんが連れていた国軍の兵士を見て疑念を。レミリカさんがキリル侯爵の知り合いとわかったので、その繋がりで依頼されたのだろうと考えました。ただ、兵士達を見ただけではそんなもんだろうと思ってましたけど二つ目の理由で疑念に変わりました」

 「二つ目の理由ね」

 「はい。その二つ目は、ここに到着したときお金がないからとシルバーべアの素材を俺に渡してきたことです。後から冒険者ギルドに聞けば、冒険者ギルドに登録しないと売買できないらしいじゃないですか」

 「兵士が親切心で渡したのかもしれないよ?あと忘れていたのかもしれない」

 「そんなわけないでしょう。今回の流星の件は重要事項に挙げられていると聞いてます。そんなところに新人を送るとは考えにくい。少なくともベテランの人を派遣するはず。そしてそのベテランが取り締まり関係のことを知らないと?」


 ここにきて、キリル侯爵を見ると面白そうな表情をしていることに気がつく。どうやらこちらを試しているようだ。なら、十分に試してもらって無害だと思ってもらおう。


 「ショウの理論だとその兵士が知らないということは考えにくいね。けど可能性としてはあるだろう?」

 「それがもし冒険者ギルドの件がなければ言えるんですけどね」

 「冒険者ギルドの件は君が面白い氷像を作った話だね」

 

 面白いのだろうか。俺としてはあんな醜い氷像なんてお断りだ。

 

 「……とにかく、絡んできた冒険者たちが冒険者ギルドに入ろうとしたところで、諍いを起こしたことが三つ目の理由です。あんな目立つところで、しかもギルドの目の前で諍いを起こすなんて自分はこれから悪いことをしますよと言ってるようなものですから」


 本当に狙うならギルドから出て、町の人気がいないところで襲うのが効率がいいはずだ。


 「なのに、目立つところで諍いを起こしたということは、目的が別に。例えば謎の人物は危険人物だとか印象操作の目的だったんでしょう。こちらが死ねば儲けもので、処罰されるのは冒険者達。命令したほうは知らぬ存ぜぬで終わりってところでしょうか。今回は返り討ちにしましたけど」

 「ショウを馬鹿にする人は許さない」


 ミュアが真剣な表情で言ってくる。その一言を素直に嬉しく思いお礼に銀色の髪をなでて上げれば、真剣な表情がすぐに緩んだ表情に変化した。


 ミュアの様子を見ながら、キリル侯爵に視線を向ける。


 「以上のことから誰か意思を持って、遠まわしに妨害をしてくる人物がいると思ったのです。しかもその人物は冒険者達に評判という不利益を上回る報酬を用意できる人物で、国軍にも影響力を持っていると」


 ここまで話して侯爵の表情を見る。このときになると、キリル侯爵の表情は最初の鋭い表情はどこへやら、満足そうな表情をしていた。


 「なるほど、ショウの話だと確かに筋が通るね。ただ一つ聞いていいかい?」

 「なんでしょうか」

 「まだショウは理由があるのだろう、結論に至った理由として。遠慮せずに言うといい気にしないよ」

 「どうしてまたそんなことを言うのでしょうか」

 「ん、だっておかしいじゃないかい。君の理論だと上層部の貴族に敵がいるのだろう。なら私にも該当するがなぜ全部話すのだね?」

 

 その説明をしろということか。あー、これは別に大した理由ではないけど。


 「一言でいうならばレミリカさんを信じたからって感じです」

 「え、私ですか?」


 突如話題に出たレミリカさんが驚いたように言葉を出す。


 「それはレミリカが保護を一番最初にしたからかな?」

 「まさか、最初にいきなり変質者に間違われて襲われそうになった相手だけなら信用できませんよ」

 「あ、あれは!その、悪かったと思ってますが」

 「それはさておき、レミリカさんがギルドで主張していた冒険者ギルドの登録を待ってほしいという内容があったからですね」

 「どう理由に繋がるのかわからないのだが」


 本当に解らないのか、キリル侯爵は首を傾げる。


 「冒険者ギルドに登録するなということは、登録が好ましくないことを示しています。かといってギルドマスターの対応を見る限り、登録をぜひしてほしいって感じでしたし。なら考えられることはギルドに所属されること。例えばとある所属に引き込むとかですかね」

 「君はそこまで考えて大人しくついてきたのかい」


 俺はレミリカさんのほうに視線を向ける。


 「そこが最初信じたという話に戻るんですけど、一睡もせずに報告に戻って、騒ぎに絡まれていると思って全力で走ってきてと、ここまで一生懸命にする人物が何をしようというのかと興味を持ったんですよ」


 苦笑しながら俺は話す。本当は、制御できない魔法やらを使えば最終的に逃げられるということも考えているし、この世界のことを知れる機会ならば行ったほうがいいなどの打算はある。ただ、最終的な理由は今話した内容だ。


 

 「ほうほう、どうやらそなたの働きも無駄ではなかったようだなレミリカ。二人の信頼を勝ち取ったようだ」

 「私はまだ」

 「と、ショウだけらしいが。ミュアだったね、何でレミリカを信用できないんだい」

 「全部話してない。まだ何かある」

 「ミュアさん私は話せることは話したと思うのですが」

 「それならなぜ、約束破るの?」

 「え?」

 「私たちに被害がないようにってあなたは言った。でも私たちは巻き込まれてる」

 「ミュア、それは」


 完全に不可抗力だろうといいかけるが、裾をミュアに引かれ言葉を途中で止める。まだ話は終わっていないらしい。


 「あと、貴方は本物?」

 「おや、ミュア。本物とはどういう意味だい」

 「あの女の人が依頼主といっている人物。こちらの予想は言ってるけど、依頼主と肯定してない」


 そういわれるとキリル侯爵は目を丸くする。そして確かにと思う。さっきから俺は依頼主と考えていたが相手は何も言っていない。レミリカさんも依頼主と紹介していなかった。


 「は」

 「は?」

 「あはははは!これは愉快だ。レミリカよ。お主はとんだ二人を連れてきたのかもしれないぞ!これならば私から言うことは何もない。問題ないだろう。ただ、二人が本当に記憶喪失何か気になるが、そのところはどうかね?」

 「嘘は言っていないつもりですが」

 「ああ、言い方がおかしかったね。記憶喪失になる原因が気になるのだよ。彗星による影響でというなら、その過程があるはず。なのに二人は記憶がないと。だが、こちらの思惑を看破する洞察力と貴族というものがどう動くのか、などある程度の推測ができることから何かしらの教養を学んだと考えられるな。ミュアは、看破というよりは本質を見抜いたというべきかな?にしても、嬉しい誤算だ」


 なぜか話が一人先行していってしまっているキリル侯爵。突如笑ったり、と思ったら私はまだ企みがありますと示唆したり。


 「キリル侯爵。その言い方だと、レミリカさんの依頼主ではないと」

 「いかにも、私は依頼主ではないよ。依頼主に引き合わせるための審査員と思ってくれればいい」

 「審査員、ですか」

 「そうだよ。いきなり記憶喪失です。でも大きな力はあります。どこの誰かわかりません。とかいう人物をはいそうですかと、引き合わすことはできないお方でね。まだ言えばどこかの国のスパイとかの考え方もあったけど、そんな人物がここまで自分の考えを話してくれるんだ。しかも最後の理由がレミリカを信じたと。他のスパイだったら絶対に言わない理由だろうね」


 なんだか、馬鹿にされているような評価されているような微妙な言い方だな。

 

 するとこちらの表情が出ていたのか侯爵が補足してくる。


 「別に馬鹿にしているわけじゃないよ。もちろん評価はしている。ただ私は、とつくが」

 「はあ」

 「まあ、いきなり連れてこられて、こんな話をされても困るよね。実は君たち二人を合わせても良いかを、判断するように指示されているんだよ。そして一つ目は私が自身をもって合格をだそう」

 「一つ目?」

 「ああ、一つ目だ。むろん二つ目がある」

 「キリル様?私は二つ目の話を聞いてはいませんが」

 

 レミリカさんが聞くと、どこか困ったような表情をするキリル侯爵。


 「実はね、二つ目ができたというのが正確な話なんだよ。しかも、君が出て行ったあとにね」

 「二つ目ですか」

 「そう、内容は正確は良くても果たして実力は貢献できるのか。信頼できるのか解らないと言ってきた、馬鹿共がいてね」


 そんなことを言われているのか俺ら。あれ、でもシルバーベアを倒したことって実力の証明になるんじゃないだろうか。ミュアが倒したんだけどさ。


 チラリと視線を向けてきたキリル侯爵は言ってくる。


 「シルバーベアを倒したから、実力はあると判断されているのではないか、かね?」


 本当にこの侯爵はどれだけこちらの心の内を読み取れば気が済むのだろう。それともそんなに顔に出ているだろうか。


 「別に、ただこうやって人の表情から読み取らないとやっていけないのだよ、貴族というものは」


 そんなものなのだろうか。なら自分は貴族にはならないでもいいな。


 「さて、それで話を戻すが確かにショウとミュアはシルバーベアを倒し、レミリカからの報告では山火事を起こすレベルの魔法を使い、町では巨大魔法を使うという報告を受けている。……しかし、ね。騒いでいる貴族というものは、何か証拠に残るものがないと納得しないのだよ」

 「シルバーベアはだめなんですか」

 「シルバーベアについては物的証拠になるけど、報告によると君たち二人が倒したと聞いても倒しているところを見たわけではないと、レミリカが報告してね。なら、信用ならないと言われたのさ」

 「用は、いちゃもんをつけられていると」

 「はは、ぶっちゃけそう言うね。で、そのいちゃもんをつけてきている人たちが出した条件が、実力を見せろと」


 実力ねぇ。いやな予感しかしないけど。


 「ちなみに、ショウは冒険者ギルドに登録するつもりはあるかい?」

 「一応、ここを訪れた後は考えてましたけど」

 「なら話は早い。一つ目がね貴族が君にDランクになるように要請したんだよ」

 「また一つ目ですか」

 「そう、一つ目。そして二つ目は上訴している貴族の私兵と戦えと」


 また、面倒なことを。

 

 「面倒なことですまないね。こちらとしても無理なことをと思うけど、できれば達成してほしいんだよ」

 「……レミリカさん。聞きますがFランクからDランクに最短で上がるには平均時間がどのくらい必要ですか?」

 「……大体数年でしょうか」


 だよな。あの5バカ冒険者達もランクDだと威張っていたからすぐになれるものではない。


 俺は問いかけるように視線をキリル侯爵に向ける。

 

 「それで、達成期限は?」

 「三ヶ月」

 「な、キリル様!?」

 

 レミリカさんが驚いている。まあ、数年でなれると言ったのにたった三ヶ月で行えと言ってきたのだ。それは驚くだろう。


 「それで、レミリカさんが驚くぐらい無茶な要求を達成しろということですか?」

 「ああ、そうだよ。その代わり成功の暁にはとても魅力的な報酬が待っている」

 

 報酬か。でも、普通に考えて貴族たちも俺らが達成できないと考えてそんな条件を出したのだろう。そして、キリル侯爵自体も無理を言っている自覚はあると。だから魅力的な報酬と言っているのだろう。後から、大したものではないのを渡される可能性もあるがそうだったらこちらが見限るだけだ。フェレス王国を。


 「それで引き受けてくれないかな」

 「条件があります」

 「条件か、とりあえず聞くよ?」


 では遠慮なく言わせてもらおう。


 「まず、レミリカさんを補佐役としてつけてもらっていいですか?基本的なことを知らないので。色々とサポートしてもらえるとありがたいんですけど」

 「ふむ、また知らないか……。まあそれは私は構わない。というか最初からそのつもりだ。貴族たちもそのことを懸念していたが三ヶ月では無理だと思っているのか、その条件をよしとしていたようだからね。レミリカも大丈夫だろう?もちろん私からの指名依頼としてギルドに通してもらう」

 「はい、ここまできたら最後まで付き合います」

 「よし、では他の条件は?」

 「ランクを上げるってことは、モンスターの討伐とかやるはずなのでまずは装備を整える資金を、それと拠点となる宿の紹介と、お金をください」

 「それも必要だね。でもシルバーベアの素材に関してもお金は出るから、それも考えてこちらからある程度提供しよう。宿についてはレミリカに聞くといい。装備金に関しては高級品を武器防具全部、というわけには行かないけどできるだけ多く渡せるようにしてあげるから、期待してもらいたい」


 さて、他には何かあるかなと思う。無難なことしか言っていないつもりはあるが、このキリル侯爵はこちらの要望を最大限に叶えるつもりはあるようだ。これは、無茶を言っている見返りなのか。それとも、どうしても依頼を達成してもらわないと本当の依頼主からの立場が悪くなるのか。


 「最後に、俺らがこの依頼を失敗したときのペナルティーとかありますか?」

 「別にないけど、できれば達成してほしいかな。こちらとしては面白い君たちとこれで終わりとしたくないからね」


 してほしい、か。なら失うものが無いと考えて、頑張らせてもだろうかな。まだ完全にと言うわけではないが、キリル侯爵が少なくとも謀を行ってきた貴族より自分にとって味方であるとは思える。そして、この国の重鎮なら仲良くなっていて損は無いだろう。


 「他にはあるかね?」

 「とくに、これぐらいです」


 すると、キリル侯爵は笑顔で頷きミュアにも尋ねる。

 

 「という話になったんだが、ミュアもそれで大丈夫かい?」

 「…………(コクリ)」


 ちょっとした間があったが、ミュアも頷いた。


 「なら、早速先ほどの条件を手配しよう。レミリカもそのつもりで行動してくれ。この指名依頼の報酬や内容についてはあとで伝える。それでいいね?」

 「わかりました」


 ここでようやく話が終わり、解散という流れとなった。

 

 でも、と思う。結局依頼主の情報を伝えられなかったと。


 他の貴族や下級ならば、依頼主の名前を明かしてもキリル侯爵の立場なら問題ないだろう。でも話せないと考えた場合、上の階級。公爵か……もっと上か。としか考えられない。


 あ、この世界の階級制度が違う場合もあるから絶対とも言えないか。


 ……なんだかもう異世界にきたことを納得している自分がいることが少し怖いけど。慣れって怖いね。


 そんな馬鹿なことを考えていたらミュアに裾を再び引かれて現実に戻る。周りを見るとすでに、キリル侯爵はおらず、レミリカさんと俺らだけだった。


 そのことに気がついた俺らは、すぐに謝りつつ手配されるという物資を引き取るために、レミリカさんの案内の下、城の中に歩いていくのであった。


 ただ、


 「本当に、三ヶ月でなれるのかね?」


 期間の短さに少しだけ不安を覚えるのであった。


 

いかがでしたでしょうか。

なんだか戦闘パートが無く会話パートが多いですが、次からは戦闘があるかもですよ!魔物との……あったらいいな!というわけで次回も完成しだい更新したいと思います。

あとお気に入りが少しずつ増えているのがとても嬉しいです。これを見るとやる気がでてきますよ!

誤字脱字、感想などもお待ちしておりますのでよろしくお願いします。

ではまた次回に!

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