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飲んだら乗るな
制限時間:15分 文字数:443字
警官が手を挙げて近づいてくるのに気付いて停車した。俺は内心びびりながら窓を開ける。
「なンすか早くしてほしいんれすけれろも……」
早口で捲し立てようとしたが、呂律が回らなかった。警官が僅かに顔を歪めた。
まずい、感づかれたか? 俺は慌てて口元を抑えた。ビールの臭いがプンプンしているであろう息が、指の隙間をすり抜けていく。
「具合でも悪いんですか?」
警官がそう尋ねる。分かってるさ、そうやって誘導して吐かせるつもりだろう?
その手には乗らない。今にもアルコール検知器を出そうって言うんだろう? 俺は警官が不審な動きをしないか睨みつけるように観察した。
「俺ぁ急いでんだよッ」
「ちょっと車の外へ出ていただけますか?」
「行かねえよ!」
俺は警官を振り切ろうと無理やり車を発進させようとした、が、車はびくともしなかった。
「おっ、おお……?」
よく見ると、俺の手は何もかもすり抜けるようになっていた。
「さあ、諦めて早く天国へ行きましょう」
警官の制服を着た天使が、俺の肩をぽんと叩いた。
お題:奇妙な冤罪 必須要素:ビール




