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試聴
制限時間:15分 文字数:440字
何気なくCDショップに入ると、燃え盛るような真っ赤なジャケットが目に入った。
手に取ってみてもアーティスト名や曲名が書かれていない。そういうプロモーションなのか。
試聴用ヘッドホンを耳に当てると、轟々と唸るような響きが聞こえた。
変なイントロだと思っていたら、パリ……パリ、と何かを擦るような雑音が混じり始めた。
故障かと思ってヘッドホンを一旦外そうとしたが、手が何かの抵抗を感じて動かない。
まるで、誰かに押さえつけられているようだ。外せない。
あっ……、誰か……。
声にならない声が口をすうすう通り抜ける。
「――助けて……、助けて……」
ごくりと唾を飲み込んだ。自分の発したい言葉が、幼い少女の声となってヘッドホンから聞こえてくる。
轟々と風のような音が、少女の声を取り囲む。
燃え盛る真っ赤な炎の中に一人閉じ込められた少女の姿が、浮かぶ。
「助けてくれないのなら、あなたも……」
覚悟を決めた少女の声が低く耳に突き刺さった瞬間、ヘッドホンが火を噴いて、辺りは炎に包まれた。
お題:真紅の怒りをまといし作品 必須要素:ヘッドホン




