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上の空の旅
制限時間:15分 文字数:394字
幼稚園で「しょうらいのゆめ」についてインタビューされたらしい息子に、
「お父さんは昔、しょうらい何になりたかったの?」
と聞かれた。
「お父さんはね――……」
水色のスモックを着た息子に、昔の自分を重ね合わせる。
私は運転席の前にいた。身に纏っているのは紺色の制服。手には真新しい白い手袋。
操縦桿を握り前に倒すと、私の飛行機は青い空にふわりと浮かび上がった。
雲の上をぐんぐん滑っていく。
地上から切り離されたここは、静けさに包まれている。
乗客を目的地まで無事に送り届けるのがぼくの仕事だ。
いつまでも気は抜けない。
「――ぼくは、飛行機のパイロットになりたかったんだ」
「そう、じゃあ……」
息子はごそごそと幼稚園かばんをあさり始めた。
「あった!」
出てきた折り紙でいそいそと紙飛行機を折る息子。
「お父さん、乗せてあげるね」
小さな私の人形を乗せて、紙飛行機は飛んで行った。
お題:正しいパイロット




