教会ではお静かに
制限時間:15分 文字数:452字
教会にロックな兄ちゃんが歌いながら駆け込んできた。
「マイシスタアアア! 俺を罰してくれ!」
巻き舌を思いっきり伸ばした舌先にはピアスが刺さっている。
礼拝に来ている人々はぎょっとしたが、シスターは兄ちゃんを一瞥しただけで
「はいはいお兄ちゃんお静かに」
と適当に諌めた。
「いい加減に諦めたらいかがですか?」
十字を切りながら真面目そうな青年が近づいてきた。
「ああン? てめえもシスター狙いだろうが!?」
「失敬な。僕は悩みを聞いてもらいに来ただけですよ」
「悩みってなんだ?」
「なぜ貴方の側頭部はハゲているのでしょうか」
「モヒカン馬鹿にすんじゃねえ! ファウ!」
兄ちゃんは白目を剥いて切れた。青年は続けた。
「他にも悩みはつきません。なぜ人は神を信じるのか、なぜ僕はこの世に存在するのか、ひょっとして僕は神だったのではないか、と……」
「ユーアーノットゴッド!」
あまりの発想に兄ちゃんが叫び、ギターをかき鳴らして天に祈った。
シスターは
「はいはい神様もお静かに」
と軽く青年の肩を叩いた。
お題:冷静と情熱の間にあるのは修道女 必須要素:三角関係
冷静と情熱を擬人化してみて修道女の取り合いをさせるということでしたが、シスターの後にお兄ちゃんって入れたせいで関係性が分からなくなったし青年は別にうるさいってほどではないし……




