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龍宮城
制限時間:15分 文字数:395字
海に呑みこまれていく瞬間、周りから音が消え、とても穏やかな心地になった。
さようなら、まだ私を失うことに気付いていない、私の世界。
静かに、ゆっくりと沈んでいく。
水の中で姫の黒髪がゆらゆらと揺れていた。彼女は人魚のようだった。
「素敵」
声は空気を生み出さず、水を震わせた。
優雅な佇まいを崩さず、姫は私にお辞儀をした。
小さな魚がつう、と私と姫の間を通り抜け、尾びれで桃色のイソギンチャクを指した。
「座れってこと?」
腰を下ろすとイソギンチャクはふにゃりと崩れそうになったが、私にちゃんとフィットした。
目の前のスクリーンには、風景以外を抜いた走馬灯のような、印象的な景色のシーンが映っている。
色とりどりの虹のような魚たちが、姫の手の動きに合わせて集ってくる。
夢のような光景だが、これは……。
白い珊瑚礁がみるみるうちに大きくなっていき、私を取り囲んだ。
これは、私の牢獄だ。
お題:意外!それは流刑地
流刑地→海→龍宮城の発想でした




