闇を抱く
制限時間:15分 文字数:432字
花音はふいにクロカに振り向いた。
「わたしはあなたのもの、あなたはわたしのもの、ってね。えへへ」
屈託のない笑みを浮かべる少女には、しかしとても手が届きそうにない。
「君は眩しすぎるわ」
目を細めて、やっと視界に入れることが出来る花音。きっと彼女はどこへだって行ける。
クロカはどこへも行けない。
「私はもう、闇に呑まれるしかないの。ごめんなさ……」
敵が――もうすぐ我が主となる――が、もう、すぐそこまで迫っている。
だから、花音だけでもこのまま幸せに、生きて?
初めて祈ることが出来た相手だった。目を閉じ、クロカはただ静かに待つ。
「させないよ」
「!?」
閃光が闇を包み込んだ。クロカの身体が宙に浮かび上がっていく。
「何が起きたの……?」
花音は両手を広げて言った。
「あなたが闇を飲み込んじゃえばいいんだよ。そしたら、わたしが、抱いてあげる!」
「君は……」
「言ったでしょ、あなたはわたしのものだって」
すべてを包み込む少女は、すべての悪を抱きしめた。
お題:光の闇
相反するお題ってどうにでも取れてなかなか難しいです。
百合風バトルを目指したけれど、よく分からない感じに…




