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プロローグ

 ここは迷宮都市アドリウム。

 数百年もの間富を吐き出し続け、一度として枯れたことなく恵みを与え続ける神々迷宮が存在する都市だ。一攫千金を夢見て数多の人々が訪れ、悲喜交々の物語が泡沫の様に浮かんでは消え、悠久の時の中でいくつも紡がれていく都市でもある。


 神々の迷宮。

 下層に行けば行くほど強靭で凶悪な魔物達が闊歩する生きた迷宮である。冒険者達は幾多の強敵を倒すことで、あるいは迷宮の恵み、鉱物や動植物を採取することで、己の命を賭して巨額の富を得ることができる。

 志半ばで迷宮に命を捧げた冒険者は枚挙に暇がない。星の数ほどの冒険者が散りながらも、また新たな冒険者がこの都市に訪れる。自分の命を天秤に掛けてでも、手に入る報酬が魅力的だからだ。成立ての下位冒険者でさえも、一か月迷宮に潜れば一般的な市民の一年分の稼ぎを得られるのだ。


 だが、その迷宮の恵みを手に入れるのは簡単ではない。迷宮のいたる所を徘徊する恐ろしい魔物達を倒し、宝を手に入れなければならないからだ。

 魔神に竜、巨人に精霊、邪霊に魔獣など、迷宮の強剛な魔物達は限がないほど存在する。

 中でも真なる竜とは天災が形を成し、破壊を振り撒く驚異の象徴である。竜によって滅ぼされた町や村は、それこそ数え切れない。竜と対峙した人間は、心の深奥から生ずる恐怖に身を竦まされ、碌に抵抗もできずにその牙にかかってしまう。竜の呼び覚ます恐怖は、一握りの勇気ある人間だけしか克服することのできない、人の魂、根源に刻まれた恐れなのである。

 だからこそ竜殺しは偉業であり、尊敬と畏怖の念を一心に受け、人々から称賛される栄誉なのである。


 きみがそんな真の竜に出会ったら、どうするだろうか?

 下位冒険者の中でも3つ星を得、冒険者と名乗っても恥ずかしくない力を得たきみだ。

 己が心の猛るまま、雄雄しく烈火の如く闘うだろうか?

 それとも理性を持って冷静沈着に立ち回るだろうか?

 あるいは、敵わぬと判断し力を付けるまでは一時的に退散するだろうか?

 勿論、どの選択を取るのもきみの自由だ。

 ただここ(迷宮)は全てを受け入れるだけなのだから・・・。


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