第15話
エルはカイ達を伴い3階層に降り立った。
赤土が周囲を覆い、魔鉱の弱い青光が灯りとなって照らし出す洞窟さながらの迷宮だ。最近は草原の迷宮での闘いに終始していたが、つい10日程前はエルもこの巌窟の様な迷宮に潜っていたので記憶に新しい。
迷宮の情報誌を見ずとも階段までの位置は覚えていたので、最短経路を通って階段に向かい急ぎ足で3階層に降りたのである。
また、途中で出会った魔物については、エルが接敵するや否や全て1撃で粉砕した。成長したエルにとって2階層までの魔物は力不足で物足りなく感じるほどだった。大山猫でさえ力を篭めずに軽く振った拳に耐えることができず、呆気なく絶命したほどだ。エルは自分の急成長にも冒険者の成長とは早いものだと、無頓着に軽い感慨を抱く程度であった。
一方、カイ達はというとエルの余りの強さに戦々恐々していた。年も近く武器を持たない素手のエルにどこか侮る気持ちもあった様だが、そんな思いなどエルの驚異的な実力に一瞬で消し飛んでしまった。先頭に立ち迷宮を案内しながら出現する魔物をいとも簡単に屠りさる姿は、何か自分達とは異なる生き物に思え、畏怖の心が芽生えるほどであった。
だが、彼らも未熟ながらも冒険者である。畏れを抱く気持ち以上に、強力な力を有するエルに頼もしさを感じた様だ。
3階層に着くまでに十分に実力差を把握したカイ達は、恐ろしいながらも優れた実力者に鍛えて貰える幸運に感謝したのだった。
3階層の探索を続けながら、エルはカイ達に戦闘の準備を促す。
「皆、いつでも闘える様に準備をして。
とりあえず魔物1体との戦闘が見てみたい。
複数出てきたら残りは僕が相手するよ」
「ああ、わかったぜ」
「ええ、わかったわ」
「頑張りますっ」
「頑張る」
4人とも肯定の意を示すと周囲の警戒を強める。エルはカイ達の様子に満足すると魔物を探し求めた。
開けた部屋の様な場所に歩いていると通路から犬鬼が1体飛び出してくる。都合の良いことに1体だけなので、カイ達に任せてエルは後ろに下がり応援することにした。
「皆頑張って」
「任せろ。
皆行くぞっ」
「「「はい」」」
カイを先頭にして全員が犬鬼に駆け出した。
カイは走る勢いを乗せた長剣を犬鬼の頭目掛けて垂直に振り下ろす。
しかし、犬鬼は瞬時に反応し、抜き身の赤銅色の剣を頭上に掲げカイの剣を受け止める。しばしの間鍔迫り合いは拮抗していたようだが、どうやら単純な腕力は犬鬼に分があるようで、カイが弾き飛ばされる。
体勢を崩したカイに襲い掛かる犬鬼を止めようと、シャーリーが偃月刀で斬り付ける。肩口を斬り付けるも、革鎧に阻まれ刃が弾かれる。だが、シャーリーの援護のおかげでカイは体勢を立て直せたようで、再び犬鬼に果敢に斬りかかった。
シャーリーに意識が向いていた犬鬼は受けが間に合わず、頭にカイの一撃をもらってしまう。頭部から血が流れだし苦痛に呻くと、目が血走り耳まで裂けた大口を開けて、獣の本性を剥き出しにした咆哮を上げる。犬鬼は我を忘れて怒りに身を任せると、無茶苦茶に剣を振り回してカイを攻撃する。
シエナから牽制の矢を鎧のない剥き出しの太ももに受けるも、自分の傷などお構いなしにカイに斬り付け続ける。カイは受けに徹するが、やがて力の差で押し切られ左腕を切り裂かれてしまう。
「カイ君っ。
今助けるね。
大地の癒し」
ミミの回復魔法によって、カイの傷が見る間に癒え始める。ミミはどうやら大地母神エーナの信徒のようだ。創生の神話に謳われる大地母神は獣や人、そして亜人など全ての生物を生み出した母神として崇拝されており、特に亜人と呼ばれる純粋な人間以外の種族の人々に心棒されることが多い。ミミは耳の形から猫科の獣人と目されるので、自分の一族に馴染みの深い大地母神の信徒になったのだろう。
「シャーリー、シエナ、時間を稼いでくれ。
奥の手を出す」
「「了解」」
カイの決意を込めた指示に二人が呼応し、犬鬼の注意を引き付けようと必死に攻撃を加える。シャーリーが前衛を務めて偃月刀で突きを放ち、後方からシエナが矢を連射して少しずつ傷を増やしていく。犬鬼も頭に血が昇っているせいか、自分に攻撃してくる目障りな二人を倒そうと襲い掛かる。
その間、カイは胸の前に両手で剣を掲げ目を閉じ集中している。奥の手と言っていたので、何か秘策があるのだろう。
だが、カイが準備している間にもシャーリーが傷付いてく。急いでミミが駆けつけシャーリーに癒しの奇跡を行うが、回復が追い付かず見る間にシャーリーの動きが悪くなっていく。いつシャーリーが倒れてもおかしくない気が気でない状況に、エルはいつでも助勢に入れるよう移動を開始する。カイの準備が間に合わなずシャーリーが危険な状況に陥ったら、エルは割って入ろうと決断した。
エルがはらはらと事の成り行きを見守る中、3人の少女達は驚異的な粘りを見せ犬鬼の猛攻に堪える。少女達にとっては永劫の時と感じる様な苦境に堪え凌いでいると、ようやくカイの準備が整った。カイの掲げる長剣の刀身から緑の気が立ち昇る。ただし、気は立ち昇っては煙の様に消えてしまっているので、きちんと剣を気で覆うことはできないようだ。
カイはシャーリーを倒そうと集中している犬鬼の後ろに回ると、その無防備な後頭部に全力で長剣を叩き付けた。
「くらえっ、気剣」
未熟ながらも気で強化された一撃は、頭蓋骨を越え脳まで刃を届かせる。犬鬼は大量の血を撒き散らすと倒れ伏し、そのまま動かなくなった。
カイ達の勝利である。しかし、辛勝といったところで、4人の呼吸は荒く勝利の代償は大きかったようだ。シャーリーは疲労と負傷のせいで床に座り込んでしまっている。
エルは直ぐ様駆け寄ると魔法の小袋から回復薬を取り出し、シャーリーに飲ませた。
カイ達が休憩している間にエルは先ほどの戦闘を回想する。彼らの自己申告の通り、3階層の敵を相手にするのはまだ早いようだ。彼らはわざわざ鎧の上に通らない無茶苦茶な攻撃をしたり、防御に関しても我を忘れた犬鬼の攻撃を受けるほどお粗末なものであった。おそらく彼らはどこにも師事しておらず、我流で闘い方を身に付けたのだろうと当たりを付ける。
ただし、先ほどカイが放った最後の技は、軍神流の剣術で伝説などにもよく登場する気剣だ。そうであればカイは軍神アナスの信徒ということなるが、彼の剣技は型もない様な出鱈目なものであった。
推測では答えが出ない疑問を解消しようと、エルは4人が落ち着いたのを見計らって話し掛けた。
「皆お疲れ様」
「なんとか勝てたけどひやひやしたぜ」
「ええ、苦しい闘いだったわ。
それで、私達の評価はどう?」
「うん、君達自身の評価通り3階層はまだ早いようだね。
ところで、カイ。
さっきの気剣だけど、君は軍神の信徒かい?」
「ああ、そうだぜ」
「だけど君の剣は我流じゃないかな?」
「ちっ、やっぱり簡単にわかるか。
軍神流の剣術は5階層を突破しないと教えないそうだ。
けちけちせずに教えてくれりゃいいのによ」
「じゃあ、気剣はどうやって覚えたの?」
「俺達の村に昔軍神流の剣士だった爺さんがいてな。
その爺さんに頼み込んで教えてもらったんだよ」
カイの言葉を聞いてエルは考え込む。他人から教えてもらったとしても、気の力に目覚めるのは難しい。エルはアルドに気を呼び起こしてもらったが、迷宮の魔物から魔素を吸収して己を強化してからだ。アルドも冒険者でない一般人なら、長い修行の果てにしか気の力を得られないと言っていたので、もしかしたらカイは気を操るのに長けた才能があるのかもしれないと推察する。現時点では未熟な新人であるが、鍛え方次第では大化けする可能性もあると、エルは気が高揚し期待に胸が膨らんだ。
だが、これからの育成方針が問題だ。格闘術ならエルが教えられるが剣技や弓技などは教えることはできない。このまま我流を伸ばしていっても先は見えているので、どこかで基礎を教えて込んでもらう方がいいだろう。ここはやはりエル自身もお世話になった協会の教官に鍛えてもらおうと方針を決める。
迷宮探索後に教官に申し込んで、明日から彼らをみっちり扱いて貰おうと計画を立てると、カイ達に今後の方針を提案した。
「僕なりに今後の方針を決めたんだけど聞いてくれるかい?」
「はい、エルさん。
お願いします」
「まず君達は我流の部分が多過ぎるので基礎を学んで貰おうと思います」
「わかった。
エルが俺たち全員に教えてくれるのか?」
「うん、そのことなんだけど、僕に借金する気はあるかな?」
「「「はあっ?」」」
エルの突拍子もない提案に全員仰天してしまう。カイ達から怪訝な視線を送られると、エルは慌てて自分の言葉足らずの提案を補足する。
「ごめん、説明不足だったね。
僕は協会の訓練所の教官に、皆に基礎を教えてもらおうと考えているんだ。
でも、教官の指導にはお金が掛かるでしょ。」
「それでお金がない私達に借金しないか、っていう提案をしたのね」
「シャーリーの言う通りだよ」
「でも、俺達がお金を返せるかわからないぜ」
「だから僕も皆と一緒に迷宮に潜るんじゃないか。
そうだね・・・、戦利品の五分の一が僕の取り分でいい。
そこからゆっくり借金を返してくれればいいよ。
もちろん、利息も期限も設けないから安心していいよ」
エルの提案は4人にとってひどく魅力的だ。カイ達も我流の闘い方では未来がないことは理解していたからだ。今迄は金銭的余裕がなく、学びたくとも不可能だったので、エルの提案は渡りに船であった。だが、この提案はエルには全く利益が生じない。何か裏があるのかと、ミミが恐る恐る疑問を口にする。
「でも、エルさん。
その方法だとエルさんに利益がないじゃないですか?」
「君達からお金を稼ごうとは思ってないからね。
僕は見ての通り素手で武器がいらないし、防具もあまり修理が必要じゃないから、お金に使うのは道具類ぐらいなのさ。
こう言うと傲慢に聞こえるかもしれないけど、今の所僕はお金に困ってないんだ」
それでもミミは懐疑的な表情を変えない。エルはミミに安心してもらうためにも、自分の心情を吐露することにした。
「それに正直な所、君達に稼いでもらうより僕自身が稼いだ方が効率が良いんだ。
今の僕が8階層に1日潜れば、総額で金貨1枚近い金銭が得られるからね。
君達全員を教導してもらう代金は銀貨10枚ぐらいだから、僕の1日の収入の1割程度だね。
その程度の額を貸したとしても、僕に負担にならないと思わないかい?」
「それはそうかもしれませんが・・・」
「それでも心配なら、僕の名前と武神様の名前に誓ってもいい。
セレーナさんに立ち会ってもらって、誓約書を書いてもらっても構わないよ」
そこまで言うとミミもようやく納得したのか、笑顔を見せる。自分の信仰する神に誓うのだ。それを反故にするという事は、神への信仰を断つことに等しい。一度神の名の元に交わした誓約を破れは、二度と神を信仰することはできなくなるのだ。神の名に懸けて誓うとは、この地に住まう人々にとって決して裏切らないという最上級の証であった。
ようやくミミは安心すると、今度は不躾な質問をしたと顔を青褪めさせ何度を頭を下げて謝罪する。
「エルさん、こんな失礼な質問をしてすいませんでした。
私達はもう後がないので焦っていました」
「気にしなくていいよ。
僕達はまだお互いのことを知らないし、行き成りの申し出に疑念を抱くのは当然のことだと思うよ」
「それでも失礼なことを聞いたのに変わりありません。
すいませんでした」
恐縮しきりのミミに微笑むと、カイ達を見渡す。皆一様に頷いており特に反対している雰囲気もないので、エルは提案は受け入れられたと判断し、全員を鼓舞するように発破をかけた。
「もし僕の提案に感謝してくれるなら、頑張って立派な冒険者になってくれないかな?
皆が下位冒険者になってくれれば、僕も神の試練を克服することになるからね」
「ああ、エルのためにも必ず下位冒険者になって見せるさ」
力強いカイの宣言に女性陣からも笑顔が溢れる。エルも安堵すると、脱線した今後の方針について話を戻す。
「それじゃあ今後の方針に戻るけど、まず明日から3日間は教官に皆を指導してもらおうと思う。4日後からは、しばらくの間午前中は協会の訓練所で修行してもらい、午後からは僕と一緒に迷宮探索にしようと思うけどいいかな?」
「一日中探索じゃ駄目なのか?」
「教えてもらった技は実戦で鍛えるのも大事だけど、体が技を記憶するまで反復練習するのも大事なんだ。
型も覚えずに適当に攻撃するんじゃあ、我流と変わらないからね」
「ちっ、痛いこと言ってくれるな。
わかったよ。
俺はエルの方針で構わないが、皆はどうだ?」
「私は賛成よ」
「賛成です」
「賛成」
全員が頷くのを見てエルは大きく安堵の息を吐く。納得してもらわなくては話が進まないし、口下手のせいもあって説明するのも一苦労だ。やはり他人と係るのは難しいなと、エルは普段とは違った精神的疲れを感じて嘆息した。
「よし、方針も決まったことだし、今日はこのまま3階層を探索しよう。
今度は僕も闘いに参加するから安心していいよ」
「それなら安心ですね」
「ただし、僕は壁役に徹するから、魔物を倒すのは君達だ。
急所、または足などの相手の動きを鈍らせる箇所を狙って攻撃するんだ。
それとこの5階層までの情報誌は僕にはもう必要ないから皆にあげるよ」
エルは突然の事に面食らっているミミに情報誌を手渡した。人からの好意に余り慣れていないのか、彼女達はお互いに顔を見合わせ戸惑っている。まるで人に懐かない獣を餌付けする気分になり苦笑が出るが、ここで徒に時間を無為にしていても勿体ないので強引に押し切り探索の再開を促す事にした。
「その本は探索後に良く読んで、戦闘が有利になるように皆で情報を共有しておいてね。
さあ、魔物を探しに行こう。
しばらく訓練で収入がなくなるから、今日のうちに沢山稼いでおこう」
「おっ、おう、わかったぜ」
「ええ、わかったわ」
返事をしながらあたふたとカイ達は出発の準備を始める。全員の用意が整ったのを見ると、エルは先頭に立ち周囲を警戒しながら迷宮の探索を再開するのだった。
それから体感で日暮れ近くになるまで、延々と3階層の魔物達と闘い続けた。エルにとっては、犬鬼や魔法使いは完全な格下であったのであまり痛痒を感じなかった。例え犬鬼の剣戟や魔法使いの魔法を受けたとしても、エルの鍛え上げた肉体を傷付けることはできはしないからである。もっとも、気の運用による防御や廻し受けや螺旋受けなどの防御法もあるので、エルが攻撃を受けること自体稀であった。
また、カイ達はエルという強固な壁役が加わった事により余裕をもって戦闘を行う事ができた。カイやシャーリーならいつ崩れてもおかしくない複数の魔物との同時戦闘であっても、エルの顔が曇ることはなく終始泰然として攻撃を一手に引き受けてくれるので、魔物を倒すことだけに集中できた。信頼できる壁役がいるだけで戦闘はこれほど変わるのかと、目から鱗が落ちたほどのできごとであった。
エルとの出会いは最悪の部類といっていいほどであったが、冒険者稼業が崖っぷちのカイ達にとってたとえ神の試練のための助力であったしても、エルは正に救世主であった。しかも、頼りなさそうに見えた同年代の少年はその実優秀な冒険者であり、自分たちと比較にならないほどの圧倒的な戦力を有していたのだ。対面当初の蟠りがあるものも熾烈な戦闘を協力して闘うことで徐々に確執も薄れ、打ち解け始めるのであった。
食材を除いた本日の戦果を協会で買取してもらうと、銀貨5枚ほどになった。エルにとってはそれほど多くないが、カイ達にとっては数日分の収入になる大金である。エルは本日の収入と食材を全てカイに渡すと労いの言葉を掛けた。
「今日はお疲れ様。
疲れたろうから、教官に訓練を申し込んだら解散にしよう。
その後はゆっくり休んで、明日に備えてね」
「エル。
お前の取り分をとってないぜ」
「僕への報酬は次回からでいいよ。
僕の提案のせいでこれから数日間は収入がないだろうから、遠慮せず受け取って欲しいな」
「エル・・・」
満面の笑顔を浮かべるエルの表情から本気の提案である事が窺える。どうやらエルは金銭に執着する性質ではないようだ。それゆえの提案なのだろうが、あまりに気前が良すぎて逆にカイ達の方が心苦しく思うほどだ。そんなエルを心配してシャーリーが忠告する。
「エル、あなたそんなにお人好しだと後で痛い目見るわよ」
「心配してくれてありがとう。
でも、余裕を持てる範囲での提案だから、本当に気にしなくてもいいよ。
さずがに自分が餓えてまで他人に施しするほどの善人じゃないから大丈夫さ」
あっけらかんと言い切るエルにカイ達は呆れた様なため息をもらす。エル自身は全くの善意からの提案であったし、生活が苦しいカイ達にとってはエルの提案は抗い難い魅力的なものであった。視線を交わし頷き合うと有り難くエルの申し出を受けることにして、カイは感謝を述べる。
「エル、ありがとう。
この借りは俺達が成長することで返すぜ」
「うん、それが僕にとっての一番の報酬さ。
皆、これから3日間頑張ってね」
「ああ、エルに見違えるほど成長した姿を見せてやるぜ」
「ええ、頑張るわ」
「頑張ります」
「頑張る」
カイ達の気合いの入った威勢の良い声に、エルも嬉しくなり笑みが零れる。
対面時の確執からどうなる事かとひやひやしたが、何とかカイ達とやっていけそうだとエルは胸を撫で下ろした。彼らも戦闘時はエルの指示を素直に聞いてくれるし、反応も悪くない。今日のカイ達の戦闘は十分満足の行くものであった。否が応にも彼らの今後に期待が高まるというものである。
この新たな出会いがエル自身に何をもたらすかわからないが、少なくとも彼らの努力が無にならない様に、彼らの冒険者への道が閉ざされない様に、自分も精進しなければならないと決意を新たにするのだった。
訓練所の教官に4人の訓練を頼み金銭を先払いすると、カイ達に別れを告げエルは宿に戻ることにする。すっかり暗くなって家々から微かな灯りが灯り出す様を横目に、4日後に会う彼らの成長した姿に思いを馳せながらエルは足取りも軽く帰路に着くのだった。