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“絶望”と“希望”の二人

掲載日:2013/07/16

―――さぁさぁ昔話を始めるよ。


―――これは、希望を知らない少年と


―――絶望を知らない少女の物語さ。


『昔々の物語………』

荒野に、少年が歩んでいました。


――誰か、希望を下さい。


誰かに向って、一人で喋っていた。


――明日を元気に過ごせるような、希望を。


彼にはもう家族はいない。


――たったひとかけで良いです。


明日の日を拝めるかどうかさえあやしい。


――ただ、明日を生きれる様な“希望”が知りたいんです。


少年は、光に向かって歩き続けた。



裕福な家に、一人の少女がいました。


―誰か、絶望を教えてくれない?


何かに向かって、一人で喋っていた。


―明日も生きれるかどうかわからない様な、絶望を。


彼女は家族がいても孤独だった。


―たった少しで良いの。


だからこそ全てを知りたかった。


―ただ、明日死ぬかもしれない“絶望”が知りたいの。


彼女は、闇に向かって歩んで行った。



―――なら二人で入れ替わったらどうだい?


突然現れたニンゲンがそう言った。


――入れ替わる?


―誰となの?


二人は別々の場所で、それぞれ言った。


―――“希望”に埋もれた少女と。


―――“絶望”に埋もれた少年と。


ニンゲンは、それぞれに告げた。


――…一日だけで良いんです。


―一日だけ、入れ替わるわ!


二人はそれぞれ言う。


―――なら決まり。


ニンゲンは言いながら、二人を入れ替えた。


―――これで君は裕福な子族さ。


ニンゲンは少年にそう告げた。


―――これで君は孤独な流民さ。


ニンゲンは少女にそう告げた。



一日は、とても長かった。



少年は“希望”を知ったものの、言い様のない孤独に襲われていた。


家族が沢山いるのに、誰も少年を見ようとはしない。


食事も別。


少年は、これが“希望”なのか…と落胆した。



少女は“絶望”を知り、温かな場所へと歩んで行った。


家族は誰もいないものの、考えようによっては家よりも楽しかった。


少女は、これが“絶望”なのね…と喜んだ。



一日が終わった。


少女達は元に戻った。


ニンゲンは姿を消す前に、こう告げた。


―――君等はもうすぐ出会うだろう。


―――泊めてやったらどうだい?


―――君達はもう“一人”じゃないんだからさ。


そうして、ニンゲンは跡形も無く消え去った。

『その後、二人は本当に出会う事ができて…仲良く暮らしましたとさ。』


―――めでたしめでたし…ってね。


―――ん?そのニンゲンは何者だったか?


―――そりゃあ、自分で考えた方が楽しいだろう?


―――ああ、そう慌てなさんな。またいつか会えるさ。

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