†そして手紙の続きに…
悪夢だった。
封筒の中には、確かに手紙が一枚入っていただけだったのに…
「…冗談だろ?」
取り落とされた空っぽの筈の封筒から、ころん…と転がり落ちてきた。見覚えのある球体…
あのおかしなガラス玉が、不気味な光を帯び、マリアの足元に転がっている。
「手品かよ…じゃなきゃ魔法か?」
おかしくなりそうな頭を押さえ、マリアは浅く、小刻みにこみあげる呼吸を沈めようと、深く息を吐き出す。
「マリア!」
背後から声をかけられたマリアは、はっと我に返った。マリアの声に驚いて起きてきたユアンが、心配そうに見つめている。
「どうかしたの? 大きな声出して」
「あ…あぁ、何でもないよ」
ユアンに見つからないように、手紙とガラス玉をとっさにポケットへねじり込む。
「いやぁ、飯食おうと思ってナプキン取ったらさぁ、ゴキブリが出てきたんだよ。もーびっくり!」
何とか必死に取り繕うマリア。隣の部屋のドアの隙間から二つの視線を感じる。ルーシーとスージーだ。
「もう、驚かせないでよ。しょうがないな、夜食作り直すからさ。マリアは双子を寝かし付けててよ」
「お、おぅ!」
鳩が豆鉄砲を食らった様な、挙動不振極まりない眼球運動をしているマリアだが、寝呆け眼のユアンは気付いていない様だった。
「ルー、スー、ほらおれが一緒に寝てやるぞ」
二人をベッドに促して、マリアも続いた。
まだ朝も早いが、今日はマリアの誕生日。
遅い晩ご飯を済ませ、眠りについたマリアが再び目を覚ました時。マリアは己の異変に気付くことになる。
そして、不思議なあの15個のガラス玉と謎の手紙の意味が明らかになる時が、刻一刻と迫っていることを、マリアはまだ知るよしもなかった。
†前回の話にメッセで質問があがったので皆様にもお伝えします。ルーシーとスージーは双子ですが、一卵性か二卵性かは『不明』という設定です(孤児なので)。ただ、容姿は一卵性の如く、です。†こうして疑問やアドバイスをいただけると、改めて自分のどこが『弱い』かを教えていただけて、本当感謝しています。†某『照れ屋さん』様。あのリアリティの無さは後々物語に深く関係してきますので、お楽しみに☆メッセありがとうございました(嬉)