†謎の贈り物
それが毎日届く様になってから、かれこれ二週間は経過しただろうか。
最初のうちは、近所の子供が落としたり忘れていったものなのかと思い、預かっていた。
しかし、一向に持ち主が現われる気配はない。もしかして、悪戯か? とも考え、犯人を特定するべく調査(といっても、ご近所さまに最近の町の様子をうかがい、なぜか井戸端会議に発展たり、怪しい人影はないか尋ねて自分が怪しまれてみたりする程度だが…)もしてみたが、それらしい人物はいないようだった。
「二週連続。ここまでくると、腹立たしさも通り越して不気味だな…」
透明なジャムの瓶の中に、無造作に詰め込まれた14個のガラス玉を見つめ、四人は思案に暮れていた。
「どうする? こうなったら官憲に通報する?」
ユアンが最善の案を出す。それに対しマリアは、握り拳を高らかに振りかざし、
「屈折二週間、ここまで来たんだ。おれ達で犯人を突き止める! だって、何でこんな嫌がらせすんのか知りたいし! えー…他に意見があるやつはいるかー?」
すっ、とルーシーが手を差し上げ、とんでもないことを言った。
「犯人はこの中にいる」
「「えーー?!」」
沸き上がる二つのブーイング。マリアとユアンだ。
「ルーシー。何でぼくらがそんな意味不明なことしなくちゃいけないんだい? 理由が見つからないよ」
「…おまえ、アレだろ。単にその台詞が言ってみたかっただけだろ?」
マリアが茶化すと、瞬時にルーシーの頬が朱に染まる。
「違います! そうね…言葉が適切ではなかったわ。わたしが言いたかったのは、誰か身に覚えはないかしら? って意味よ」
マリアとユアンは顔を見合わせる。
「例えば?」
マリアがつまらなそうに言葉を促す。
「マリアさん、あなた最近もめ事を作った覚えはなくて?」
そんなもんねーよ、と言いかけて、マリアははたと気付く。
「気に入らない客に、わざとドリアンパフェを頭からぶっかけてやった…」
「それだわ…」
「いや、待て? 付き合えってしつこく迫ってきた男のケツ毛に火をつけてやったこともあった! あいつか?」
呆れた顔でユアンが立ち上がる。戦線離脱だ。
「じゃあ犯人は、マリアに恨みを持ってる人物ってことで…」
「ええ、そうね。自業自得ってことね」
ルーシーも、一足先にベッドで眠っているスージーのところへ足を向ける。
一人取り残されたマリアは、青ざめた顔でブツブツ呟く。
「でも、でも…そんな粗野で野蛮で知能の低い野郎どもが、こんな可愛らしい悪戯程度で済ますか? 他に…他に…うーん…」
その日の晩。
遅番の仕事から帰ったマリアが、いつも通りにユアンの作っておいてくれた夜食を食べようと、掛けられた布を捲り上げると、そこには夜食の他に、一通の封筒があった。
表には『マリア・クレメンス様』とだけ書かれ、差出人は不明。
自分宛てなものだから、当然封を切り、マリアは手紙を開いた。
そこに書かれていたのはーーー。
『 親愛なるマリアへ
もうすぐ、逢えるね。』
夜の静寂に、マリアの悲鳴とも雄叫びともつかない声が響き渡った。
†お疲れさまです。ようやく本編に突入したみたいです。何せ携帯からちまちまと投稿しているので、テンポが悪すぎ!すみません。†今日は初コメントをいただいてしまいました。星野様、ありがとうございます!コメントを拝見してからというもの、感動に打ちひしがれ、仕事もおぼつかない程嬉しかったです。奏、頑張ります。これからもどうぞ、ご指導ご鞭撻ビシバシ宜しくお願い致します!†皆様の心が癒される様な優しい物語を目指します☆