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†疑惑と困惑の狭間に

 うるうるの瞳がマリアを見つめる。

「何でおれじゃなきゃダメな訳? それにさっきからおれのこと“様”付けで呼んでるけど、気持ち悪いから止めろ」

 視線を反らすとリドリーは素早く回り込む。

 うるうる。

 うっとうしい。

「ダメです! マリア様はマリア様! 高貴な魂を宿された方を無下にお呼び出来ません」

 高貴な魂?

 魂に高貴も下賤もあるのか、とマリアは訝しんだ。

「バカ言うな。おれみたいな最下層のガキが高貴だかなんだか知らないけど、様付けで呼ばれるなんて、身に覚えはないんだよ。もしかしてあれか? さる貴族のご落胤ってか? 残念。おれ生まれたときから両親いないし、身元証明出来るものなんて何一つ残っちゃいません。それとも何何? 酒場でおれを見かけたヤツが、昔の女に似てたとか? もしかして自分の子かとか言って、おれのこと引き取りたいって?」

 マリアのマシンガントークに、リドリーは入る余地もなく、ただ悲しそうにしゅんと俯いている。

「バカはアンタだーね。人ン話は最後まで黙って聞きぃなねー!」

 しばしの間に割って入って来たのはバトリーだった。

 バカにバカって言われた。しかもただのバカじゃなくて、バカ妖精に。

 マリアは少し傷ついたが、ちっとも気に留めていないフリをした。

「だいたい、ご落胤迎えに妖精よこすさる高貴な方って誰よ、よく考えて御覧なさい、ありえないでしょう? 私達はある役目を持った妖精なの。誰かが使わしたとかそんなんじゃなくて、その役目はあなたが生まれる前から決まっていたことなの。そう、それは誰に教わることもなくウミガメの子供が海を目指すのと同じくね!」

「姉さん…標準語になってるよ」

「Σッはぁ! しくじったわいな!!」

 いろいろと突っ込みどころ満載の妖精姉弟だ。

 マリアはバトリーの話を聞いて、ある疑問を覚えた。役目のため…それも自分が生まれる以前から背負わされた役目とは? その役目と自分とがどう関係するのかを。

「おれじゃなきゃいけない理由って?」

 マリアの問い掛けに、リドリーとバトリーは手を取り合い、マリアに向かい合った。その姿は、一対の絵画のように美しく、神々しささえ感じさせた。

 そして二人は静かに言った。


「マリア様。あなたの魂は全ての妖精、精霊の王。万霊王様」


「我、しるべの妖精バトリーと…」


 バトリーが目線で促し、リドリーが続ける。


「導きの妖精リドリー」



『我ら真世界より、あなさ様をお迎えに参りました』


 声を揃え、マリアを掻き抱くように手を差し伸べる。


 万霊王。


 聞いたこともない言葉なのに、マリアは胸が熱くなった。

†なんだか物語の展開が先読み出来てしまうような内容ですね(汗)でもまだ『マリアじゃなきゃダメ』の真の内容には触れてません。ここからどう物語が変容していくか!…すみません。私の力量不足で話のテンポも更新のテンポも悪くて…でも着実に奏とマリアの軌跡をこの物語に残します!2006年もどうぞ宜しくお願い致します。2005.12.30

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