1日目 7
「ど、どうですか......?」
「普通に美味いな。もっと突拍子もない味がするかと思ったんだが。肉はこちらで食べる家禽のものと大差ないように感じる」
からあげは無事に異世界での合格点をもらえたようです!!
そうか、こっちでも肉用に鳥類を飼育してるのか。
食文化はそう違ってないみたいね。
一通り食事が終わったところで、再びさっきのお茶を頂く。
あー落ち着くわ。
「それで話の続きなんだが」
おおっと!そうでした、落ち着いてる場合じゃありませんでした。
「さっきも言ったが、お前が運ばれて来た理由は『天上の方』しか知らない。だが、彼の方にはそう易々と会える訳ではないんだ」
っていうか易々とじゃないにしろ会えるってことにビックリなんですけど。
だって神様なんでしょ??
まぁ実際に会えるんなら元の世界に帰してって直談判したいところではあるわね。
「この世界でもごく限られた人間しか、彼の方は姿を見せない。そうなるとお前が直に『理由』を聞くという手段は非現実的だな。また、そのごく限られた人間にそれを代わりにさせるのも同じで、まず不可能だろう」
「そっちで勝手に連れて来たくせに、帰してくれないだけじゃなくて、その『理由』を聞きに行くのもダメなんてちょっと理不尽すぎやしませんか」
「これは、『理由』が運ばれて来た人間のみでなく、この世界にも関わるからなんだ。ある意味双方に与えられた試練とも言える」
なんかその神様、いじわるくないかぁ?
自分の世界の人に試練を与えるのは、まぁ勝手にしてって感じだけど、他の世界から人さらってきて「仲良く解決してね」って私側には全くメリットないじゃない!
そうは言っても自分自身が人質のようなもんだから、協力しないわけには行かないのが現実なんだけどね......
「それで、本人に直接聞くのは無理ってのは分かりましたけど、そうしたら私は一体これからどうしたらいいんでしょう?」
「『理由』を見つけ出し、それを解決することだな。それが唯一の帰る手だてでもある。また、『理由』は大抵の場合一番最初に着いた国にある。例外でその国以外にあることもあるが、それでもまず最初に着いた国が大きく関わっているのは確実だ。そして運ばれて来た人間は、その『理由』から逃れることは出来ない」
「逃れることが出来ないっていうと?」
「どこに居ようとその『理由』はお前の周りで確実に起きる」
「なんか怖いんですけど......」
しかもその『理由』とやらがどんなものか分かっていないだけに特に!
「『理由』は必ずしも悪いことばかりじゃないぞ。試練と先ほどいったからそう思ったのかも知れないが、教育制度を確立させた者もいるし、地下資源を発見し国を豊かにした者もいる」
えええ!前者はともかく、後者は石油王みたいじゃん!!
そういうのだったらいいなぁ。
「じゃあ確実に起こるその『理由』を私はただ待ってればいいんですか?」
「いや、運ばれて来た人間が現れた国は、それを知る必要がある。慶事にしろ凶事にしろ、何かしらがその国に起こる訳だからな。そしてその国にはその人間を保護する義務もある。という訳で、お前はまず王都へ行くべきだろう」
仮にも神様が連れて来た人間なので、そのへんにぽいと置いといてもいい訳じゃないらしい。
国でちゃんと保護してもらえるんなら当座の生活の心配も無さそう。
「で、その王都というのはここからどうやって行けるんですか?」
「手段にもよるが、歩いて行くなら1ヶ月以上かかるな」
「え」
1ヶ月って......もうどれくらいの距離なのか想像付きません!
しかもこの暑さの中を1ヶ月も歩いてたら真っ黒になっちゃうじゃないのよ〜。
それだけは避けたい。何としても!!
「半日歩いたところにある町からなら船を使って1週間くらいで着く」
「本当ですか!!半日くらいならなんとか歩けると思います!」
この暑さの中、半日でも紫外線に晒されるのは不本意なんだけど仕方が無い。
この世界に身寄りのない私には国の保護はかなり有り難いもんね。
右手をぎゅっと握りしめてやる気を見せる私に向かって、目に前に座る少女はニヤリと口元を歪ませた。
「2日後にここに来る私の家の者に頼めば、その日のうちに王都に届けてやれるぞ」
「お願いします」
半日の紫外線ですら浴びたくないっていう私を責めないで!
だって私もう25歳なのよ!!
紫外線ダメージを簡単に回復できるほどピチピチじゃないのよ〜!!!
ということで私は2日後にディゲアさんのお家の方が来るまで、この家にお世話になることになった。渡りに船とは良く言ったもんだ。
ちょっと慌てて更新したんで誤字脱字あるかもしれません。
とりあえず今日はもう寝ます。おやすみさない!