1日目 4
ちょっと思わぬところからの攻撃だったもんで、咄嗟に反応が出来ずに私までぽかんとしてしまった。
体の未発達な子どもの頃ならともかく、25歳にもなって男に間違われるとか......
しかもなんか美少女の顔が心持ち冷たそうに見える。
確かに美少女の家にウハウハと上がり込んできた女装趣味の変態野郎と思われてるならその目つきも頷けるけど、それ誤解だから!
「ち、ちがいますよ!!私は生まれてから今までずーっと女です!!!」
全くの見当違いの疑いをかけられて美少女に軽蔑されるのは私の本意ではない。
ここはしっかり否定させて頂きます。
「す、すまん。りっかなんて名前だからてっきり男かと......。お前も難儀な名前を授けられたもんだな」
私の剣幕に驚いたのか、ちょっとタジタジになってる美少女。
名前のせいで男に間違われるなんて、世界が違えばこんなこともあるのね。
こんなひらっひらのワンピース着てるし、顔はばっちりフルメイク(かなりよれて来てるけど)、それに自慢出来る程大きなサイズではないけど胸だって人並みにはあるのに。
でもまぁ美少女にも悪気があったわけではなさそうだし。
何よりそんなことで自分より年下の女の子を怒るのも大人気ないので、ここは敢えてさらっと流すことにしよう。
「それで、あなたの名前は?」
美少女だからきっと名前も可愛いんだろうな。
「ディゲアだ」
......あんま可愛くなかった。
「へ、へぇ〜かっこいい名前ですね」
美少女ことディゲアさんは私の言葉にちょっと嬉しそう。
本人が気に入ってる名前ならまぁいっか。
リリーとかレイチェルとか似合いそうなんだけどねぇ。惜しいわ。
お互いの名前が分かったところで、ディゲアさんはやはり私がなんでこの家を訪ねて来たのか気になったみたい。
「このあたりには他に家も無いし、一番近い町でも半日はかかる。しかも一番日の高い時間に外を歩くなんて普通はしない」
私も好きで外を歩いてたわけじゃないんですけどね。
今日あの200メートルで浴びた紫外線によるダメージが恐ろしい。
「実は気がついたら林の外の道に居まして。日差しのきつさに耐えかねてこっちに来たら家があったので一休みさせてもらえないかなーと......」
「なんだ、お前は『運ばれて』来たのか」
ディゲアさんは何やら納得顔でうんうんと頷いている。
「運ばれて来た......?」
もちろん私にはさっぱり分かんない。
この場合運ばれて来たのは私。
どこからといえば、地球の日本から。
でも......なんで?どうやって?だれが?
「稀にこの世界には他の場所から運ばれて来る人がいる。運ばれて来る人間は性別も年齢も人種も様々だ。元居た世界も皆それぞれ違っている」
ディゲアさんの話が本当なら、ここにポンといきなり現れたのは私が初めてでは無いらしい。
でも元居た世界がそれぞれ違うってことは、私と同じ21世紀の地球から来た人はいないってことだよね?
ここが異世界ってことはこれで確定したけど、ここで気になるのはたった一つ。
「私って元の世界に帰れるんですか......?」
そう、この一つだけ。
拙い作品ですが読んでくださってありがとうございます。
誤字脱字等ありましたらご連絡頂けると嬉しいです。