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帰宅途中  作者: Tigerina
27/53

4日目 5

夕食は昨日に引き続きお部屋で一人。

日本に居た時は家で食べる時は一人でしたとも。

でもここでは食べるのは私一人なんだけど、メイドさんたちは相変わらず同じ部屋なので気まずい。

アイヴンさんも一緒に食べようって誘ったけど、私と同じテーブルでなんて恐れ多いとか言われてしまった。

その彼女は現在リビングの端の方でまたあの金属板とにらめっこ。

王様のスケジュールの確認や、明日のことを聞いたりしてるらしい。


結局今日はお部屋でずーっとアイヴンさんとお話してた。

なんでもアイヴンさんとエルタさんは同級生らしい。

小さい頃から一緒なんで気心も知れてるとか。

ちなみにエルタさんの女好きは相当小さい頃からのようだ。

アイヴンさんが「わたしが初めて会った時にはもうあのような感じでした。一緒に遊ぶ友達も女の子ばっかりでしたよ」と言っていたからかなり年季が入ってるよね。


エルタさんは昔は背が低かったらしく、中性的な容姿だったので友達の女の子にも可愛がられてたそうな。

でも本人は昔から自分の容姿に自信があって、周りの女の子も自分の魅力を分かってると勘違いしてたらしい。

それでその取り巻きの一人に告白して見事玉砕した時に、始めて自分のマスコット的扱いに気がついたんだって!

可哀想なんだけど笑える......!!



「サイキ様、お食事中にすいません。今よろしいですか?」


「あ、大丈夫ですよ」



ヤバイ、思い出し笑いしながら食べてたとこ見られてたかも。

でもアイヴンさんなら見なかったフリしてくれるはず。多分。



「何か面白いことでもありました?ご機嫌がよろしいみたいですね」



気付かれた!!

確かに良い年した女が一人でご飯食べながらニヤニヤしてたら思うところはあるわよね。

すいません、決していやらしいことを考えてたわけじゃないんですよ。



「いえ、ご飯おいしいなーって。ところで何か用だったんじゃないですか?」


「はい。陛下の明日のご予定を確認してまいりました。明日の昼食後すぐでしたらお時間を取れるそうです。実は明後日みょうごにちの昼食にお招きしたかったようなのですけど、どうもこちらの事情を察して下さったみたいです。サイキ様をずっとお部屋でお待たせするのも申し訳ないということで明日になりました。よろしかったですか?」


「はい!!私テーブルマナーにもそんなに自信が無いですからその方がいいです。ありがとうございます。」


「それで明日の面会なのですが、略式なので気楽になさって下さいと。いらっしゃるのも陛下と側近の方、それと護衛の者のみということです。もちろんわたしもご一緒させて頂きます」


「なんだか急かしてしまったみたいですね。気を悪くしてないといいですけど」



やっぱ王様というからには忙しいんだろうし、元々は明後日に予定してたんならそれに合わせて他の政務を組んでたんじゃないのかな。

確かにずっと部屋に閉じこもってるのはすることなくて暇ではあるけど、やっぱ時間の空きまくってる私が融通を利かせるべきだったかしら。



「運ばれて来た方にお会いするのも陛下の務めなのですから、気になさることはないですよ。陛下もお会いできるのを楽しみにしてるそうですし」


「そんな楽しみにされちゃうと、実際に会った時にがっかりするんじゃないですか」


「いえいえ、きっとこのように素敵な女性を選んで下さった天上の方てんじょうのかたに感謝なさると思いますよ」



アイヴンさんたらお世辞がお上手!

そんな素敵な女性だなんて、私を持ち上げても何も出ませんよ〜。

大体私なんてお肌だけは自慢出来るけど顔立ちそのものはザ・平凡だし、スタイルだってお子様パンツが穿けるくらいグラマラスボディにはほど遠い。

学校の成績も運動神経も中の中で、褒めようも貶しようもないもんだったし。

料理もお裁縫も得意じゃないし、ここ数年彼氏も居ないという日照りっぷり......って自分で言ってて悲しくなってきたじゃないの。

その割に何を間違ったかこんなとこに連れて来られちゃうなんてさ。

次の年末ジャン○は1等とは言わないから2等、いやせめて1等前後賞くらいは当てさせてよ!神様!!

......って、こっちの神様に言っても意味ないか......。



「それとディゲア様が夕食の後にこちらにお伺いしたいそうですよ。お会いになりますか?」


「もちろんです!エルタさんがちゃんと伝えてくれたみたいですね。今日はもう無理かと思ってました」


「ではお食事がお済みになりましたらこちらにお出で頂くことにしましょう」



そうだった、まだご飯の途中でした。

ディゲアさんに会えるのは嬉しいけど、折角作ってもらってるご飯を残すのも悪いので、ここはちゃんと食べとかないと。美味しいから残すのが勿体ないというのもある。もぐもぐ。



ディゲアさんはエルタさんと一緒にやって来た。

昨日の夜から会ってないだけなのに、いやに久しぶりに感じるのは私の思い違いだろう。

彼女は昨日までのシンプルなシャツに紺のパンツという格好ではなく、シルクのような素材の白いシャツに光沢のあるブルーグレイのベスト、それにベストと同じ素材の細身のスラックスという出で立ち。

なんかスーパーモデルみたい。脚長いなぁ。


リビングのソファセットでディゲアさんと一緒にお茶を頂く。

前回同様エルタさんは立ったまま。今回はアイヴンさんも一緒に立ってるけど。



「明日、陛下にお会いするらしいな」


「そうなんですよー。事情があって急に決まったんですけど、今からもう緊張しちゃいますね」


「ああ、今日王族が面会を申し出て来たという話は聞いた。どうせお前に口利きでもしてもらおうという魂胆だろう。今この国には王太子がいないからな」


「さっきアイヴンさんも同じこと言ってたんですけど、王様にはお子さんがいないんですか?確か直系の王族は10人くらい城に住んでるって言ってたのに......全部王様の兄弟とか?」


「いや、陛下には息子が二人に娘も一人おられる。ただ立太子していないから空位なだけだ」



王様に子どもが3人もいるなら私の出る幕は無さそう。

やっぱ王族問題が『理由』っていう線は消えたね。よしよし。

前回来た人の話を聞いた後だからか、王族関係の『理由』はなんだか面倒そうだもんね。

ここは石油王ルートでお願いしたいかな。聞いてますかぁー神様ぁー。



「息子が二人ってことは王子様ですよね!?カッコいいですか?」


「美醜は人の感覚によるから断言は出来ないな」


「サイキ様、王子殿下はどちらも既婚ですよ。ちなみに王女殿下も」


「ええ〜。カッコいい王子様がいるかと期待してたのに......」



エルタさんがすかさず釘をさしてきた!!

だってやっぱ異世界にトリップしてお城にお世話になることになったら、王子様に見初められるフラグはありだと期待しちゃうじゃん。

それなのにまさか王子様が既婚者とか......!

さすがに私も略奪愛とかお妾さんになってまで玉の輿を狙ったりはしないよ。

元から帰るつもりだったしー。ただちょーっとあわよくばっていうか?



「あれ、サイキ様ってばやっぱりそういうのが気になりますか?」


「そりゃ私だって元居た世界では結婚適齢期まっただ中の女性ですよ。しかも恋人もいないんですよね、私。だからいい出会いのチャンスだと思ってたのになー」


「奇遇ですね。俺も恋人居ないんですよ。どうですか、これでもお買い得だと思うんですけど?」


「フィンエルタ、あなたの場合『今は』『特定の』恋人が居ないだけでしょ?サイキ様、こんな男の言うことなど真に受けないで下さいね!きっと女性を見ると口説かずにはいられない病気なんです。サイキ様はフィンエルタには勿体無さ過ぎますもの。心配なさらずともすぐにフィンエルタなど足元にも及ばないような素敵な恋人が出来ますわ」



アイヴンさんが必死になって止めてきたけど、もともとまともに聞いちゃいなかったので大丈夫。

それにエルタさんは私の好みじゃないし。

親しみやすいとことか背が高いとこはポイント高いけど、この軽そうな感じがなー。

付き合ったら浮気の心配ばっかでストレス溜まりそう。未来のエルタさんの彼女、もしくは奥さんに同情するよ。

でもエルタさんが病気って言うのは私もそう思う。



「まぁ俺のことはともかく、未婚の王子様がいいなら他にもいますよ。目の前のお方もそうですし」


「フィンエルタ!!お前は本当に余計なことばかり......!!」


「え、目の前って......エルタさんが王子様......?」


「違いますよ!!ディゲア様のことです!!!厳密に言うなら王孫殿下ですけど、王族直系男子という広義で言うならディゲア様だって『王子様』ですよ。しかもちゃんと未婚です」



え?ええ?ええええ?



「王族......直系......男子......」



ディゲアさんが『王子様』......!?





ディゲアについては読めてた方もたくさんいらっしゃったと思います。

しばしの王道展開におつきあい下さいませ。


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