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帰宅途中  作者: Tigerina
26/53

4日目 4

なんかちょっとプレッシャーを感じるけど、神様も私が『理由』を解決できる人間だとわかって連れて来たんだと思っとこう。

地球だけで60億超の人間が居て、それに他の世界の人間も入れた見当も付かない数の中から私を選んだんだから、そうそう難しい『理由』でもないでしょ。

かと言って他の人には無いような特技や技術、知識なんて私にあるっけ?

もしかしたら私も知らない隠された能力が開花するとか!?



「しかし、やはり陛下にお会いするまでこうやってここに閉じこもっている、というのも無理がありますね。サイキ様もお暇でしょうし......」


「王様は忙しいんですか?もし会うとしたらいつぐらいになるんでしょうか?」


「陛下のご政務はここずっと城内のはずですので、それほど先のことではないと思います。後で確認してみますね。ひとまず今日はフィンエルタの言う通りお部屋で過ごしましょう。お暇でしたら何か書籍などお読みになりますか?」



こっちの文字は私の知っている地球のどの言語とも違っていたけど、不思議と読むことはできた。

これも特権の一つ?読めた方が良いからってことかしらね。

でも本ねぇ......そんなのんびり過ごしてていいものなのか......。

まだ来たばっかりだけど、私はとっとと『理由』を見つけて帰らないと行けないのに。

そりゃ買い物は楽しかったよ!!でもそれくらいはさせてくれないと割に合わないもんね。

っていうか『理由』になりそうな事件とか無いか聞いてみればいいんじゃない?



「ねえアイヴンさん、今この国で私が運ばれて来てしまうような『理由』になることってありますか?」


「『理由』ですか?そうですね...強いて言えば王位継承者に関してでしょうか」


「え?王位継承者?」


「現在の我が国には王太子がいないのです」



おおっとー!!また王族関係!?

前回来たって人の『理由』と似たり寄ったりじゃない...

でもまだそれって決まった訳じゃないし。

私に政治の知識なんて神様も求めちゃいないでしょう。



「きっとそれは違うような気がします。うん」


「どうしてですか?」


「だって自分の国の政治のことだって私に決めてくれって言われても無理なのに、それを他国どころか異世界の王位継承問題についてだなんて、ちょっと無理がありますよ。それならもっとそういうのに詳しい人が地球......私の世界にだって他にいっぱいいますから」


「サイキ様がそう仰るならそうなのかも知れませんね。どちらにしろ本当の『理由』は終わってみるまではわからないのですし、あまり考えすぎるのも良くないのでは?」


「でもなるべく早く帰りたいし......。だから『理由』になりそうなことは知っておきたいんですよね」



この世界は来てみてまだ4日しか経ってないけど、そんなに住みにくい感じはしない。

むしろ地球より進んでるところも多いし、メイドさんに囲まれる生活は快適そのもの。

でもねぇ、これってやっぱり私の世界じゃないし。

自分の家族とか今までの思い出があっての私だし。

それを全部捨ててこっちで暮らすっていう選択肢、私には無いかな。



「折角こうしてお仕えすることになりましたのに、もう帰られる話をされるなんて淋しくはありますけれど、やはりご自分の世界が恋しいですよね」



わぁ、なんかキャバクラでホステスに「もう帰っちゃうの?」って言われてる感じ。

もちろん実際に行ったことは無いわよ。お客さんでなら知ってるけどね!

でも私は悪いことしてないのに、いじめてるみたいじゃない......。

そんなシュンとした顔されても困るのよ〜。やっぱ外見小悪魔はダテじゃないな。



「行って来ますって言って出て来た訳じゃないんで、このまま私が帰らなかったら両親も心配すると思うんです。もうすでに心配してるかな?とにかく今まで不自由なく育ててもらってるし、親孝行もまだしてないのに娘が失踪なんて私が親ならショックで倒れちゃいますよ」


「それはわたしにも親がいますから分かります。確かにわたしが突然連絡も無く消えてしまったら、さぞかし心配するでしょうね......」


「でしょ?それに別に向こうの生活に不満があったわけでもないし。確かにここでのような贅沢な生活は庶民が一度は憧れるものですけど、ずっと続けるのは無理ですよ。だって私が苦労して手に入れた生活じゃないから後ろめたいじゃないですか」


「でも、それはサイキ様がご自分の世界を離れてこちらへいらしてるのですから、十分な対価だと思います」


「だからこっちに居る間はその恩恵はありがたく頂戴するけど、『理由』を片付けた後は遠慮したいんですよね」



だって私の生活って、この国の人の税金で賄われてるんじゃないの?

それならこっちで『理由』を探して解決するまではその生活を保証してもらうのは妥当ではあるけど、それ以降も城でお世話になるならただの居候(ただ飯食らいとも言う)じゃない?

もしこっちで仕事をして生活すればいいって話なら、それは私の世界でも出来ることだし。

そりゃ薬を開発したって言う医師みたいに10年20年経った後だったら考えも変わってるかもしれないけど、まだ4日だし。




......まさか10年20年かかったりしないわよね......?





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