4日目 2
またまた下着の話が出て来ます。
目的のショッピングモールに着いた時にはお昼前になっていたので、休憩も兼ねて先に昼食を取ることに。
アイヴンさんが「最近若い女の子の間で大人気」の料理を出すレストランに連れて行ってくれたんだけど、何てことは無いパスタのお店だった。
シューディッカではこういう長い麺類はあまり無いらしい。
ということはラーメン屋出したら売れるんじゃない??
もし一向に『理由』らしきものが見つからなかったらラーメン屋で一儲けでもしようかな。
はっ!もしかしたらそれが『理由』......?
いやいや、それだったら最初っから本職の人連れて来るでしょ。
私はピザだけでなく、ラーメンを作る技術も持ってないし。
お分かりかもしれないが、私はあまり料理は得意ではない。あしからず。
モールはかなり大きくて、お店を一つ一つ見て行くのはとても今日一日じゃ無理そう。
ということでアイヴンさんにモールの中にある百貨店の一つに連れて行ってもらい、服をいくつかと歩きやすそうなヒールの無い靴も購入。
そして肝心の下着。
なんとここの主流はどれもあのローライズのピッタリパンツ(命名・私)らしい。
みんなどんなけ露出好きなんだ!
「こっちてこういう下着しか無いんですか?」
「これが一般的なスタイルではありますね。もうちょっと楽なのがよろしければこちらとか」
と言ってアイヴンさんが手に取ってみせてくれたのはヒモパン......。
もっと布が少なくなってしまったよ。
楽なのがいいのは確かだけど方向が逆、逆!
「もっと布地の多いのがいいんですけど......」
「でしたらここでは無くあちらのほうでしょうか」
「あ、そうそう。こういうのが欲しかったんです」
日本人の私でも穿けそうな下着を発見です!
素材は変わらず薄くてピッタリだけど、ちゃんとお尻はカバーしてくれそう。
しかしさっきまで見てたのより明らかに地味な気が。
「本来は子ども用なのですけど、サイキ様は細身でいらっしゃるので大丈夫でしょう」
やっぱティーン用でしたか。
セクシー度がダダ下がりしてますもんね。
誰に見せるわけでもないからいいけど。あ、アイヴンさんには知られちゃってるか。
会計を済ませ(ちなみにシューディッカは90%カード社会。現金を見たこと無い人なんて普通にいるらしい)、荷物を抱えてさぁ行こうかという時に、急にアイヴンさんが足を止めた。
「どうしたんですか?何か買い忘れとか?」
「いえ、城からの連絡です。フィンエルタからですね」
そう言って胸元から取り出したのは、いつぞやもディゲアさんの家で見たことのある金属板。
ボタンなんて一つも見当たらないのに、それの表面をなでると文字のようなものが浮き出てきた。
文字ということはあれですかメールですか。
「こちらアイヴン。買い物は粗方終わったけど、どうしたの?」
メールじゃなかった。電話だったか。
でも相手の声は聞こえない。アイヴンさんも金属板を見つめるだけ。
「サイキ様さえよろしければ、いつでも帰れるとは思うけどそんな急に......」
ん?私?
「じゃあご都合をお聞きするから、こちらから折り返し連絡する。またあとで」
電話は終わったのか、アイヴンさんはその不思議な金属板をまた胸元のポケットにしまった。
「エルタさん何て言ってたんですか?」
「お話したいことがあるので、御用がお済み次第お帰り頂くようにと。ですが話の内容については何も言っておりませんでした」
「なんだか急いでるみたいですね。買い物も一通り終わったし、私は今すぐ帰っても大丈夫ですけど」
「では迎えを呼びます。恐らくフィンエルタが既に手配していると思うので、すぐに来るでしょう」
アイヴンさんが折り返しフィンエルタさんに連絡して、モールを出た時にはすでに迎えの車もどきが到着していた。うん、感心するほどの行動の早さです。
車もどきの外にフィンエルタさんが立っていて、こちらに手を振っている。
歩いて来れる距離だったから迎えなんて必要ないと思ってたけど、それだけ急ぎってことなのかな。
「お楽しみのところだったのにすいませんね。欲しいものは買えましたか?」
「はい、連絡もらった時にはほとんど終わってたんで大丈夫です。それで話って一体何ですか?」
「それは城に着いてから説明しますんで、とりあえず乗って下さい。アイヴンも」
なんだかとっても急いでるようだけど、一体何事!?