after 5〔新代社会の裁量と過ぎ去った未来は諸事情〕
世の中で不足を言い出すと、それはキリが無い。
特に新代社会となっては補う事すらも、手が足りず。
――いや、足りないのは数ではなく、背丈の方か……?
「マジでヤバいっしょ、150cm超えてるとか」
今ソレとか将来有望だな。身長に限って言えば、だけど。
「ならマヤカ、いっそソイツと付き合っちゃえば?」
「中身元八歳だし、普通に子供っしょ」
「見た目だけならお似合いでしょ」
それだと今や人類は殆どがストライクゾーンですよ。
「恋愛は中身が大切っしょ……」
この場合は精神年齢の問題なのでは?
「べつにいいじゃん、どうせ成長するでしょ」
もち私達もね。
「……話合わなさそう」
「じゃあ、元百歳の幼児と――ソイツなら、どっちがいい?」
出ました人間特有のどっちがイイ理論。
「ェ、それだと……百歳?」
「理由は?」
「身体は同じな訳だし、普通に大人の男性じゃん……?」
大分大人びた幼児だがな。
「でも話は合わないかもよ」
それは言えてる。
「けど会話は成立するっしょ……」
「どうかな、マヤカだと説教されて破綻じゃない?」
肉体としての年台は同じでも、時代の壁までは変わってないからなぁ。
「そういうのがイイって思う年配者だって、普通に居るっしょ」
年の差カップルか。いや、でも……、イマはどう解釈するんだ……?
「マヤカがその人に選ばれるかどうかは別でしょ」
「じゃあアタチの相手は誰がちてくれるのよォー!」
そんなの知らんがな。
「……――急がば回れ、今は恋愛を優先するより大事な時でしょ」
一理ある。ただまともな事を言ってるのにスミマセンが、客観的に私達のフォルムは真面目な話に不適合だ。
――まあ何をしていたところで、基本はそうなる。
「ぅぅ、マセルはどうなのさ……?」
どやさとな。
「――……フィーリングかな。でも、今はいずれにしても見た目的にキツい」
私がその気になれるのは後十年を要する、と今は思う。
「ぁ、そういえばさー。マセルって、元はどんな感じだったのー?」
「と言いますと?」
「昔の写真見せてよー」
「今は無い」
「じゃあ持ってきてー」
「押し入れ」
「……出せばいいっしょ」
「今とそう変わらん」
「なら見せてよっ」
話の通じない奴だ。
「――マセルってさ、丸北中学だったよね?」
「……そうだね」
それが一体なんざんしょ。
「同じ中学に知り合いが居るから、聞いてみる」
なん…だと…。
今となっては両手で余る“文明の利器”、机の上に置かれ現在進行形で情報の筋を幼い指がなぞる。
とはいえ早々に事態が進展する流れになぞ、なる訳が。
ピコン。
「――来た」
そんな馬鹿な…即刻だと…ッ?
「アタチも見せてー」
「……クラスの集合写真か、ええと――」
てコトは元クラスメイト。
「――居た……」
「どれ――、ぁ……」
そして何故沈黙する。
おい……何か言えよ。
「――変わんないね……」
端からそう言ってるだろ。
「……目付き悪ー」
生まれつきだよ。
「今度アタチの持ってこよー」
「ヤメて、巻き込まれたくないから」
いいや駄目だ……! 背中ね!
新代社会の裁量と過ぎ去った未来は諸事情/了