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after 4〔新代社会の消費量と消化の諸事情、あと金〕

 大抵は昼休み、集まるのは前列の二番目。

 要は私の机を中心とした場所である。


「ちょっと聞いて」


 珍しい。いつも話を出す、振る、変えるのはマヤカ一人の役回りなのに。ちな頼んだ事は一度もない。


「ぇ、うん超聞くー」


 何だ超聞くって、初めて聞いたわ。


「……昨日さ、久しぶりに家族で外食しに近所の定食屋へ行ったら再開間無しで量が以前のまま、バグってた……」


 ――ああ。


「うわっ、それはキツいっしょ……」

「本当無理……、今やこっちは五歳児並みだっつーの……」


 てか分量を変えずに作れるのも凄いな――。


「――……食べきったの?」

「無理無理ほとんどテイクアウトして、一日中消化してる……」


 そういえば中華風の弁当だった様な気がする。


「てか五歳児の消化器官で調子に乗ったわ……、油ヤバい」


 だから度々教室を出て行く姿を見たのか。


「でも最近は幼児並みの量で提供してくれるお店増えたっしょ、どうちて?」

「……昔からの馴染みだったからね、再開記念で」


 人情っすねー。


「でもそれだとしばらくは行けないねェ……」

「まあさすがに、調整していくとは思うけどね」


 逆にお残しは許しまへんでとなったら、話題性あるかな?


「だねー。アタチも前までは新商品が出るとその場で全制覇してたけど、今は持ち帰ること増えたしィー」

「……本当、だいぶ浸透してきたけど、店によってはまだ並盛りが大盛り……もしくは特盛り状態じゃん……」

「――うん、初見の店は疑うべし」

「マセルもなんかあったのー?」

「あったって言うか……、前々から統一してほしいと思う事はあった」

「それ分かる。うちの店は大盛りだけど少ないですとか、並みでお茶碗何杯分だとか見せられても想像と合致した(ためし)が無い」


 まさにそうッス。


「事前に調べてから、入ればイイっしょ……」


 おっしゃる通りで。


「でも絶対そう出来る訳じゃ無くない?」

「無理に入店する状況って、そんなにあるゥ……?」

「わたし、お腹空くとイライラしてくるからイキナリ変更とかは不可」

「超ワガママっしょッ」


 ――それならば私も、普段はあんまりしない移行をしてみよう。


「……あのさ、最近一日に何回食べる……?」


 途端に二人の表情が変わる。


「ぁやっぱりそう……?」


 恐らくは意見が一致しているものとして、頷く。


「……アタチは元から、間食派だしィ……変わってないよォー?」


 それもそれで詳しく知りたいところ、だけど――。


「――けど量は変わるよね?」

「モチの子」


 なんだそのモチャっと伸びそうな白いガキは……。


「正直言って幼児(イマ)って、燃費悪いよね……」


 本当ソレ。


「でも、いくら食べても消費されてる感じするしィこれはこれでヨクナイ?」

「……だとしても四六時中、口に入る物を探すのはキツい」


 元から未青年と言っても生後四捨五入すれば成人に該当しますからね、私達。


「じゃーさ、シリアル系のバーとかはー? 腹持ちイイっしょ」

「もう食べてる。てかアレで本当に満足したのは初めてかも」


 間食ではなく一食としてね。


「スムージーとかも、おすすめだよー」

「アレね……」


 ほう、何やらありそうな予感。


「グリーン系は排出時にそのまんまだからね、特にほうれん草……」


 ああ――、私も経験した事だ。


「ェ、チエって毎回見てるの……?」

「見るでしょ。見ないとかある?」


 私も見るな。


「アタチは見ない、見ないようにちてる」


 ぇ――。


「「――マジ?」」

「何で見るの……、汚いじゃん……」


 正気かコヤツ。


「自分のだよ? 見ないと駄目じゃんっ」

「駄目って何ッ?」


 てか最終的な確認は如何する。


「何かあれば家政婦が(おち)えてくれるし、自分で診ても分かんないじゃん……」


 ああ、そういえばそうだった。


「ハッ、このボンボンがっ」

「せめてお嬢っしょ!」


 結局のところ、どんな時代にも金を持ち続ける奴は居る――てコトだ。








  新代社会の消費量と消化の諸事情、あと金/了

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