after 10〔新代社会のデビューは自分(アタチ)の責任になるのかも知(チ)れない〕
アタチ、春夏冬そんで真弥華。
可愛いモノが超好きー。
――だけど、アタシが一番――可愛くない……?
※
起きてびっくり超カワイイー。
アタシってこんなに可愛かったのって思うくらい鏡に映る自分は幼い姿をしていた。
てか何でェー?
アタシ普通にスマホ触ってた、のにいつの間にか寝ちゃっててー……?
もう訳分かんない。ネットも超騒がしィーし。
マジ未来? コレ、本当信じらんない。
でも、ま、いっか。
どうせアタシはアタチだし。
可愛くなれれば、――正義だよね?
▽
一年後、高校に入ってからのアタチは、日常の一部にいつも二人が居る。
出来ればずっと居たいけど……。
ううん、今が楽しければそれでイイっしょ。後の事は後で考えればイイっし。
最初はアタチが見つけた、絶対ぼっちじゃんって思ったのがキッカケで。
でも本当は独りを望んでいたんだなーって、後から分かった。
でもでも関係ないっしょ。
見つけちゃったし、友達になっちゃったら後の祭り。
千恵の前例があるしちょっと強引に行けば時間の問題じゃん。
だってアタシ、本気で思うもん。
二人には過去の自分みたいにはなってほしくない、って――。
△
「マドカって、元は今みたいにチェキチェキしてなかったよね?」
「――中身はしてたよー? いわゆる高校デビューっしょ」
「垢抜け過ぎでしょ」
「ぇそうー? でも元からアタチ、可愛かったっしょ」
「まぁね……」
わッ。
「チエ、アタチのコト可愛い友人って思ってくれてたんだ、超嬉ちい……!」
「プラス鬱陶しい奴とも思ってたけどね」
「激滅……ッ!」
「知らんわ、そんな造語」
本当にチエは素直で外見にも飾り気がない。
でもアタチは知ってる。
「てかチエもデビューしなよー、いろいろと教えてあげるよー?」
本人は地味にしているけど、本当は超素材がイイってコト。
「そんな爪でペン持てないっつーの」
「いやアタチちゃんと持ってるしっ」
「何を言いたいのかも分からない時あるし」
「塾行ってるっしょ!」
「習わねーよ」
なにソレ超遅れてるじゃん、その教育。
まーでも、本人が嫌がってるのに、無理やりはダメだよね。
じゃあ――。
「――マセルはどう思ゥー?」
「……人権は自由だと思う」
そっか。ここにも自分の素材に理解を示さない友人が居たのだった。
「――ところでさ、未成年者の人権って、今どう思う?」
マセルはいつもちょっと変、で超ウケる。
「享有主体、だけど変わらず制限はあっていい、かな」
きょうゆうしゅたい……? なにソレ。
「保護者の責任って、元と同じで良いと思う……?」
「……それは分からない。けど、どうかしたの?」
「親が離婚するってさ」
ウソ――。
「マジ……?」
表情を変えずにマセルは深く頷く。
「――……何で?」
「二人とも青春をやり直したいらしい」
は? 何ソレ。
「なにそれクソでしょ」
さすがアタチの幼馴染。
「とりま週末に話し合いだってさ、私はバイトに行くけど」
「ぇ、イイのー……?」
「居てもどうせ尊重されん、稼いでる方が有意義です」
そ――そういうコトォ……?
「大人の都合って事か」
「うんむ」
そんなのオカシイよ、身体は皆、同じになったのに。
「――にしても、早過ぎない?」
「今からだと何したってロリコンにしかならないからね」
「そういう問題なのォー……?」
「少年よ、大志を抱け」
「元高齢者の相手とか展開が気になる」
もしかしたら二人は、アタシよりもずっと、大人なのかもチれない。
新代社会のデビューは自分の責任になるのかも知れない/了