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魔族


「行くぞ、ホイス!」


「う゛ああっ! わかっただよ、ヴァル!」


 下位魔族と眷属の最も大きな違い。

 それは眷属が元人間を魔物化させた者であるのに対し、魔族は元が魔物であるということ。


 魔族はすべからくが進化前の魔物の性質を受け継いでおり、それぞれが強い個性を持っている。

 元が凶悪な魔物であればあればある分、強力な個体になることが多い。


(一体はスライムの魔族、ほんでもう一体は多分……トロールの魔族かな?)


 魔族達は戦闘態勢を取ると同時、肉体の擬態を解いた。

 そして彼らの魔族としての本来の姿が露わになる。


 右側にいる魔族のヴァルは、戦闘態勢を取ると同時に下半身と両腕が半透明になった。

 そして左側の魔族であるホイスは身体が二回りほど大きくなり、頭がはげ上がり、その手に巨大な棍棒を手に持っている。


 イナリが取り出したのは現状では最も斬撃の威力が出る雷の魔剣……ではなく、炎の魔剣だった。


 彼が軽く炎の魔剣を振ると、そこから激しい炎が飛び出し右側の魔族へと襲いかかる。


「ちっ、厄介な!」


 スライムの魔族であるヴァルがそのまま右手を前に出すと、彼の前から水の弾丸が射出される。

 炎の魔剣から噴き出した炎をかき消すとそのまま消滅した。


 カウンターとしてほとんどノータイムで放ったことを考えると、どうやらかなり高い練度で水魔法を使うことができるようだ。


 二人の攻撃が激突している間に、既にホイスはイナリの方目掛けてやってきている。


「ぶらああああっっ!!」


 振り下ろされた棍棒の一撃をひらりと避ける。

 幸い力任せに叩きつけられる一撃は、速度こそあれどまだ反応できる範囲だ。


「ぐっ……なんちゅう威力や!」


 けれど攻撃を避けたはずのイナリにダメージが入る。

 棍棒の振り下ろしによって起こった風圧だけで、イナリにダメージが入ったのだ。


 いくらレベルを三十八まで上げたとはいえ、下位魔族は最低でもレベル四十を超えるという化け物揃い。

 今までと同様……否、それ以上の死線をくぐる必要があった。


「ダークネスフォグ」


 イナリは腰に提げた闇の魔剣を発動、同時にホイスの側面へ回ろうとする。

 けれどその動きを、ヴァルが放つ水魔法が牽制した。

 こちらが見えていなければできない芸当に、内心で舌打ちをする。


(うわっ、やっぱ魔族には効き悪いなあっ!)


 魔族は二体とも、闇の中でもこちらの反応を捉えている。

 どうやら完全に場所がわかっているわけではないようだが、それでも奇襲をすることはほぼ不可能だろう。


「ただそれならそれで、まだやりようはあるッ!」


「光あれ!」


 突如として生じる発光。

 暗闇を打ち消す光は、イナリを探すために目を見開いていた魔族達の網膜を焼いた。


 イナリはその隙にホイスの横をすり抜け、ヴァルの元へと駆けてゆく。

 彼らの戦いぶりから考えるにヴァルは後衛で、ホイスは前衛だ。

 であれば可能なうちにヴァルの方を削っておく必要がある。


 イナリは右手に炎の魔剣を持ち、そして左手で腰に提げている闇の魔剣を抜いた。

 二つの剣をクロスさせながら彼が発動させるのは、眷属達との戦いによって新たに手に入れたスキル。

 魔剣のレベルを一定以上上げることによって発動が可能となる、複数の魔剣を同時に使う合わせ技。

 その名は――


「――ダークフレイムッ!」

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