片目だけで恋ビトを見たら、四つ目で四本腕だったんだが。
作成時間1時間13分かかった。ワンライかな?食事時に見ない!性別はわざと明言していないNL、BL、GLどんな想像でもどうぞ。
あらすじ
恋ビトを庇って、まぶたと頭を怪我した主人公。
怪我が治って目の眼帯が外れたら世界がおかしく見えるようになってしまった。
そして、大切な恋人は腕と目が四つになっていた。
2024/09/11のpixivのお題の『美味しそう』を組み込んだ結果、グロ要素が出てしまった。
なんでだ。
恋ビトを外れた吊り看板から庇って、頭を打って、切れて、救急車で病院に私は運ばれた。
幸い脳には異常がなく。
頭の傷を縫ったり、脳の検査をするだけで一週間も入院しなければならなくなった。
その間、恋ビトは仕事を休んできてくれた。
「大丈夫じゃないよね。僕を庇ったせいでごめんね」
そう言って泣いて心配してくれた。
倒れた時に頭と右のまぶたがキズ以外問題ない。
そう判断され病院を退院した。
早く治すためにと眼帯をつけられた。
二週間は右の瞼を開けることもできず、物の距離感がわからず、転びそうになるのを何度も恋ビトに助けてもらった。
頭の傷や瞼の傷の消毒。
車の運転も一人ではできないから、代わりに運転して職場に送ってもらったりなど全くわたしには勿体なさすぎる。
そうして二週間後頭の包帯と眼帯を外したら、右目だけおかしくなった。
目の前にいる白衣の医者は、白衣がなく白くぴっちりとした服を着ていて、さらには座っているおしゃれなオフィスチェアは無機質な真っ白な椅子に代わり、清潔感で溢れた診療室は、椅子と壁以外何もない清潔感が溢れすぎる真っ白な部屋に変わっていた。
「傷も綺麗に治ってる。これなら大丈夫。また異常があればここに来てください」
そう言って、左目では医者はカルテに書き込み、右目では何もない空間で医者は手をひたすら動かしていた。
「はい」
今すぐ異常があると言いたいがこの状態を、説明する言葉が思いつかない。
診察室を出ると、医者と同じような格好をした人が何人もいる白い服でみんな同じ格好。
左目では看護師や患者さんと見分けがつくのに。
そしてわたしの服は違った。
真っ赤な服を着ていた。
どう言うことだ。
これをなんと説明して話せばいい。
さあ悩みながら、恋人がまつ待合室にむかう。
左目で恋人はどこだと探した。
何せ待合室は右目だとだだっ広い空間に長めのベンチが何台も並び真っ白な服を着た人間で埋まっていた。
受付のカウンターもなくなり、ただ病院の人と患者さんを隔てていない。
どこにいるのか見分けがつかない。
左目だけなら普通の休日の混んだ病院になる。
恋ビトはどこにいる。
誰かわからない、不安だ。
そう思って探した。
「見つけたよ」
そう言って恋ビトの声がしたのと同時に肩を軽く叩かれて振り返った。
「え」
私は固まった。
恋ビトは真っ白な服は来ておらず、真っ黒な服で、更には、目と腕が四つになっていた。
「さあ、車に乗ろう。家に帰ったら回復祝いだ」
「う、うん。ありがとう」
そう言って、四つ腕の右一本に腕を引かれる。
左目では、かわいい丸みのあるクラッシックな黄色い車だった。
右目では、スタイリッシュな銀色のスマートな車輪のない床に浮く車なのかと疑問を持つ乗り物に私は乗せられた。
家に着くとそこは、左目では何年も住んでいるアパートなのに、右目ではアパートではないただの扉が並ぶ外の見えない通路だった。
外から見える中庭も真っ白な壁に変わっていた。
「どうしたの?なんか表情がよくないけど」
恋ビトが心配してきた。
「大丈夫よ。なんか久しぶりに右目が使えるから感覚が慣れなくてね」
なんとか混乱していることを表情に見せないようにして誤魔化した。
なんとか部屋に入った。
すると、右目でも消えない、姿の変わらないものがたくさんあった。
「回復祝い、君の好きな唐揚げをあげるね」
そう言って、台所に恋ビトは立つ。
右目でも台所のままだった。
「そんなに見られると恥ずかしいから、ソファに座って、テレビでも見て待っていて」
そう言われて、右目でも姿の変わらないソファに座る。
テレビをつけたこの時間帯は人外恋愛ドラマがやっているはずだ。
美しい女優とワイルドな男優が演じる世代交代型宇宙船での宇宙人のドラマは気に入っている。
しかし、右目では、一文だけが書かれた真っ白な画面がずっと写されていた。
『さあ、あいしあいましょう。幸せになりましょう』
なんだこれは、その表示に顔を顰めながら、見てしまった。
「そんな怖い顔してどうしたの?どこか体調悪いの?」
恋ビトは、揚げたての唐揚げが盛られた皿を持ちながら心配した様子で見てくる。
唐揚げは右目でも変わらない。
「大丈夫だよ。ちょっと目が疲れた感じがするから」
「そう早く食べよう。」
そう言って、目の前のテーブルに唐揚げが置かれた。
美味しそうな香りがする。
見た目は普通のようだ。
「「いただきます」」
香ばしい挙げられた衣の香りが食欲をそそる。
濃い茶色に揚げられた衣はサクサクと音を口の中で立てて、肉からは旨みのある油が口いっぱいに広がる。
普通の美味しい唐揚げだ。
「いつも美味しく食べてくれてありがとう」
恋ビトはいつも通り嬉しそうにしてくれた。
しかし、わたしは何かの引っかかった。
「四本目はどこ」
思わず呟いてしまった。
「は?」
恋人から今まで聞いたことないような低い声がした。
その目は大きく見開いていたが、ゆっくりと四つの目を細めて嬉しそうな表情になった。
「そうか、目から変わっていくのか」
そう言って、三つの手でわたしの顔を撫でて覗き込んできた。
「ひ!」
思わず悲鳴をあげる。
『さあ、あいしあいましょう。幸せになりましょう』