表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

99/121

第99話

 こんな現実がある以上、私としても、カリフォルニアを様々に開発して自活可能な植民地とした上で、メキシコへ、更にはペルーへ、最終的には中南米のスペイン、ポルトガル勢力と雌雄を決するために軍事侵攻を行おうと考えて、営々たる努力を積み重ねてきたのだ。


 そして、1599年現在、私の目からすれば、何とかカリフォルニアは自活可能な植民地となり、更にはメキシコ侵攻が可能な拠点になりつつあるように考えられていた。


 実際問題として、カリフォルニアの人口は約30万人に達しており、開発当初の頃は、それこそ現地で捕獲して屠殺した動物の様々な毛皮を、舶来品として日本本国に送ることで現金収入を得るのが精一杯といっても良かったが、この土地で様々な開発が進んだ結果、今ではワインや羊毛等を日本本国に輸出することさえ可能になっている。


 そして、その収益を活かして、更なる植民地開発を行おうという動きが、農民たちの間では積極的に起こっている。


 又、現地民を含めれば、約30万人の人口に達したという事は、無理をすればの話になるが、いざ戦争となった際には1万の兵を現地で集める目途が立ったということでもあった。


 それだけの兵がいれば、メキシコ侵攻作戦も可能ではないか、そんな考えが私の脳裏に浮かぶが、流石に現地の兵だけで、メキシコに攻め込むのは無謀だろう、という考えも私はしてならなかった。


 その一方で、日本からカリフォルニアに連れて来た面々の多く、というより殆どの男が、それこそ日本では実戦経験がある面々だった。

 だから、それこそ槍を渡されて、簡易な鎧を付ければ、足軽として戦える面々と言って良かった。

 そして、現地の住民と弓矢の沙汰になった際には、ここでも戦ったことがある者も、それなりどころではない数でいる。


 又、いざと言う際の武将の面々についても、私はそれなり以上に安心できる。

 酒井忠次こそ物故したとはいえ、未だに本多忠勝、榊原康政の二人は徳川家の武将として健在であり、それに井伊直政や酒井家次といった若い武将も徳川家では順調に育っている。


 更に言えば、奥羽の大名や武将達も、このカリフォルニアは集っている。

(尤も朝廷と幕府の威光を笠に着て、私が無理矢理にカリフォルニアに連れて来たようなものなので、いざと言う際に、どれだけ私の指示に従うのか、いささか不安があるのも現実だった)


 尚、奥羽の大名の中で筆頭に上がるのが、伊達政宗だった。

 又、その実弟になる蘆名盛道も、この場に来ている。


 この際に余談をすると、陸奥の会津地方の大名の蘆名家では、1584年に蘆名盛隆が家臣とのトラブルから暗殺され、1586年にその遺児である亀王丸まで夭折するという悲運に見舞われた。

 そして、蘆名家では、その後継者を誰にするか。

 具体的には、蘆名家の次期当主を、伊達政宗の弟になる小次郎(盛道)にするか、佐竹義重の次男になる義広にするか、で家中が二つに割れる事態が起きたのだ。


 蘆名家中では、従前から蘆名家の執政を担っていた金上盛備の主張で、義広派が優勢だったらしいが、伊達政宗が朝廷や幕府に働きかけた結果、朝廷や幕府からは、伊達小次郎を蘆名家の次期当主にするようにと言う裁定が出された。


 これに蘆名家中はかなり反発したが、朝廷や幕府の裁定に逆らっては、佐竹家にまで累が及びかねないとして、佐竹義広が引き下がったことから、金上盛備らは梯子を外された形になってしまい、最終的には伊達小次郎が盛道と改名して、蘆名家の当主になったのだ、


 とはいえ、盛道にしてみれば、かなり居心地が悪い状況だったようで、兄と共に行動したい、と自分から言い出して、カリフォルニアに盛道は赴いてきたのだ。

 ご感想等をお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 作中世界の未来では、正宗が主役の西部時代劇(日本から見ると東部だけど)とかが出来そうだなあ(笑)
[一言] 日本国内の政治からはだいぶ離れましたね。もはや「加州総督」を名乗ったほうがいいのでは。
[良い点]  内政ターンを終えていよいよ外征の方向に進みだした信康さんによるアメリカ布武の野望( ᐛ )وついにアメリカの大地に激しい戦雲がたなびく時が来た♪ [気になる点]  これまで台湾•フィリ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ