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第91話(織田信房視点)

 この世界のポルトガルの当時の人口は約120万人、日本本国の人口は約1000万人ということで、この話は描写しています。

 そんなゴタゴタがあった末に、1591年になってから織田信房を総大将とするセイロン島攻略を目指す日本の遠征軍は、シンガポールに集うことになっていた。


 とはいえ、それ以前から、日本の水軍衆はインド洋において、ポルトガルとそれに味方する国や商人に対する攻撃、いわゆる海賊行為を実は頻発するようになっていた。


 日本の水軍衆にしてみれば、シンガポールやアチェを前進拠点とすることで、インド洋でポルトガルに味方する面々を攻撃することが可能になっていた。

 更に、オスマン帝国やキャンディ王国とも、それなりの友好関係を日本は築くことに成功している。


 だから、流石に銃や大砲(及びそれらに必要な弾や火薬類)を、オスマン帝国やキャンディ王国で入手することは難しかったが、それなりに代価を支払えば、食料を始めとする補給物資を、そういった国の港で入手して、インド洋で海賊行為を行うことが可能に日本の水軍衆はなっていたのだ。


 更に日本の水軍衆が、こういった海賊行為で使う船舶、軍船は、マニラでガレオン船等の建造技術を日本が入手した結果、ポルトガルの商人が使う商船どころか、ポルトガル海軍の軍艦とも互角以上に戦えるような軍船が増えるようになっていたのだ。


 そして、ポルトガルの人口が、相対的に日本と比較して少ないという問題が、徐々に深刻になりつつあるという事態も起きつつあった。

 この16世紀末当時、ポルトガル本国の人口は100万人台前半に過ぎず、日本本国の人口の1割よりやや多い、細かく言えば8分の1程度しかいないという現実があった。


 勿論、少々人口が少なくとも、この当時ならば奴隷を購入して、傭兵や船員として訓練して人口不足を補うことがそれなりに可能だが。

 そうはいっても、これだけの人口の差があっては、奴隷を購入することで補うにしても限度がある。

 更に言えば、日本にしても、奴隷を購入して傭兵や船員として訓練を行い、ポルトガルに味方する面々を攻撃することができるのであり、実際にそういったことを行ったのだ。


(この辺り、近現代の感覚からすれば、日本は奴隷制度を全面禁止して、積極的に奴隷売買を諸外国と協力して取り締まるべきだ、と叩かれて当然だが。


 この16世紀の世界で、そんな主張が何処まで通るかと言うと。

 それこそキリスト教もイスラム教も、他の宗教も奴隷制度を全面的に肯定している時代なのだ。

 

 こうした時代に、日本が奴隷制度全面禁止を世界の国々に訴えるのは、それこそ積極的に世界中に喧嘩を日本が吹っかけるような事態を引き起こすことになる。

 それが主人公には分かっていたので、日本人を外国に奴隷として売るのは禁止、という弥縫策を取らざるを得なかったのだ。


 更にこうしたことから、主人公は苦虫を嚙み潰すような想いをしつつ、一部の日本人が外国から奴隷を購入するのを黙認せざるを得なかった。

 それを非難しては、それならば外国の奴隷制度をお前は積極的に否定しろ、と主人公がブーメラン攻撃を受けるのが明らか、と言う背景事情があったのだ)


 ともかく、この当時のポルトガルが、インド洋で艦隊行動ができる船と人員は、幾ら頑張っても船は15隻、人員は3000人が最大限といったところだった。

 この当時のポルトガルの人口が、100万人台前半であることを考えれば、それでも無理をした上での数字としか言いようが無い。

 何しろ、インド洋各地の拠点を守る兵も別途必要になるのだ。


 更にインド洋各地の拠点に、ポルトガルの船は分散配置せざるを得ない、という難問まである。

 勿論、集中配置するという選択肢が無い訳ではないが、この当時の通信手段等を考えれば、分散配置は止むを得ない判断だったのだ。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] いきなりの主人公呼びで驚いた。 信康とずっと表記してた気がしたが気のせいか
[良い点]  1570年代から信康さんが築いてきた海外進出の道が確実に機能しているのが実感出来る“国家としての強力な軍事力”によるインド洋征圧前から商船団を護衛する水軍衆が大手を振って南蛮船狩りをして…
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