表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

60/121

第60話

 そういった事態が、日本国内において起きたことから、日本国中の人々が対スペイン、ポルトガル戦争の決意を固める一方、外国から来たキリスト教の宣教師や日本人のキリスト教徒の多くが、日本国外に相次いで逃亡、亡命を図る事態が起きることにもなった。


 この1582年当時、日本国内のキリスト教徒がどれだけいたのか、精確なところは不明としか、言いようが無いが、少なくとも数十万人単位に達していて、その多くが九州を中心に住んでいたようだ。

 そして、日本国外に逃亡して、信仰を守ろうとした面々が、それなりに数万人以上はいたようだ。


 だが、その一方で朝廷の命を承けて、幕府が日本全土にキリスト教の禁教令を出した影響は極めて大きいものがあり、例えば、大友宗麟は大友家を存続させる必要もあったからだろう、キリスト教を棄教して禅宗に帰依すると公言したし、他にもキリスト教を信仰していた多くの武士がキリスト教を棄教して、神道や仏教に改めて帰依することになった。

 更にそれを見て、キリスト教を棄教した民衆も数万人以上はいたのは間違いないようだ。


 それに加えて、(既述だが)日本国内において大規模なキリスト教徒の迫害が起きており、それによって殉教したキリスト教徒も、どう少なく見積もっても数万人単位に達している。


 そういった様々なことを考えると、最終的に1582年当時に、日本国内にいたキリスト教徒がどれだけいて、どのような運命をたどったのかは、永遠の闇の中としか言いようが無いが。

 上記のような様々な運命を、日本国内のキリスト教徒が辿った結果、日本国内のキリスト教徒は急激に絶滅していってしまった。

 少なくとも17世紀に入る頃には、日本の統治下にある領土においては、キリスト教の信徒は公然と信仰を明かすことはできず、密やかに信仰を守るしかなくなっていたのは間違いない事だった。


 最早、かなり薄れてはいたが、21世紀の記憶がある私としては、キリスト教徒が日本国内でこのような迫害を受けることになったことについて、何とかならなかったのか、と17世紀に入った頃にはそう考えざるを得なくなっていたが。

 この頃のキリスト教徒の遣り口を見ていては、とても日本国内のキリスト教徒を庇護するのは無理な話だった、と言い訳と言えば言い訳だが、そんな風に考えざるを得なかったのも、又、事実だった。


 そういった日本国内において、急激な反キリスト教の動きが起きたことは、当然のことながら、日本国外にも急激に伝わることにもなった。

 何しろ数万人単位で、日本国外に逃亡していく人の流れが起きたのだ。

 そして、日本国外に逃亡したその数万人が、虚実が入り混じった噂を周囲にまき散らすのは当然で、それが更に周囲に広まって、話が大きく膨らんでいくのも当然だった。


 多くの宣教師や日本人キリスト教徒は、この当時に東南アジアに建設されていたポルトガルやスペインの植民地を逃亡先に選んだのだが。

 こういった宣教師や日本人キリスト教徒を受け入れたポルトガルやスペインの植民地、具体的にはマカオやマニラ、マラッカ等では、噂の広まりから急激に日本人に対する恐怖が広まることになった。


 日本軍は最大で数十万単位に達するという。

 しかも、彼らは鉄砲や大砲を、スペインやポルトガルの正規軍並みに装備しているともいう。

 彼らが本気で自分達の処に攻めかかってきたら。

 彼らにどうやって抗戦できるだろうか。


 慌ててスペインやポルトガルの拠点では、本国に対して援軍の派遣を要請することになった。

 とはいえ、急報を受けた本国側も困惑した。

 どうやって数十万もの大軍をヨーロッパからアジアまで送ることができるのか、という問題が起きたのだ。 

 ご感想等をお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] スペイン軍の戦争って2万程度しか戦場に派遣できていないのですよね。数10万の軍を派遣どころかネーデルラント、イタリアも含めた根こそぎ動員してやっと数だけ揃えられるかどうか。 船で運ぶといって…
[良い点]  難敵イスラム諸国の居ない空き地とも言える世界の海で片手に“商い”をぶら下げ融和な雰囲気で近づき片方の手に埋伏の毒とも呼べる“信仰”をたずさえて誰に掣肘される事なくやりたい放題やってきたキ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ