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第5話

 ともかくそういった状況にはあったのだが、岡崎城内で自分は住む中で、できる限りは文武両道で自らを鍛えようと努めることになった。


 この当時ならば当然のことになるが、何人かの禅僧等から文に関する様々な事、それこそ読み書きから様々な書籍知識(いわゆる四書五経に、史記を始めとする歴史書、更には孫子を始めとする兵法書)等までも自分は学ぶことになった。

(一応レベルではあったが、海上自衛官の教育課程で、孫子等の「触り」を自分は教わってはいた。

 だが、そんなもので実際に役立つ訳が無かったのだ)


 更に武も自分は鍛えざるを得なかった。

 平岩親吉から弓を教わり、本多忠勝に槍を教わり、奥山休賀斎から新陰流の剣術等を学んだ。

 元々の私の体に才能があったお陰か、それなりに時間は掛かって大人になってからだが、更に奥山休賀斎に言わせれば、様々な武術を貴方は学び過ぎで逆に筋がよろしくありませんと言われはしたが、新陰流の免許皆伝を最終的には授かる等、自分が武術を使いこなせるようになったのは幸いだった。


(尚、両親からすれば、私が文に武に、と頑張り過ぎているように見えていたらしい。

 実際に私は目覚めたときから就寝するまで、少しでも暇があればその暇を自らの鍛錬に使っていた。

 そうしないと、自分としては父や将来の義父に役立たず等と見られて殺されると恐怖心を覚えていたので、そうしていたのだ。

 そういった状況を心配した両親、特に母からは少しは休むように勧められる事態が起きた。


 だが、そこまで頑張って、更に成果を結果的に挙げたことが、却って悪かったのかもしれない。

 史実同様(?)に織田信長から自分は娘婿として目を付けられて、五徳と結婚することになったのだ。

 又、後々だが新陰流免許皆伝という武術の達者ということで、様々な縁が結ばれていった。

 その中には細川藤孝(幽斎)や北畠具教、柳生石舟斎らまでいることになった


 こういった文武両道で自らを鍛える一方で、自分の前世知識からでは、この当時の歴史の流れが余り分からないこともあって、一生懸命に石川数正らを主に頼って周囲の情勢を探って、自ら把握して、歴史の流れを把握しようと努力することになった。

 それを自分は知ることで、自分なりに何とかして生き延びようと考えたのだ。

 そして、石川数正らも周囲の情勢を知らないと判断を誤ると考えていたことから、私の考え、提言は石川数正らに積極的に受け入れられることになった。


 とはいえ、当初の頃はそんなに諜者、忍者を周囲に放ってといった情報活動等、思いもよらない。

 何しろ自分は三河の国衆の後継者の一人に過ぎない身なのだ。

 石川数正らにしてもそう富裕な訳が無く、諜者を大量に雇う等は思いもよらない。

 だから、私や石川数正らはひたすら「耳を澄ませる」ことに徹することになった。

 色々な噂話を聞いては、それが本当なのか、他の噂を聞いて判断するしかなかった。


 だが、こういった状況は少しずつ変わっていくことになった。

 三河一向一揆で三河から追放された本多正信を始めとする面々は、結局は本願寺を多くが頼った。

 頼らなかった一部も本願寺と所縁のある面々の下に落ち着いた。

 そして、私がそういった面々の助命に奔走していたことが徐々に知られ、彼らは差し支えないと自らが考える範囲で、本願寺等が得た情報を流してくれるようになったのだ。

 そして、その情報に対する礼金を私や石川数正らが払ったことが、更なる情報を自分達が得る発端になる事態が起きた。


 何だかんだ言っても、この当時の本願寺の信徒のネットワークは日本各地に広がっていた。

 だから、本願寺が得た情報は極めて確度が高く、それを自分達が得ることは貴重な事だった。

 念のために書きますが、主人公の信康が文武を極めたと言えるのは、まだまだ先の話で、それこそ史実で言えば武田信玄が没した1573年よりも、更に後の話になります。

 それまで、主人公は基本的に自らを鍛えて、情報収集を行い、更に自らの考えを石川数正らに訴える日々を送ることになります。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 前作の頼家シリーズよりも面白くなりそう。 [気になる点] 後は、母上こと築山殿との関係はどうすべきか。仲立ちして和解を促す手もあるけど、史実の行動を見ていると、息子に依存気味だったのではと…
[良い点]  徐々に成長していく雌伏のような幼少期(^皿^;)史実武将としてはなかなかの「豪のモノ」となり得る信康さんが史実以上の努力をするんだからメキメキと育っていきますわなー、そしてそれをそば近く…
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