第102話
話が逸れすぎたので、本来の徳川家の家臣団や奥羽の大名やその重臣たちが集った、私が呼び掛けた会議の場に話を戻すと。
会議の場に集った多くというより殆どの面々が、対スペイン戦争の発動に賛同した。
これは当然と言えば、当然の話で。
この当時の中南米のスペイン領は、メキシコやペルーを中心に大量の銀を産出する土地として知られているという現実があった。
そういった宝の山を戦争で手に入れよう、と言う話に、この場に集っている面々の殆どが前向きになるのは当然と言えば当然だった。
そして、具体的な戦略、作戦についてだが。
「まずは海軍を集めて、更に大量の輸送船団をインド洋からこちらに集めるなり、日本本国において建造するなり、してもらうべきでしょうな」
「全くもって、その通り。陸路で延々と進軍するよりも、海上輸送を駆使した方が、様々な面で軍勢を移動させたり、補給物資を運んだりするのに圧倒的に優位だからな」
「その上で、メキシコに侵攻しようではないか」
「メキシコを制した後は、ペルーを目指すとするか」
「それが妥当だろう」
そんな声が、会議の参加者の面々の間から挙がる事態が起きた。
実際に会議に参加して、その場にいる面々の意見を聞く内に、私自身もそれが妥当だろう、と改めて考えるようになった。
東太平洋に大規模なスペイン艦隊は存在しない。
そんな艦隊をスペインが維持しようとすると、それこそ大量の人やモノが必要になる。
それを本国から遠く離れたこの地で維持しようとする等、正気の沙汰では無い話だ。
それに今のところは、東太平洋に大規模な日本の艦隊は存在しない以上、スペインとしてもそんな必要は無かったのだ。
スペインが本気になる前に、大規模な日本艦隊を日本本国等から差し向けて貰い、メキシコやペルーに侵攻すべきだろう。
そうなった場合、スペインは本国から艦隊を派遣して来るだろうが、それこそ南米大陸という巨大な壁がある。
マゼラン海峡もドレーク海峡も、それこそ21世紀の船舶でさえ、出来る限りは航行を避ける海の難所なのだ。
スペイン本国から遥々と大西洋を横断した上で、マゼラン海峡等を越えて、どれだけのスペイン艦隊が真面にたどり着くか。
半分が真面に戦える状態で、スペイン艦隊がたどり着けば上等ではないだろうか。
それに対して、日本は距離の問題こそあるが、相対的に穏やかな太平洋航路で艦隊を送ることができて、完全に自活できているカリフォルニアという前進拠点もある。
中南米の太平洋沿岸の制海権は、日本側がほぼ握ることが出来る以上、メキシコやペルーに対しては海上侵攻を行うのが基本的に正解だろう。
私はそう自分でも考えを進めることになり、伊達政宗を始めとするその場にいる奥羽の大名や、本多忠勝を始めとする私の家臣達も、似たような考えを持ったようで、大同小異の意見を言った。
そう言った会議の発言を踏まえて、私が会議の結論を言った。
「それでは、日本本国に協力を求めよう。インド洋方面におけるポルトガルの拠点は、ほぼ我々が制圧する事態が起きており、インド洋で戦ってきた兵や艦隊は、こちらに向かうことが出来る筈だ。彼らに協力して貰って、メキシコやペルーへと侵攻していこうではないか」
「応、その通り」
「腕が鳴る事態ですな」
伊達政宗らは、私の言葉に相次いで賛同の声を挙げ、ここに方針が決まった。
それを受けて、私は日本本国に対して、カリフォルニアの現状について改めて伝えると共に、メキシコやペルーへの侵攻作戦を発動するために、艦隊等の派遣を朝廷や幕府に対して要請した。
朝廷や幕府は議論をした末、私の希望を受け入れてくれて、日本本国から艦隊等が派遣されることになった。
この辺り、私はネット検索しか掛けていませんので、間違っていたら、本当にすみません。
実際にはマゼラン海峡もドレーク海峡も航海の難所という事は全く無く、容易に航海できている現実があれば、それこそ本作を削除したい事態です。
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