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前世は拾われた猫だったので転生したら人間を拾っています  作者: PYON
第3章 隠者ブラックウッド
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15

 猫ちゃんの頭に触れたとたん、わしの中に何かが流れ込んでくる。

 これは……。

 魔力だ。猫ちゃんの魔力がわしの中に流れ込んでくる。

 そして、身体の中を駆け巡っていく。

 これは…こういう使い方をしたことはなかった。

 力がみなぎってくる。

 ここまでくるのに少し疲れはあったが、それがなくなっている。

 それどころか身体が軽い。

 これは、若い時の身体の感覚だ。

 年をとったら思った以上に身体が重荷となることを感じていた。

 

「じゃあ、ついてくるにゃん」

 猫ちゃんは二本の尻尾をピンとたてて前をあるく。

 わしはそのあとについていく。

 猫ちゃんはだんだん速足になる。

 しかし、わしも走ることができる。

 それも息が苦しくはない。

 猫ちゃんのスピードが速くなる。

 ときどき、猫ちゃんは大丈夫っていうように振り返る。

 しかし、たやすくそのスピードについていける。

 たぶん、これはスピードアップの魔法もかけられてる。

 もしかして、さっき猫ちゃんが瞬間移動したのも、この魔法なのか。


 しかし、猫ちゃんの住み家ってどんなところだろう。

 野生では穴を掘って巣にする猫がいるって聞くが。

 もしかして遺跡の洞窟とか、そういうところではないだろうか。

 森の中なので、木の上とか。


 わしは猫ちゃんと獣道をたどっていく。

 少しすると、だんだん道が広くなってくる。

 いや、石で舗装されたような跡さえ見られる街道になっていく。

 まさか、これが古代文明の遺跡。

 そういえば、さっき木の上から見たとき、こんな道なんかなかったはずだ。

 もしかして、隠蔽の魔法までかけられているのか。

 

 そしてついに石の門が現れる。

 ここはまさにわしの探していた古代遺跡の町だ。

 猫ちゃんは門の前でにゃーと鳴く。

 そのとたん、石の門が左右に開き始める。

 どういうことだ。

 中に人がいるのか。

 門が開き切ると、その中に猫ちゃんは歩いていく。

 わしもそのあとに続く。

 たぶん、風化で崩れた石の町なのだろう。

 その中に古代魔法の秘密を解き明かすものがあればいいのだが。

 時間はたくさんある、ゆっくりと考えようではないか。


「ただいまにゃん」

 猫ちゃんは門の左右の石造に挨拶する。

 石造は猫ちゃんに礼をする。

 いや、これは石造というよりゴーレムだ。

 

「おかえりドラちゃん」

 それから、少年と少女が猫ちゃんに駆け寄ってくるのだった。

 

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