魔法猫ドラ02
おじいちゃんの話を聞くと、なんか古代遺跡というのを探しにきたらしい。
そんなの、この森にはないのにね。
ぼくはドラゴンの山まで行ったことあるけど、そんなのみたことない。
それから、ぼくが魔法猫なら戦いたいとかいうのだ。
ぼくは魔法猫だけど、魔法は使えないのだ。
それに戦うのはめんどうなのだ。
ぼくはやめさせようとするけど、いきなりおじいちゃんは火の球を撃ってくる。
森で火をつかったら危ないにゃん。
もしかして、おじいちゃんはボケてるにゃん。
でも小さな球だから、猫パンチで弾き返す。
これは、ぼくたち猫の習性みたいなもの。
なんか、動くものがあったら飛びつかずにはいられない。
おじいさんはぼくが火の球を弾き返したのに驚く。
ぼくの身体はなんか光でまもられている。
火にさわってもやけどとかしないのだ。
向こうの世界では、あったまろうとしてストーブに触って熱かったことがある。
だけど、火の球を弾き返すのなんて、普通だ。
こんなの魔法じゃないのだ。
なんかおじいちゃん、よろこんでるし。
ぼくが遊んであげたら、人間は喜ぶんだ。
人間が猫と遊んであげてるんだと思ってるかもしれないけど、猫が人間と遊んであげてるんだよ。
でも、おじいちゃんは次の魔法を始める。
もっと大きな魔法を打ち込んだらぼくがよろこぶんじゃないかって思ったのだろうか。
もっと力をこめて打ち込んでくる。
ぼくの上にオレンジ色の輪が三つ現れる。
そこから、炎の柱が下りてくる。
まあ、猫をじゃらすための大した魔法じゃないんだろうけど。
あんまり良くないかも。
この場所ってぼくのお気に入りの場所なんだ。
石がたくさんあって、登ったりもできる。
その上でいろいろなことを考えたりもできる。
猫は高いところで考え事をするのが好きなのだ。
だから、ここを破壊されると困るのだ。
弾き返して山火事になるのも困る。
これはおじいちゃんを喜ばせるよりも、魔法を消してしまうのがいい。
このおじいちゃんはボケている上に徘徊しているのだ。
ぼくは肉球を炎の柱にかかげる。
そう、ぼくの身体の中でぐるぐるするものを前足に集める。
ぐるぐるが炎柱に当たる。
その当たったところから柱は崩れていく。
そして、何事もなかったように炎の柱は消えてしまう。
これ以上やったらしゃれにならない。
ぼくは、おじいちゃんに近づく。
たぶん、おじいちゃんの目にはぼくが瞬間移動したように見えたはず。
年をとると目が悪くなるのだ。
「これ以上やったらダメにゃん」
ぼくはおじいちゃんにやさしく注意するのだった。