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前世は拾われた猫だったので転生したら人間を拾っています  作者: PYON
第3章 隠者ブラックウッド
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09

 ランベールの町で準備をする。

 これから深淵の森に古代の遺跡を探しに行く。

 本当に気楽なもんだ。

 王国の役をやっていたときにはこんな解放感を味わうことはなかった。

 いままではいろいろなしがらみの中で生きてきた。

 これからは自分のために生きていける。

 この数日、そんな自由を謳歌していた。


 この町には、古代の町についての伝説が多く残っている。

 伝説っていうやつは、誇張されているといっても、火のないところには煙はたたない。

 なんらかの現象に基づいて作られているというのがわしの考え方だ。

 村の近所の古代の遺跡にいろいろな壁画や土偶が残されている。

 そこには、空から飛来したなにか謎の鎧を来た者が描かれている。


 わたしの推察によれば、この世界の文明ではなく、天から飛来した者がこの森の中に町を作った。

 その飛来人は、我々と違う魔法体系をもっていて、我々よりずっと進んだ文明を持っていたのだ。

 ただ、その飛来人は、なんらかの理由で滅びてしまった。

 彼らが残した遺跡が、この森の奥深くにあるのだ。

 その仮説に基づいてわしは旅を始めることにした。


 このランベールの町は、深淵の森への冒険の入り口となっている。

 しかし、森の中には小さな村があり、そこを目指して進むつもりだ。

 まずはトライアの村という小さな村を目指そう。


 急ぐ旅ではない。

 ゆっくりといこう。

 最初、冒険者をやとうことも考えたが、老人の暇つぶしに若い者を使うのも気が引ける。

 気楽なひとり旅といこうではないか。


 まったく手探りというわけではない。

 過去わしと同じ仮説を立てた学者の研究がある。

 それは、深淵の森に住む魔法猫の研究だ。

 魔獣学者の研究書だが、そこに書かれている魔法猫。

 それは幻の魔獣といわれ、その毛皮は高価で取引されている。

 普通の猫との違いは尻尾が二股に分かれていること。

 そして、名前のとおり魔法を使うということ。

 ただ、その魔法の構成が我々の魔法とはまったく別の原理で成り立っているのだ。

 簡単にいえば、わしらの魔法は分解すれば2つの数字で構成される。

 0と1の組み合わせなのだ。

 それを原始魔法言語という。

 その原始魔法言語の命令を我々の言葉に直したのがわしらの使う魔法言語だ。

 それを詠唱するか、空中に書き出すかして魔法を使う。

 だが、魔法猫の使う魔法は16の数字で構成されるのだ。

 我々の2ビット魔法に対し、16ビット魔法と名付けられた。

 それこそ古代魔法ではないかというのが学者の説だ。

 深淵の森に魔法猫がいるのなら、古代魔法に関係あるのかもしれない。

 だから、まず魔法猫を探すのがミッションだ。

 魔法猫なら、生態分布が一部わかっている。

 それが、トライアの村の奥となっているのだ。


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