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前世は拾われた猫だったので転生したら人間を拾っています  作者: PYON
第3章 隠者ブラックウッド
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08

「さて、炎の魔法の初期魔法はこのファイアーボールだ」

 そう言って、わしは指先に小さな火の球を出す。

 すべての炎魔法の基本だ。

 これをいろいろな方向に変化させていく。

 

「まず、ここをこうすると炎は大きくなる」

 そう言って魔法陣の一部の表現を変える。

 そのとたん、火だねは手のひらサイズの炎の球となる。


「ここは、動きを決める。ここはスピード」

 炎の球はゆっくり動き始める。

 

「そんなのわかっている」

 コンラットは答える。


「そう、あたりまえのとるに足りない魔法だ。

 しかし、その初級魔法さえ、おまえらは使いこなせていない。

 それなのに、中級魔法だ、別属性だと新しいものに飛びつこうとする」


「でも、ファイアーボールくらい簡単に跳ね返せるだろ」


「そうかな。そこの君、跳ね返してみたまえ」

 わしは、魔法陣の一部を書き換える。

 そのとたん、火球が若者に向けて飛ぶ。

 若者はバリアを展開する。

 安易だ、安易すぎる。

 先輩魔導士相手にそんなことをしてはいけない。

 すこしは疑ったほうがいい。


 火球は若者のバリアに触れる。

 そのとたんにバリアの魔力を吸収して大きくなる。

 そう、こういうこともできるっていうのはきちんと教えている。

 魔獣相手なら威力の高い攻撃でいいんだが、魔法を使うものが相手なら当然考えなくてはならないことだ。

 それなのに、嘆かわしい。

 大きくなった火球は若者を襲う。

 若者は直撃を受けて倒れる。

 まあ、死ぬことはないだろう。

 きちんと計算の上での魔法だ。


「まだやるつもりか。

 次は本気でいかせてもらう」

 わしはコンラッドを睨む。

 やつがひるんでいるのを感じる。

 もう、戦う気力はないだろう。


 わしは、彼らに背を向けて歩き出す。


「まて、じじい」

 コンラッドはわしを呼び止めようとする。

 しかし、それはただのポーズ。

 こいつにわしと命のやりとりをする勇気はない。

 わしは何か叫んでいるコンラッドを振り返りもせずにランベールへの街道を歩いていくのだった。


 


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