05
「じじい」
「だからいわんこっちゃない。
暗殺者ふぜいにわしは倒せんよ」
目の前には長身の戦士。
刀と言われる片刃の剣を抜く。
この剣は細いがよく切れる。
相手を殴るに近い剣より暗殺に向く。
戦士は剣を一閃させる。
それをわしは氷の盾で受け止める。
この刀というのは、突くという攻撃をする。
点の攻撃は防ぎにくい。
だが、氷の盾ならどこにでも展開できる。
なかなかの太刀筋だな。
真面目に軍で自分を鍛えたらひとかどの戦士になれただろうに。
暗殺に手を染めた戦士の剣は邪道。
そして、そのような剣ではわしの魔法は斬れない。
わしの氷とぶつかって、相手の剣は折れる。
未熟者め。
そのまま、わしは氷の刃を飛ばす。
その刃に剣士は貫かれる。
さて、あと一人か。
わしは残った暗殺者を睨む。
忍び装束の小柄な男。
しかし、もう戦意を失っている。
しかし、こうなったら逃げないとならないな。
めんどくさいことだ。
そのためには、こいつはここに足止めをしないとな。
足を狙って風魔法をうつ。
わしの魔法は正確に忍者のアキレス腱をとらえる。
これでこいつは暗殺者を続けられないだろうな。
わしは、ゆっくりと牢を出る。
もちろん、警備の兵もいるだろう。
すべて眠ってもらうしかないな。
やれやれ、本当はもう少し隠密に脱出したかったんだけどな。
派手にいこうか。
こんなときには攻撃魔法という頭の悪い魔法が役に立つ。
前方には鉄の扉。
わしは爆裂魔法をうつ。
簡単に扉は吹っ飛び、壁が崩れる。
なにやら兵士たちが騒いでいる。
そこにゆっくりと歩いていく。
「老師、戻ってください。
さもないと、あなたを斬らねばなりません」
一人の剣士がわしに向かってくる。
まだ、わしに敬意をはらってくれるのか。
しかし、そういうわけにはいかない。
わしは風魔法で、目の前の剣士を吹き飛ばすのだった。