04
わしは牢にいれられた。
こんなところに入れてどうすのか?
わしほどの魔導士となるとこんなところ脱獄するのは簡単なのにな。
それにしても、そこまでわしが怖いのか。
ただ、追放するってこともできないみたいだな。
わしを殺さないと枕を高くして眠れないといったところか。
この国には、王を制御するシステムはない。
ほかの国には王にも法律を適用するというのもある。
王よりも憲法が上というシステムだ。
ロラン王国はそれを神に委ねた。
王の行いは神が見ているというのだ。
前国王は神に恥じないように国政を行った。
だが、このやり方はバカには通用しない。
自分の行いを神に合わせるのではなくて、神の言葉を自分の行いに合わせて解釈する。
新王はロラン王国を神国と呼ぶ。
そして、戦争のことを聖戦という。
中二病もいいところだ。
さて、どうしようか。
猫でも抱いてのんびり暮らすつもりだったのだが。
そんなこともゆるしてくれそうもないな。
3人の男が牢の前に立つ。
「ブラックウッド、王命だ。
死んでもらおう」
男たちは牢を開けて、入ってくる。
暗殺者だろう。なかなかの手練れのようだ。
ただ、たったの3人か?
なめられたもんだな。
「暗殺者か?」
「ああ、そうだ。
おまえにはここで死んでもらおう」
「そうか。
ただ、わしを殺したければ3人では足りないな。
一軍を率いてこい!」
「なんだとじじい」
「おまえらじゃ、力不足だっていってるんだ」
わしが指で印を結ぶ。
そのとたん、目の前の男の腕が燃える。
簡単な火の魔法だ。
暗殺者は火を消そうと目の前でのたうちまわるのだった。