02
とにかく結論の決まった会議だ。
無駄な時間だな。
「それにこちらにはロラン王国が誇る魔導軍があります。
これだけは共和国にも真似ができません。
西側は科学とかいうのを使うようだが、まだ我々の域には達していません」
「しかし、そのトップのブラックウッド師がそのような及び腰では」
国王をはじめ全員がわしを見る。
「何度も言うようだが、わしは時期尚早と考える。
前の戦争によって国内にも不満が高まっている。
今は内政に力を入れるべきだ。
とくに戦争に大量に税金をつぎこむべきではない」
本来であれば、文官がいうべきセリフだ。
それを誰も言えないとは。
「ブラックウッド師は耄碌されておられる。
最近やられているのは、魔導を使ったストーブとか、コンロを発明するとか。
とにかく魔導軍のやることではない」
魔導2軍の長コンラットが口をはさむ。
こいつは私の弟子だ。
ただ相当に出来が悪い。
魔法より軍に取り入ることが得意な貴族の子弟だ。
「そうですな、この間の戦争でも乗り気でなかったみたいですし。
ブラックウッド師が本気をだしてくれたら、3か月は早く集結していたはずです」
「魔導師長も体力のいる仕事です。
そろそろ、後輩に席を譲られたらどうでしょうかね」
コンラッドの言葉に将軍たちが口をはさむ。
拍手をしたいぐらいに見事な三文芝居。
前国王の頃はこんな有象無象が将軍になることはなかった。
この国がおかしくなったのも、前国王が現在の国王に王を禅譲してからだ。
わしは共和国の言う民主主義はクソだと思っている。
やはり長く続いてきた王政にはそれだけの理由があるのだ。
選挙で大統領を選ぶ。
それも任期は長くて4年?
そんなやつらに長く将来を見据えた政策なんてとれるわけがない。
選挙はただの人気投票になる。
耳障りのいい言葉を吐くメディア露出の高い者が指導者となる。
そんなやつらに善政ができるわけはない。
それから考えれば王政のほうが少しはましだ。
ただ、バカが王にならなければという条件付きだが。
そして、ロラン王国はその危機にある。
「ブラックウッド師のことは、後で考えよう。
今はデルモント公国のことだ」
王はにやりと笑って、話をもとに戻すのだった。
やはりこいつも三文芝居の役者の一人だった。