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事後処理は全部ライオネルさんがやってくれた。
ギルドへの報告、騎士団貴族との折衝、そういうのはぼくとミリアにはちんぷんかんぷんだ。
ただ、この町のみんなのぼくたちを見る目がかわり、なんかすごい報酬をもらったことはわかる。
そして、冒険者ランクは一気にSに上がった。
現冒険者では最高レベルだ。
ライオネルさんは、それでも不足だって頑張ってくれたんだ。
だってS級のガウェインを相手にもしなかったってね。
ただ、SS以上は伝説のランク。
生きている間についたものはいない。
冒険者は死んだら1段階か2段階特進する。
それで、S級冒険者が死んだらSSになるってことらしい。
でも、ぼくにはこれで十分だ。
たぶん、ランスロットさんに会ったら、おまえはまだまだだなって言われるんだろうな。
慢心してはいけない。
とにかく、ぼくたちの生活は一変した。
いろいろなクエストから引く手あまたとなったのだ。
後輩冒険者からの尊敬のまなざしもすごい。
ぼくたちも冒険者になって1年くらいなんだけどね。
なんか、ぼくたちの前にくると固まっるし、サインとか求められることも増えた。
ぼくとミリアのファンクラブもあるらしい。
そんな感じで、2年の月日がたった。
そんなときに、ぼくたちに手紙が届いた。
ランスロットさんからだ。
ぼくはランスロットさんと約束していたのだ。
それは、イグレーヌさんのことだ。
イグレーヌさんはランスロットさんとともに国を追われた王女だ。
その国がしあわせな国ならいい。
でも、そうでなければ取り戻さないといけないって。
このまま、ドラの町で平和に暮らすのもいいけど、自分は王族だから国に対して義務があるって。
それを果たすときが来たって。
今度は国相手の戦い、ランスロットさんも強いけど、できる限り人を集めたいとのことだ。
ぼくとミリアは参戦することに決めた。
なんといってもドラの町の仲間だ。
それにランスロットさんには、剣を教えてもらった。
そのおかげで、この町でも無事過ごせている。
ライオネルさんや紅の麒麟の人、冒険者ギルドの人に挨拶をして、旅の準備をする。
みんな、なにかあったら言ってくれ、今度はわたしたちが力を貸すからって言ってくれる。
そういえば、ぼくたちも村からでてきて、騙されて、ドラに助けられて、みんなにいろいろ教えてもらって、今は町を守るようになっている。
そう、守られたものが、また別の人を守る。
そうやって、つながっていくのだ。
とりあえず、ドラの町に集合らしい。
ひさしぶりだな。
みんな元気かな。
ぼくとミリアはランベールの町のみんなに見送られて本当の故郷への旅を始めるのだった。