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とりあえず、すべて防具のあるところだ。
それも灯火をまとわせてだ。
あれっ?なんか全部の攻撃が決まった気がする。
まさかな。
ランスロットさんと同じくらい強い人だ。
そんなはずはない。
「はやく、来い。おじけづいたか」
ガウェインは、ぼくを挑発する。
もしかして、ぼくの攻撃が決まったことに気が付いていないの。
まさか、そんなことはないよな。
「今、攻撃しましたが」
「えっ。嘘だろ。そんなはずは」
そういったとたんガウェインの小手と胸当て、兜が砕ける。
「では次の攻撃いきます。
灯火よりも強い攻撃で狐火です」
ぼくの剣がまとう炎が大きくなる。
防具を壊して、この攻撃を当てられたら、少しはダメージを与えられるだろう。
もし、相打ちになっても、ぼくの後ろにはライオネルさんがいる。
思い切っていけばいい。
「ちょっとまて!
さっきの攻撃は?」
ガウェインは、ぼくに問いかける。
たぶん、あの程度の攻撃は効かないぞってことか。
わざと受けたのかもしれない。
「いちばん弱い攻撃です。
わかっています。あの程度の攻撃は通用しないって。
だから、つぎは少し強い攻撃をします。
ぼくの中では下から2番目の技です」
そう言って剣を降る。
剣から炎を帯びた衝撃波が飛ぶ。
この遠隔攻撃を狐火と名付けていた。
一番弱い遠隔攻撃。
でも、遠くから攻撃できるので、ガウェインみたいな強い人には使えるのだ。
遠隔攻撃があるとわかったら、相手はそれにも警戒しないとならない。
たぶん、簡単に弾かれるのだろう。
でも、意味のある攻撃だ。
ランスロットさんには頭を使えって言われている。
たぶん、僕みたいな弱者は真向から行ってもだめだ。
だから、はったりをきかす。
悲しいことに自分を大きくみせないとならないのだ。
ぼくの狐火はガウェインの正面から襲い掛かるのだった。