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無数の氷の槍が相手を貫く。
ハウエルはなんとかバリアを展開して自分だけは守ったようだ。
でも、すわりこんでいる。
周りは氷の槍で全滅だ。
ハウエルはその姿勢のまま、下がろうとする。
腰が抜けているのか。
「じゃあ、次、初級魔法アイスロック!」
ミリアが魔法を展開しようとする。
「わ、わかった。
わたしの負けだ。
投降しよう」
ハウエルは手をあげる。
ミリアの勝ちだ。
相手は油断しすぎたようだ。
本当ならぼくたちのレベルでS級に勝つなんてありえない。
ただ、相手の慢心につけこむことができれば、こんなこともあるのだ。
ライオネルさんが吠える。
それで、こちらの士気は上がる。
ガウェインとかいうのも、なめてくれたらいいんだけどな。
でも、ランスロットさんと並び称される人ならそんなことは望めないないだろうな。
ぼくたちは、砦の中に進んでいく。
敵は砦の奥に逃げていく。
「出てこい!ガウェイン!
おれらと勝負しろ!」
ライオネルさんが敵を挑発する。
ときどき、こっちに向かってくる敵は鋼鉄の翼の人と赤い麒麟の人が倒してくれる。
べつにぼくが戦えるが、力を温存しろってことらしい。
あくまで、ガウェインが出てきたらぼくの出番だ。
「ライオネルの小僧か。
無駄だ。俺には勝てないよ。
やめておいたほうがいい」
「まあ、俺だけならな。
あなたには勝てないだろう。
しかし、こっちには剣神ランスロットの弟子がいるんだ」
「ほう、ランスロットの弟子か。
一度、戦ってみたいと思っていた。
俺はランスロットに会ったことがある。
勝負を挑んだが、奴は逃げやがった。
おまえとは戦うまでもないってな。
だから、ランスロットの弟子といっても大したことはないのだろう。
剣神といってもただの臆病者。
さらにその弟子なんだからな」
そう言って剣皇はゆっくりと前にでるのだった。




