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「アッシュ、それは正面突破っていうんだ」
ライオネルさんが追いかけてくる。
でも、正門の隣の扉を破壊したんだけど。
ミリアが正門を破壊したから、そこから来ると思うよね。
ところが、その隣の扉から来るって、だれもおもわねえって感じじゃね。
ぼくとミリアは通用口をつっきる。
目の前の敵をなぎたおしながら。
うしろからライオネルさんがついてくる。
やっぱりぼくたちのことが心配なんだ。
でも、ぼくたちが討ち漏らしても、ライオネルさんがいれば大丈夫だ。
門の横の扉は完全に破壊されている。
「なんだ、この魔法!」
「ランベールの冒険者にこんな魔法を使えるのいたか」
「とにかくやばいやつがいるぜ」
門のところは混乱している。
「ミリア!フローズンドラゴンだ」
「わかったわ」
走りながら杖を上に上げる。
「フローズンドラゴン!」
中級魔法だから、魔法名くらいの詠唱は必要だ。
ミリアの杖の先から、氷の竜が現れる。
氷の竜はそのまままっすぐ進み、壊れた扉をくぐる。
扉の前の冒険者たちは冷気をあび氷像となる。
足止めにぴったりの魔法だ。
「なんだ、これは」
冷気をうけなかったものはぼくが突っ込んで斬る。
微炎をまとわせているので、一撃で戦闘不能となる。
「おまえら、こっちにはS級魔導士がいるんだ」
そういえば、そうだった。
ミリアの魔法では難しいかもしれない。
でも、ぼくがいるしライオネルさんがいる。
一対一なら高位の魔導士にかなわない。
現にミリアもブラックウッドのおじいさんに勝ったことはない。
でも、ミリアはすごく才能があるらしい。
「わたしが、S級魔導士ハウエルだ」
髪の長い青いローブの男が出てくる。
それを囲むように2人の剣士。
ハウエルの後ろには女魔導士が2人。
こっちもミリアを守るように、ぼくとライオネルさん。
紅の麒麟のアリエルさんとカトリーヌさんがうしろに控えてくれてる。
ランベール冒険者オールスターズだ。
でも、ぼくたちは見習いって感じだけど。
そして、ミリアとハウエルの魔法戦が始まったのだった。