47
それから、ぼくとミリアは冒険者としてこの町中心にクエストを行った。
ライオネルさんからは再三誘われてるが、鋼鉄の翼に入るつもりはない。
ミリアも紅の麒麟から相当のアタックを受けている。
ぼくたちはいつかドラの町のために戦わなくてはならない。
その時に迷惑がかけるわけにはいかないから。
でも一緒にクエストをこなしたりするのはありだ。
とくに紅の麒麟は魔術師だけのクランなので、アタッカーのぼくは重宝されている。
魔法剣士であるのも相性はいい。
ぼくたちのクランの名前は、猫の尻尾にした。
ぼくたちのいちばん好きなものの名前にしたのだ。
ライオネルさんのおかげでぼくたちのギルドでの扱いも格段に良くなった。
最初は素材を盗んできたんじゃないかとまで疑われたのにね。
あの愛想がわるかったお姉さんはとくに態度が変わった。
「アッシュさん、今日も買取ですか。
ゴールドフォックスですか。
高値で買い取らせてもらいます。
アッシュさんの素材は処理が良くて助かります」
他の冒険者の相手をしていても、ぼくたちが顔をみせると真っ先に飛んでくる。
でも、あんまり信用はできないな。っていうか苦手だな。
半分くらいは別の買取屋にもっていくことにしている。
ギルドの顔を立てているっていう感じだ。
クエストの受付では難しい依頼が回ってくるようになっている。
指名依頼も増えていているし、仕事に困ることはなくなった。
とくに遠方への護衛が増えている。
この依頼はかなりおいしい。
依頼主のお金で旅行をして、高い報酬ももらえるのだ。
あんまり危険な状況になることはない。
ウルフ、オーガ、熊、ゴリラ、ガーゴイルくらいか。
って言ったら他の冒険者は驚くけど、ドラの町のまわりにいるのに比べたら全然たいしたことはない。
お金も月金貨100枚は最低稼げている。
ぼくもミリアもマンションに住むようになった。
あと、新人冒険者にも慕われている。
っていうかなつかれている。
助けた冒険者もぼくのことを兄貴って言ってくるし、予備校で教えるようにもなった。
ぼくは剣術の講義、ミリアは魔法の講義。
どっちも実践的でわかりやすいと人気だ。
ブラックウッドさんとランスロットさんに教えてもらった通りやってるだけなんだけどな。
冒険者としてはB級まで駆け上がった。
まだ冒険者になって1年もたっていないんだけど、最速っていわれている。
そんな平和な日々をすごしていたぼくたちに新しい依頼が入る。
オーガの時以来の強制クエストだ。
ぼくたちはギルドに集められる。
前にはライオネルさんとギルドマスター。
「おい、アッシュ。おまえらもこっち側だ」
ぼくたちは、ライオネルさんに言われた通り前にでてみんなに向き合うのだった。