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いろいろなことがあった一日だった。
すごく長くて短い特別な日だったような気がする。
今日は身体を休めて、明日は祝勝会ということになっている。
もちろん、祝勝会にはライオネルさんたちと一緒に招待されている。
とりあえず、ごはんを食べて早く休もう。
ぼくたちは宿屋の食堂に行く。
「金貨ももらったし豪勢にいこう」
「うん、でもあんまり贅沢しちゃだめよ」
ミリアが財布を握ってくれている。
まあ、ぼくはあんまり計算が得意じゃないし、このほうがいいのかな。
すこし贅沢な肉料理を大盛でたのむ。
ミリアも同じなの?
あんがいよく食べるんだよな。
それなのにすごくスタイルはいい。
「なに?魔法も体力をつかうんだよ」
ミリアは、いつもそう言う。
「俺らはこの町を救ったんだぜ。
本当であれば、オーガがこの町に攻めてきてもおかしくなかったんだよ。
だが、おれらが命をかけてオーガを退けたんだ。
だから、サービスしろっていってんだ。
今日はタダでいいよな」
向こうで冒険者が店員にからんでいる。
でも、なんか聞いたことがある声。
そっちをみると…
やっぱクレイブたちだ。
こんなことされたら、冒険者がみんな嫌われちゃうよ。
ぼくは立ち上がってクレイブのほうに行く。
「いいだろ。一番高い酒をもってこい!」
ケリーが店員の人に言う。
「ライオネルさんたちは命をかけて町を守りましたが、あなたたちは違いますよね」
ぼくはテーブルのそばに行って言う。
「なんだと!」
クレイブとケリーがぼくのほうを見る。
「あなたたちは逃げようとしていましたよね。
新人冒険者を置いて」
「あれは…」
口ごもるケリー。
「とにかく、この人たちにサービスなんて必要ないです」
店員さんの前に立って守るようにする。
「こいつはG級だ。
おれらはD級。どっちのいうことが正しいと思うんだ。えっ?」
クレイブはまわりをみまわしてい大声を出すのだった。