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「だから!こいつらがオーガを倒したんだよ」
ライオネルさんがギルドマスターの前で机をたたく。
「またまた、ライオネルさん。
若いのを甘やかしてはいけませんよ。
この子たちはG級ですよ。
オーガを倒せるわけありません」
「だから、こいつらは魔導王ブラックウッドと剣神ランスロットの弟子なんだって」
「いえいえ、オーガはあなたが倒したんですよね。
この子たちはそれを少し手伝っただけ。
とかそういうのでしょ。
とにかく、ライオネルさんはA級への昇格がきまりました。
それから、報酬もかなりの額、用意させていただきました」
「じゃあ、こいつらはどうなる」
「もちろんライオネルさんの推薦があるんですから、E級に昇格させていただきます。
2階級上がるなんて破格の待遇ですよ」
「こいつらがE級なら、おれはF級いやG級だ」
「またまた御冗談を」
「とにかくなっとくがいかない!」
ライオネルさんとマスターが言い合ってる。
「あの、ライオネルさん。
ぼくら、E級で十分です。
まだ、冒険者になってあまり仕事をしていないし。
さっき言われた金貨30枚って報酬も十分だと思います」
「ほら、アッシュ君もこう言ってますし」
「わかった。
じゃあ、おまえら鋼鉄の翼にはいらないか。
おれらと一緒にやろう」
「いえ。とりあえず、ミリアと一緒にやってみます」
ライオネルさんがいい人だっていうのはわかる。
でも、ぼくたちは自分のクランを作りたいんだ。
「そうか。じゃあ、困ったときはいつでもおれのところに来い。
まあ、おまえらじゃおれの助けなんて必要ないんだろうけどな」
そう言ってライオネルさんは笑う。
「よろしくお願いします」
ぼくもそう言って笑う。
そして、ライオネルさんと拳をぶつけ合うのだった。