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ぼくはライオネルさんの前に出る。
赤オーガのところにライオネルさんを届けないと。
まだ、そこまでに二三匹のオーガがいる。
「ミリアたのむ」
こういうときはミリアの魔法に頼る。
ぼくの剣よりミリアの魔法のほうが攻撃レンジが長い。
「わかったわ。
フローズンランス!」
ミリアは走りながら魔法を展開する。
中級くらいの魔法だ。
無数の氷の槍で相手を貫く。
この程度の攻撃、効くとは思わないが牽制にはなるだろう。
「走りながらの魔法か。
もう、何がおきても驚かないぜ」
ライオネルさんは走りながら溜息をつく。
でも、魔法は動きながら使わないと、止まったら標的になってしまう。
ブラックウッドさんの教えだ。
魔導士もあるていどの身のこなしが必要ってことだ。
ミリアも動きながらの魔法をすごく練習していた。
「わたしが雑魚を追い払うわ」
氷の槍が発射される。
目の前のオーガを貫く。
それから、奥にいる緑オーガにも襲い掛かる。
緑オーガは魔法障壁を展開する。
そんな簡単にいかないよな。
でも、作戦どおり、ぼくたちで幹部を撃破する。
氷の槍はオーガの魔法障壁を破壊する。
そして次の槍が緑オーガを襲う。
緑オーガと青オーガも氷の槍に貫かれる。
それだけじゃなく、赤オーガをも貫く。
ぼくたちは足を止める。
もしかして終わっちゃった?
「ミリア、今の魔法は」
ライオネルさんがミリアに聞く。
っていってもいつもの中級魔法だよな。
ミリアがぎりぎり無詠唱で展開できる使い勝手のいい魔法。
でも角ウサギさえ貫けなかったよな。
まあ、魔法の距離を図ったり、敵の動きを誘導したりという魔法。
「あの、初級魔法フローズンランスです
でも、こんなんで倒せてしまうなんて」
あれっ、初級だったっけ。
ミリアがいちばん驚いている。
あっけに取られているぼくたちの目の前でかわないと見てオーガたちが撤退していくのであった。